【SWOT分析と事業再構築】根拠なき新規事業・強みを活かせない多角化では事業再構築補助金も再出発も不可能?

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今後、事業再生の動きが活発になっていくでしょう。

事業再生での債務免除やリスケなどの判断を行う際、本当に事業が再生可能かの判断は、これまでの状況とは今回は相当異なると感じます。

仮に各種の債務負担が軽減されても再生可能かどうかは、今後の需要次第です。

しかも相当なデフレ不況が予想される中では「実現可能な抜本対策にある具体策」が求められます。

その為には相当な「事業の選択と集中」や「事業の多角化」そして「業態転換」を念入りに議論しなければなりません。

冷静な分析や仮説検証をせずして、新規事業・多角化を進める事はリスクです。それこそコロナ融資資金やをムダに失ったり、財務基盤を危うくする可能性さえあります。

とはいっても、本業の先行きが厳しい状態なら、「新規事業・多角化」は重要な選択肢です。

しかも、2021年度から政府の事業再構築補助金も動き出し、事業の多角化や業態転換を強力に後押ししていきます。

では、どうやって進めるべきか?

今回は事業の多角化・新規事業のついて考えてみたいと思います。

1、成長性しか見ない新規事業の判断は失敗しやすい

これまでも多くの新規事業支援のコンサルティングをしてきました。

新規事業の成否のカギは一般的に言うような「新規事業市場の成長」だけではありません。

成長が縮小または止まっている市場でも「差別化要素」があれば、新規事業成功の可能性は高くなります。

しかし、市場の成長性だけで新規事業や多角化を目指すのはかなり危険です。

何故なら、新規事業成功要因は必ずしも、外部環境だけではないからです。

また、仮にこれからの新規市場の目玉があったとしても、当然、そういうところには多くの競合も気づいています。

資本力のない中小零細企業は既存の競合があっても、ターゲットを決めてそこに差別化できる+αが必須です。

 

2、その新規事業は、本当に自社がすべきか検証

本業の収益がダメだから、新規事業や多角化を進めるパターンが多い事でしょう。

しかし、それは本来の事業目的や経営理念に即しているでしょうか?

「儲かるなら何でもいい」的な新規事業が長続きするはずもありません。

今、新規事業・多角化の分野を紹介するオンラインセミナーも増えています。

「何か、この新分野はコロナ後もよさそうだ」

「政府から新規事業・多角化の補助金制度も新設されそうだから、リスクも少ない」

「今のうちに、新たな収益基盤をつくろう」

多くの経営者がこういう理由から「新規事業・多角化」を目指すします。

しかし、冷静に考えていただきたい。

「その新規事業・多角化の分野は、本当に自社が手を出す分野か?」

「今の強みや経営資源が活かせる分野か」

と。

政府の事業再構築補助金の申請条件でも「自社の強み・経営資源を活かしつつ、経産省が⽰す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定⽀援機関等と策定した中⼩企業等」と書かれています。

関連性のある分野から掘り下げない限り可能性は少ないわけです。

だから、参入したいその分析や検証せずにして、「思い込み」「思いつき」「感覚」で走り出して、後から「こんなはずじゃなかった」と後悔して引き返しても、相当な財務的なダメージを受けます。

しかも、コロナ資金は借入での資金です。

返済しなければなりません。

その返済資金を生み出せず、失敗した新規事業・多角化に使い切り、収入もないのに負債も抱え、後処理に更に資金が必要な状態になりがちです。

「大きな設備投資がいらないからリスクは少ない」

と思っていても、どんなビジネスでも、完全な敗戦処理には人手と費用はかさむものです。

 

3、新規事業前の意思決定の前に、SWOT分析で可能性分析

おススメしているのが「新規事業SWOT分析」で、仮説検証をする作業です。

「新規事業SWOT分析」の進め方はこうです。

先ず、その新規事業が本当に可能性があるか「機会分析」を下記の質問から、可能性を分析します。

《1》 その新規事業は、どんな市場の新たなニーズに対応できるかは

《2》 新規参入分野の利益をだしている既存同業者は、何が市場ニーズにあっているのか

《3》 その新規事業では顧客(消費者)は今後、どういう商品サービスにはメリットを感じて購入してくれると思うか

《4》 その新規事業は、不況や経済危機消費不振の中でも、どうプラスに作用するか

《5》 政府の経済対策・規制緩和・規制強化では、その新規事業はマーケットにどうプラス面があるか

《6》 IT、AI、IOTの普及でその新規事業はどんなビジネスチャンスの可能性があるか

《7》 その新規事業では、今後のどういう変化が、どういう新たな購買層、顧客層を生むと思われるか

《8》 今後の市場の変化、ニーズの変化で、その新規事業はどういうビジネスチャンスがあるか

《9》 その新規事業は、技術革新・グローバル化でどういうコストダウン、新マーケットの可能性があるか

《10》その新規事業は、 顧客や市場の勢力図をどう塗り替え、どういうゾーンがターゲットになりうるか

《11》 環境、資源、経済、社会構造変化は、その新規事業はマーケットにどういうプラスが考えられるか

《12》 その新規事業は、現在の経営資源にどう相乗効果を発揮するか

これらについて具体的な「勝ち戦」の可能性があるのか、外部環境を見るのです。

この段階では、新規事業・多角化分野の「外部環境分析」は誰がやっても同じかもしれません。

しかし、それだけで「新規事業・多角化」を意思決定してはいけないのです。

 

4、新規事業・多角化分野に使える「強み」があるのか?

次に「強み分析」で、新規事業分野に使えそうな「経営リソース」や「小さな強み」を整理します。

「機会」に使える「強み」がなければ、新規事業・多角化分野の立ち上がりに必要以上に資金と時間を要します。

《1》 新規事業に活かせると自信のある点(ヒト、モノ、カネ、技術、情報、効率、社内環境等)

《2》 新規事業に活かせる顧客から評価されている事項、認められている点

《3》 新規事業に活かせる営業全般の強み(顧客関係、業者関係)

《4》 新規事業に活かせる財務面・投資面で出来ること

《5》 新規事業に活かせる人材のポイント(担当できる責任者、専任できる人材、エース人材)

《6》 新規事業に活かせる顧客資産、ネットワーク資産

《7》 新規事業に活かせる生産面、開発面のポイント

これらを具体的に固有名詞で深掘りしていきます。

 

5、「機会」×「強み」=「新規事業・多角化分野で差別化できる理由」

各「機会」と各「強み」を掛け合わせて、本当に当社でなければならない理由があるなら、それは参入すべきです。

この掛け合わせで、同業他社の新規事業・多角化分野と比較して、何らかのUSP(独自のウリ)が見えたはずです。

この新規事業・多角化分野で大事なことは、

●新規事業・多角化分野の特定ターゲット層に

●既存の新規事業・多角化分野の同業者と異なるアプローチやメソッドで

●独自の成果を「見える」カタチで提案でき

●その特定ターゲット市場の特定分野で、3年以内に知名度を上げる

事を目指します。

この条件がUSPになるなら、それは是非、頑張って取り組みたいですね。

 

もし、「新規事業・多角化分野」を検討中なら、一度SWOT分析で仮説検証してみましょう。

 

因みに、「新規事業・多角化SWOT分析」は以下のイメージです。

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このイメージに沿って、「新規事業・多角化SWOT分析検討会・研修」を当社でコンサルティングしています。

こちらに動画でも解説中。

 

6,認定支援機関は「新規事業・多角化SWOT分析」ノウハウの取得が必須

今回の事業再構築補助金の申請も認定支援機関と一緒に取り組むことが求められているようです。

多くの認定支援機関である会計事務所には、申請書の書き方から、どんな新規事業・多角化が良いのか、ご相談が寄せられでしょう。

その時、通り一遍の回答ではなく、顧問先と一緒に「新規事業・多角化SWOT分析」を行い、補助金も取れて、将来可能性ある「経営戦略立案」が必要です。

事業再構築補助金の審査基準はいずれ公表されると思いますが、「明確な根拠」と「新規事業・多角化の将来収支計画」を具体的に要求されるはずです。

そんな時、概念的な「新規事業・多角化アイデア」のみで、補助金がパスすることはないと思います(いかに事業規模は1兆5000億円あろうと)

しかし、そういうノウハウがない会計事務所は「新規事業・多角化支援ノウハウ」を持っている認定支援機関の会計事務所やコンサルタントに仕事を奪われる可能性があります。

今後、「新規事業・多角化SWOT分析」について、オンラインサロンでも公開していきたいと思います。

 

 

新規事業・多角化の可能性分析を行う「新規事業・多角化SWOT分析研修」のご相談は下記から

https://re-keiei.com/contact.html

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実例ノウハウを解説した動画満載です。

https://www.youtube.com/channel/UCTy_ms3Ctv4QCbm8kPTZoXw

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