ヤバい!MAS監査契約に解約の兆候。その時打った手とは?
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
ある税理士が、これまでの「予実チェック中心」のMAS監査からKPI監査にシフトした結果、顧問先の反応が大きく変わったとの報告を受けました。
SWOT分析とKPI監査の手法や技術を学習したこの税理士は、どう変わったのでしょうか?
私が聞いた話を整理してみます。
1,普通の税理士のMAS業務よりは優秀だと自負
その税理士は顧問先の中の2社に対して、毎月MAS監査として税務顧問以外でMAS契約を結んで、2~3時間の会議に参加していました。
因みにMAS顧問料は7万円(税別)/月。
主なMAS業務は
⑴経営会議前に経営者といろいろな経営課題の相談
⑵決算が近づくと今期の反省と来期の方針確認
⑶経営計画書の作成支援
⑷毎月の計画と結果のチェックから課題と対策を協議する経営会議
⑸経営会議時終了間際には、次月までの行動対策を決めて、文書で提供
この中身を見て、「良いMASをしているなあ」と思った方も多いのでは?
この税理士も最初は「一般的な会計人のMAS業務よりは、自分が深入りしている」と話していました。
「一般的な会計人のMAS業務との違い」は、行動計画の修正やアクションプランを「見える化」まで支援している事です。
多くの会計人のMASは課題の確認や「場違いなアドバイスで悦に入る」ことが多く、この行動修正の「見える化」まで介入していませんから。
2,毎回、同じ課題の繰り返し
毎回の経営会議で売上や利益、科目の予算と実績を確認し、反省を聞き出します。
そして、前回決めた修正行動計画の確認をするのですが、予算未達の原因も行動計画の実施状況も毎回同じ返答が返ってくることでした。
⑴顧客の購買力が上がっていない(市場が悪い)
⑵社員が他の仕事に忙しくて、決めた事ができない(人材の責任)
⑶いろいろな急な業務やイベントがあって、その時間が取れなかった(時間がなかった)
⑷パート社員が採用できなくて、業務が振れない(人材不足)
⑸社員が辞めたから、自分が現場に出なければばならずその時間が取れない(時間がなかった)
こういう「できなかった論理的な言い訳」が出ると、なかなか前向きな議論になりません。
そこで税理士は、再度前回の決定事項を再確認して、同じ様な行動計画の日限を決めることになります。
3,経営者からMAS解約の予兆
こういう前に進まないMAS監査を始めて1年が過ぎた頃、この経営者から
「先生がせっかく指導してくれてるのに、わが社のレベルが低くて、行動できず結果がでなくて申し訳ないです」
と言われました。
この言葉の裏の意味は「MAS指導料を払っても何も効果がない」という意味です。
このまま毎月同じようなMAS監査を続けていると、MAS監査の解約は火を見るよりも明らか。
しかも悪いことに赤字が続いているさなか、貸倒が発生してしまいました。
業績改善が進まず、借入金も多いことから銀行も融資姿勢が厳しくなっています。
当然顧問税理士だからこういう相談も受けていますが、その経営者の口ぶりから、他の財務コンサルにも相談してみたいでした。
MAS契約だけが解約されるのは仕方ないにしても、税務顧問契約にも黄色信号が灯り始めた感じでした。
4,SWOT分析からKPI設定
ちょうどその頃、その税理士は弊社のSWOT分析検定を受講し、その流れで「RE嶋田塾」に入会しKPI監査を学習しました。
まだKPI監査士検定が始まる前だったので、個別の有料相談まで受講し、KPI監査の仕方や実例、モニタリングの仕方、ヒアリングの仕方を教えました(このノウハウがそのままKPI監査士検定に入っています)
まず彼が行ったのは「クロスSWOT分析で強み分析から商材対策、販促対策」を経営者と一緒に作成することでした。
ある経営会議では通常の予実チェックを辞めて、RE経営流の「深堀質問」で「強み分析」を実施。
すると経営者も自社の隠れた経営資源に気づき、笑顔でこの会議を終了しました。
そして翌月を待たず、当月内に「深堀機会分析」から「積極戦略」であるKSF(重要成功要因)とKPI設定までこぎつけました。
改めて気づいた「隠れた強み」と攻めるべきニッチターゲットがきまり、その売り方、作り方、プロセスとアクションプランの一部を一緒に作り上げました。
すると経営者から
「先生、こういう指導を頂くと良いですね。
これまでは毎回問題点を指摘されて何とか改善をしようと思ったけど、なかなかできません。
毎回それを先生から指摘されることが正直苦痛でした。」と。
やんわりだが、これまでのMAS監査を否定されました。
5,KPI監査を始めて3か月後
MAS監査をKPI監査スタイルに変えてから3か月後、まだまだ売上利益は予算通りいきません。
しかし、KPIチェックをすることで行動プロセスの行動量は増えました。
その結果、今後の売上につながるきっかけの顧客情報が増えたり、粗利改善になる現場社員の行動が変化して来ました。
経営者は「小さな変化」を感じたようです。
「先生が毎月の経営指導を以前のままなら、正直やめようと思っていました。
税務顧問も他の財務コンサルからも提案があったので、この際税務顧問も見直しすべきかなとも考えました。
しかしKPI監査にして、我が社の行動の中身まで踏み込んでKPIチェックをしてくれたから、幹部社員の動きも変わってきました。
行動数量は本人の意識だからですね。」
そして、このKPI監査を始めて、6か月後に「幹部社員の賞与評価」にKPIを導入する提案をして、賞与評価シートを変えました。
その結果一部の社員のKPIに対する意識が変わり、行動力がアップしたそうです。
従来型のMAS監査を続けますか?
それともKPI監査に変えますか?あなたならどっち?