嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

経営会議の親子喧嘩

今日は、経営コンサルタントにとっての現場である「経営会議」で良くあるパターンについて回顧録を報告します。

 私たちが経営協力する企業では、必ず経営会議や役員会に参加し、重要な意思決定機関でのアドバイスや客観的な意見を伝えます。中小企業の場合はほとんど同族経営ですから、社長の後継者である息子が入っているケースが多くなります。

 経営会議や役員会議でも、議論が白熱してくると、感情的な意見が飛び交うようになります。まだ、同じ取締役でも、他人のサラリーマン役員の場合は、自己抑制できますが、実の親子となると、公式な会議という事を忘れて、「親子喧嘩」並みの、言葉でやり合う役員会もあります。

 本人たちは、激論をしているつもりでしょうが、参加している他の役員や幹部は、結構白けている事が多いですね。

 「社長と常務(後継者)が激論している時、他人役員は口を挟めず、事の成り行きをじっと見ている」とか、サラリーマン役員では決して言わないような、投げやりな言葉を平気で言ったり、理論的ではない身内の感情論でのやり取りの場面を多く見てきました。

 実際は、そんな時こそ、経営コンサルタントの出番でもある訳です。他の役員は議事ができない状況ですし、口論している親子も、どこかで出口が欲しいと思っている事も多く、私たちが『その議論は、また次の機会にしましょう。今は○○の件を決めましょう』と言うだけで、結構収まってしまうものです。それは、コンサルタントと言う独特な立場の人間だから、できるのでしょう。それはともかく、今まで経験した役員会での、親子喧嘩で一番激しかった事例があります。

 その会社は建設関係の企業で、社長が創業者、専務の長男は学卒からずっと、社長の方針や指示に従順なタイプでした。しかし、常務の次男は、大手商社を経験してから、途中入社しており、平気で社長ともやり合うのです。

ある役員会でのことです。新商品開発のネームやブランド構築の為のPR方法を検討している最中、社長と次男の常務の議論が咬みあわず、完全な親子喧嘩になりました。

社長  『今までの当社の歴史で、そんなみっともないPRプランはした事がない』

常務  『どこがみっともないんですか?昔のやり方に固執していたら、新たな挑戦はできません。失敗しても良いから、やるべきですよ』

社長  『お前の自己資金でやるなら、何も言わないが、会社の虎の子の金を遣うんだぞ。海のものとも山のものとも分からないものにカネが使えるか』

この間にも、更に激論があり、ついに社長が「切れた」格好で、常務に言いました。

社長  『別に、お前に○○商事を辞めて、うちに来てくれと頼んだ訳ではない。そんなに言うなら、自分で会社を作って自分で勝手にやればいい』

常務  『良いですよ。自分でやります。ここまで言っても分からない頭の固い社長についてはいけません。専務、少しは自分の意見を言ってくださいよ』

専務は無言

常務  『こんな会議に私が参加しても意味がないですね。私は退席します。』

社長  『勝手な事は許さん。会議の途中で出るなら、会社を辞めるんだな。』

常務  『はい、会社は辞めます。失礼します。』

と言って、本当に出て行ったのです。この間の議論は、あまりの感情論で、私も軌道修正ができず、他の役員も只、じっとしているだけでした。会社の議題で、激論がスタートしますが、その内親子特有の口論になる。

 しかしその会社の常務は、あれだけ、啖呵を切って出て行ったにも関わらず、翌日も普通に出勤し、普通に業務を行っていました。恐らく、いつもの通り、長男の専務が取り成して、丸く収めたのでしょう。しかしそれならば、その後の経緯を他の役員に、一言説明があってもいいと思います。もし、啖呵を切ったのが、息子の常務ではなく、他人役員だったら、『辞表』を出して、本当に辞めるでしょう。

 身内だから、許される雰囲気はありますが、いかに身内と言えども、公式の場での理性は維持して欲しいと思います。

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