【SWOT分析と事業再構築】危機感の中で思考停止する経営者
経営者の中には、八方塞がりや強い危機感が一気に押し寄せると、思考停止する方が少なからずいます。
危機の時こそ、経営者はフルに頭と体を使って打開策を打ち出し、積極果敢に「攻め」なければならないのに。
普通に考えれば、「やばい状況」を放置していれば、更にヤバい状況になるには目に見えているし、他の役員や幹部、社員も誰もわかっていることです。
なのに…
何故、危機の時に経営者の中には思考停止する人がいるのでしょうか?
私が独立した22年前は中小企業もリストラの嵐でした。
リストラのコンサルティングや経営再生もかなり手掛けました。
そんな時「思考停止する経営者」が少なからずいたのです。
1,問題点があちこちから噴出すると判断ができない
普通の能力のある経営者なら問題点がどんなに多重に起こっても、優先順位を決めて一つ一つ解決しようと取り組みます。
しかし、能力のない経営者は目先の噴出している問題の弥縫策に明け暮れ、何ら前進しません。
優先順位は目先の解決策ばかりで、これから起こる課題や先々の課題には眼を閉じます。
だから、いつまでたってもビジョンや経営戦略へ取り組めないのです。
「判断力の欠如」は、経営者として致命的です。
経営とは判断の連続です。
しかし、ビジョンや経営計画があるからそれに沿って判断ができるのです。
ある意味、頭が回らず「判断から逃げている経営者」もいます。
危機の時に頼れない経営者は、本来経営者であってはいけないはず。
どんなに課題が大きくても、資金対策が見えなくても、人材流出が後を絶たず先々が不安でも、「心配ばかりして、何も行動しない経営者」は確実に倒産廃業へ向かいます。
2、、上手くいかない理由を他責にする
思考停止の経営者には、経営危機の責任や重大問題の責任を役員幹部に転嫁して、責めるだけの経営者もいます。
「すべての企業での責任は経営者」にあるはずです。
しかし、経営会議や役員会を開くと役員幹部に他責しているのです。
アイデアや打開策が役員幹部から出ないと、どんどん責めていきます。
かと言って、経営者自身からアイデアや打開策は出ません。
これは役員幹部を責める前に、そういう体質を作った経営者の責任です。
もしかしたら「こんな経営者に何を提案してもムダ」と思って、口をつぐんでいるのかもしれません。
3、精神論、抽象論で鼓舞する
経営危機時にいくら「やる気論」や「ガンバリズム」を鼓舞しても組織は動きません。
必要なのは5W2Hの具体策です。
なのにその具体策が分からず、精神論や抽象論をや経営会議や役員会でまくしたて、無駄な時間を費やす経営者が多いのです。
経営危機の段階での精神論・抽象論は逆効果です。
眼の前で家が焼けているのに、「熱くない。心頭滅却すれば火もまた涼し」なんてことより、早くバケツの水や消火器を用意することです。
また、火を消しながら消化後の対策も同時に具体的に考える事です。
危機時に精神論・抽象論をいう経営者はやはり思考停止状態と言わざるを得ません。
4,思考停止したら書き出し、図にする
思考停止状態になった時は、いろいろな考え方や段取りが頭の中を錯綜しているのです。
何が事実で、何が無理で、何を犠牲にして、何を優先すべきか整理がつかないので、行動も思考も止まっているのです。
だったら、箇条書きに課題を書き出し、体系図でもしましょう。
私たちが経営危機の課題を整理する時に使うのは「特性要因図」と「ロジックツリー」です。
特性要因図はQCでも活用されている有名な論理整理法です。
ロジックツリーは2つの書き方があります。
一つは、「Whyロジックツリー」
これは原因を何回も深掘りしていく作業です。
ここで大事なことは「どこまでも物理的理由」を追求することです。
途中で「人間性」とか「人手不足」とか「やる気欠如」とかの「属人的」な原因を上げると、途端に解決策が遠のいていきます。
もう一つは、「Howロジックツリー」
具体的な原因究明で、不足している対策が決まったら、次にそれをどう実行するか、小さく落とし込んでいくものです。
問題点を小さく分類することで、今必要な具体策や行動が見えてきます。
どんなに考え込んでも、具体的な一歩を踏み出さない限り、問題の整理も進展もありません。
「思考停止状態」の経営者がいれば、是非論理的に原因と課題、そして具体策を本人の口から言ってもらえるようコーチングを進めたいと思います。
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