人材採用ができない企業は「自社の強み」PR不足が原因だ

SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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11月23日勤労感謝の日に、東京会場とZoomで「採用サイトコンテンツコンサルティングコピーライティング1日研修」を開催しました。

丸一日、採用サイトづくりをした参加者は、「採用サイトのコピーライティング」の重要性を感じたようでした。

 

この前もある経営者と話していたところ、人材採用難の話になりました。

ご多分に漏れず

●求人(ハローワーク、求人紹介会社への広告)を出しているが反応がない

●若い人材が辞めていく

●仕事はあるのに、人が少ないから受注を断らざるを得ない

●技能者がどんどん高齢化して、技能伝承が出来ず将来が見えない  等々

どの会社でも「あるある」の課題でした。

そこで「社長、御社の採用ページとハローワークの掲載情報を見せてください」

と言って、その場で私のノートPCを社長室のモニターにつなぎ、一緒に課題を整理し、改善策を議論しました。

すると、言葉は悪いが、「求職者が反応しないのは当たりまえの求人ページ」なのです。

そこで、その場で即興のコピーライティングと今後何が必要かを提案しました。

1,自社の「強み」「こだわり」を訴求していない

その企業はいわゆる製造業の「3K(危険、汚い、きつい)企業」です。

工場もかなり古く、作業着もかなり汚れていて、労働環境が良いとはお世辞にも言えません。

だから経営者は

「こんな会社に今の若いヒトは来ませんよね」

と半ばあきらめ顔でした。

しかし、よくよく聞いてみると、

●有名な企業から20年以上も指名での受注がある

●ある微細な工作技術や作業では、ここでしか出来ない差別化がある

●大手企業からある微細な工作について検討依頼や試作依頼が来るが、忙しくて断っている状態

●ある分野で特許を数件持っている

●60代70代のベテラン技能者が数名いる

●企業財務がよく自己資本比率も40%を超えている

●預金も多く借入金はさして多くないので、銀行が積極支援してくれる

●帝国大学工学部と有名私立大学工学部卒の社員が3名いる

●仕事の繁閑の差があり、閑散期は有給が取りやすい

●忙しい時の残業や休日出勤時の食事や弁当がすごくいいものを提供している

●社内での昼食の弁当がとても旨いのに、弁当代が僅かな事(会社が業者に補填)  等々

深く聴いていくと、いろいろ出るわ出るわ。

私は経営者に聞きました。

「何故、こんな強みがあるのに、それを採用ページに掲載しないのか?」

すると、経営者は

「そんな事が求職者に訴求できるワードだと思っていなかったし、どう表現すればいいか分からない。」

と反省の弁。

「小さな強み」「小さな拘り」はそのまま求職者へ具体的なアピールになります。

多くの中小零細企業は「PRできる強みがいろいろあるのに、実はもったいない事をしている」のです。

何が「強み」で、それをどうコピーライティングすれば、求職者の訴求できるか。

そのアドバイスを受ければ、まだまだどんな中小零細企業も「輝ける」はず。

 

2,社長メッセージが「昭和的」

歴史のある製造業で、経営者も3代目で、まじめな方です。

それが祟って、求人ページの社長挨拶では

「当社は創業60年、〇〇にて工作機械・部品製造加工をしています。創業以来・・・、誠心誠意・・・顧客第一主義で・・・、経営理念である「〇〇」をモットーに・・・、全社一丸で・・・・、多くの仲間と一緒に〇〇の実現を・・・、物心共に豊かな・・・」

こんな言葉が並んでいるのです。まさに「昭和」の言葉。

この社長メッセージは「経営理念」を説明する場でありません。

ここで欲しい情報は

●会社が大事にしている価値観

●経営者自身がどんな人材が欲しいか

●わが社はそんな人材がどう活躍できる職場か

●今在籍している社員にどんな人がいてどう頑張っているのか

●会社は将来どんなところをめざしているのか

こういう所を求職者は見たいのです。

だから、「分かりやすい言葉で、多くを語らず『一言』で言い表す言葉を使い、ピンポイントで自社の特性が分かる表現」を意識します。

ただ書けば良いという訳ではないのです。

 

3,募集要項ページに記載が無機質

募集要項も無機質な言葉が並んでいます。

●勤務場所

地名だけを書いている。

その通勤場所でのメリットや駐車場の状況、通勤者が少しでも気になる情報に対して、「場所的メリット」を書いていない。

田舎なら田舎の良さを書けば良い。

●仕事内容のところは

「工作機械部品の製造加工」とだけ。

どんな顧客に、どんな差別化した技術で、匠と言われる人の技術とそれが今後益々求められるような表現なども書かれていません。

●給与のところは

月給25万円以上(経験者優遇)とだけ

他の手当の内容の説明もなく、先ほどの給食費補助の表記もなく、賞与も年2回とだけ。

何年経ったら年収がいくらとかもなく、昇給ありとだけで、実際にどんなパターンの場合どれくらい昇給するかもない。キャリアパスもない。

●休日休暇のところは

土日、祝日休み、夏季休暇、年末年始休暇、特別休暇ありとだけ記載。

年間何日の休みがるかもなく、休みの取り方のパターンや年間休日を、今後どれくらい増やす予定かもない。

●福利厚生のところは

社保完備、厚生年金、退職金ありとだけ。

退職金の中身や永年働いた人がどれくらい貰えた実績があるのかも記載なし。

それ以外の先ほどの給食費補助でランチ代が毎日400円浮けば、年間250日働いたとして、10万円の貯金ができる」などの金銭的メリットを分かりやすくだしていない。

 

このように、自社サイトの募集要項には自由に大事な情報が掲載できます。

だから、無機質な表現をなるべくしない事が大事なのです。

 

4,若者が気にする課題の具体策を掲示していない

若者が欲しいとその経営者は言います。

出来れば20代、30代の中途採用者が。

新卒は見向きもされないのでということでした。

しかし、書いているのは

「風通しがよく、ファミリー的な雰囲気のある職場です」

等と具体性もない、抽象的な感覚の表記です。

こんな表記の場合、いい会社とは決して思われません。

若手が欲しいという割には若手が望む事、しかもいろいろな若手ではなく、ピンポイントで「こんな若手ならわが社がベスト」と絞り込んだ方が刺さります。

例えば、最近の若手、その中で20代の社員は高校時代からSDGsやカーボンニュートラルの教育を受けているそうです。

だから、企業としてそういう取り組みは掲載していないと、「この会社は地球温暖化や社会貢献がない会社だ」と勝手ににレッテルを張ります。

またハラスメント対策には敏感な世代です。

転職者の多くは「前職時代の人間関係」に何等かの退職理由を持っています。

すると、「当社はハラスメント対策として、〇〇研修や〇〇制度があり、先輩、上司は常に自分のマネジメントを振り返るので、若いヒトが安心して働ける」と具体的な根拠を書くべきです。

 

5,先輩メッセージが型通りで、輝いていない

3人の先輩がメッセージを書いていました。

Q&Aスタイルです。

●入社した動機は

●仕事でやりがいを感じる時は

●後輩へ一言

です。3名とも型通りの表現で、その先輩が「輝いている」とまでは思えません。

もっと、一人一人にドラマ、ストーリーを掲載し、「この会社の先輩って、格好いい」と思わせるべきです。

実は先輩メッセージをストーリー展開するには文書構成があります。

●入社した動機(この会社の何が良くて、他社と比較して、選んだのか、その人なりの基準)

●仕事で躓いた事(難しかった事、失敗した事、そこで学んだこと)

●そのつまずきを助けてくれた先輩上司の対応(どういうサポートをしてくれたか、どんな言葉かけをしてくれたか、そこでこの躓きや失敗を次の経験にどう活かしたか)

●今取り組んでいる事今作業の中で取り組んでいる事で、超具体的な事。またそれが顧客のどういう評価につながるか。自分のこだわりなど)

●仕事を通じて家族や肉親が認めてくれたこと、またその思い

●この職場での経験やスキルが今後の個人の人生にどう反映するか

●この会社を選ぶ後輩に具体的なメッセージ(こういう人は可能性があるが、こういう人は来ない方が良いとはっきり言う、またこんな心配事も先輩がこんな具体的なフォローをするから大丈夫と書く)

 

このように、メッセージもリアリズムを追求する事で、より訴求ができるのです。

あなたの会社も、あなたも顧問企業も即、募集要項を変えましょう。

そうしないと正月前に転職の動きに乗り遅れるかも。

 

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