嶋田利広ブログ

KPI監査

A3判2枚ですべて分かる「オールインワン経営計画書」フレームを創りました

SWOT分析、KPI監査、採用サイト、生成AI、経営理念浸透型人事、事業承継の「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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毎年、年も押し迫った時期、または事業年度の終わりが見えた時期、新事業年度の方針や具体策を決めていきます。

だいたい経営計画書のフォームは決まっている所も多いでしょうが、小規模企業やまだ経営計画書の体裁が決まっていない事業所にはおススメのフォームがあります。

これは「A3判2枚」で作成する「オールインワン経営計画書」言うものです。

このフォームは支援している複数の会計事務所の監査担当者研修でも導入し、使い勝手が良いと評価されています。

私自身も全部の顧問先に提案している訳ではないですが、一部ある特性のある企業に対して実施していて、経営者からも「分かりやすい」と言われています。

その該当先とは

⑴事業規模が小さく、主力商品群がカテゴライズされている企業

⑵複数の事業があり、簡単な部門別損益が分かる企業

⑶経営者や一部の幹部とヒアリングしながら、その場で税理士やコンサルが作成できる企業

そんなイメージです。

それでは実際にどんなフレームでどんな書き方をしているのか、解説しましょう。

1,大事な前期の反省の1枚シート

このシートは既に支援している会計事務所に導入しているもので、監査担当者からも「使いやすい」と好評を得ているシートです。

最近はこの反省シートから生成AIを使って、「次年度重点具体策」を出すようにした結果、更に監査担当者が顧問先経営者とヒアリングや面談をしやすくなりました。

そのフレームとは

241218_前期振り返り1枚シート.jpg

上段には「今期の良かった出来事」を顧客、商品、原価、マーケティング・販促、社内・人材面、資金面に分けて、「何があった」の箇所でファクトを書きます。

次に何故そうなった」と言う理由を確認します。

その後に「更にそうなった原因の社内の良さや努力」をこれも具体的に聞き出します。

そして、その良かった事を更に来期に再現と拡大展開をするにはどうすべきまで聴きだします。

 

そして下段の「課題」を質問項目に沿って聞き出しながら、書きます。

そして、その後はこの「良かった点の更なる展開」と「課題の再発防止や改善策」を俯瞰してみて、右の「来期基本方針と重点具体策」にカテゴリーに分けて箇条書きに整理します。

このフレームはモニターに打ちして、ヒアリングしながら監査担当者が書き込むスタイルで、経営者の想いの全体像が見えます。

 

2,A3判1枚のシートの全容

下記のフレームはKGI,KSF,KPIの設定とモニタリングできる行動計画まで入っている「経営計画からKPI監査まで」のスタイルです。

このフレームは2024年から一部のクライアントで導入しています。

同じフレームで一気に行動計画までできるので、使いやすいと思います。

241218_オールインワン経営計画書.jpg

3,次年度の概算数値を見る

決算期前に今年度の寄付き予想を立てて、来期の収支計画を概算で決めます。

重点具体策のカテゴリーは「既存営業」「戦略営業」「製造開発」に分けて、収支改善につながる各KGI(重要到達目標)を決めます。

各KGIは売上に関するもの、粗利率改善に関するもの、開発や投資に関するものなど、自由に設定します。

概算計画の下にある枠がありますが、そこは今期の反省や課題、来期に向けて必須の対策等が決まっていれば、それを記載します。

4,部門ごとのKGIの設定

KGIの設定は左の収支につながる直接的に成果のある戦略数値目標です。

例えば新規開拓の件数とか、値上げ商品の品目数とか、マーケティングに関すること、製造の原価面、製品開発等、KPIほど小さい目標ではなく、もっと大きな戦略目標の指標です。

 これらのKGIは収支予測時の反省や課題から引き出されることが多いので、そこから重要な指標を聞き出します。

5,KGIごとのKSF設定

各KGIを聴きだしたら、そのKGIの指標を達成するためのKSF(重要成功要因)を具体的に聞き出します。

このKSFが大雑把だと、KPIも大雑把になるので、注意が必要です。

KSF設定のコツは「行動内容がイメージできる表現」に拘ることです。

経営者の中には、どうしても概念的なことを言う人が多いので。

例えばKGIで「新規開拓10件」としたら、KSFが「紹介と広告の実施」などにすると、恐らくKPIは「紹介件数●件」とか「チラシ広告回数●回」などの表現になりがちです。

そうではなく、「どういう紹介の貰い方で、その為にどういうメリットを用意して、どう展開する」まで行動工程別の段取りをKSFを具体化します。

するとKPIもより具体的な行動内容になり、行動イメージや行動数量が理解しやすくなります。

 

6,各KSFに対して KPI設定

KSFが決まれば、その行動数量の指標であるKPIを設定します。

このKPIはモニタリングする為のファクトなので、より詳細な行動数量が分かる表現を心がけます。

結局KPI経営をしても途中で雲散霧消してしまうのは、このKPIの行動成果の水準が大きい事で、成果にたどり着くまでの工程別のKPIを設定していないからです。

例えば「新規開拓10件」と言うのがKPI目標に見えるけど、その新規開拓をする為の工程分解をして、第1段階、第2段階、第3段階の行動段取り別に「KPI」を設定すれば、達成目標が身近になります。

しかし多くのKPIは「新規開拓10件」と言うKGIレベルから「紹介件数●件」「チラシ配布●枚」等のKGIみたいなKPIで、いきなりKPIをすすめようとするところが多いという事です。

その当りはどこまで深く詳細にするかはその時々の議論で決めていくしかなく、定義がある訳ではありません。

 

 

7,KPIの行動予定の設定

KPIが設定されたら、その行動工程別にアクションプランを決めます。

このシートでは2カ月単位で行動計画を詳細に立てるようにしています。

KPI監査を毎月しても多くの中小企業ではなかなか進捗しないことが多く、KPI監査自体が負担になりかねないからです。

 

このように「経営計画書からKPI監査まで」を想定したA3判 2枚のシートだけで、計画と具体策がロジックに整理され、銀行向け説明も社員向けのチェックもしやすいパターンはとても使い勝手が良いです。

だから会計事務所の監査担当者も「これなら提案しやすい」と感じたのでしょう。

 

 

 

 

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