巡回監査時に経営者の懐に入る面談が出来る会計事務所職員とは?
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
会計事務所は何らかのカタチで、毎月、顧問先と接点を持っています。
それが巡回監査と言う訪問であれ、リモートでの会話であれ。
そこで経営者との会話を行うのですが、「ベテランはマンネリ会話」「若手は会話不足」に陥るケースが結構目立ちます。
私も毎月複数の会計事務所の職員と、MAS監査スキルを上げる為の研修を実施しています。
その中で彼らの反省点や振り返りをすると、こういう実態が垣間見えるのです。
いわゆる「経営者の懐に入る会話ができていない」のです。
経営者面談時に「懐に入る会話」をするには、監査担当者の会話スタイルを変えるスキルが必要です。
そのスキルとはどういうものか?
1,今日の監査時に「何を聞き出し、合意形成」するか決めていない
毎月10~20社位の顧問先を訪問したり接点を持ち、所内会議やある月は決算が集中したり、また研修で時間を取られたりすると、毎月の1社1社の巡回監査の事前準備はおざなりになりがち。
口やかましい顧問先社長からの宿題なら優先的に実行しても、日ごろあまり宿題を言わず、接点が細い顧問先だと何も準備せず、訪問先に向かう。
そういうことを繰り返すと確実に「マンネリ」になり、相手もそういう監査担当者へ付加価値を感じなくなります。
だから、翌日訪問する顧問先には「明日は何を聴き、何を合意形成するか」を事前に思考をめぐらす事です。
しかも、その聞き出す項目は関連性と継続性が大事。
毎月、監査担当者が経営者に不連続の「目的やゴールの見えない質問」をしたところで、経営者と監査担当者の合意形成は生まれません。
合意形成とは、経営者と監査担当者が同じベクトル(具体的課題)を持ち、毎回進捗状況を確認しあう項目について会話し、次月までの具体策や修正行動計画を経営者に言わせることです。
こういう会話だと、顧問先経営者は監査担当者との面談に付加価値を感じます。
2,収支結果の振り返りだと、毎回同じ言い訳に
試算表の結果を経営者にフィードバック。
これはオーソドックスな行動です。
しかし、どうでしょう。毎月の収支結果が大きく変わらない経営者は、監査担当者のフィードバックに対して、同じ様な言い訳や実現できなかった行動結果を話していませんか?
「ヒトがいないからできない」
「そのヒトも募集しているが反応はない」
「顧客も厳しいから、どうしようもない」
「同業者も厳しい。この業界に未来がない」
経営者のこんな言い訳を聞くと、それ以上の具体的な議論ができないでしょう。
本当は監査担当者も、「この収支結果になった個別原因を聞き出し、その対策をどうしたいのか」の話を聞きたい筈なのに。
経営者が毎月同じ言い訳をするのは、最終結果である収支について総論から聞くからです。
毎月、個別の業績プロセスを聞き出す習慣があれば、もっとリテールを聴きだせ、修正行動計画の話までできるのに。
3,KPI監査に切り替え、業績プロセスに介入すると・・
顧問先の業績プロセスを「見える化」し、その個別行動結果をモニタリングすることを、「KPI監査モニタリング」と呼んでいます。
KPI監査は、収支結果を「ああだこうだ」と総論で振り返るのではなく、その顧問先のKSF(重要成功要因)を期首に明確化し、そのKSFの行動を詳細に指標化したものがKPI(重要業績評価指標)です。
KPI監査が大事な理由は「行動結果をやった・やらない」の言い訳を聞くのではなく、「やったかどうかの事実と行動数値結果」だけを追います。
そして実行できていなければ、次月までにどんなアクションをするか、5W2Hで決定事項を出します。
それらのファシリテーションと議事録をするのが監査担当者です。
KPI監査なら毎月、目的を持ったリテールのモニタリングが可能だし、経営者が毎回言うことが違い、継続して同テーマを追えない場合でもKPIテーマを追いやすくなります。
KPI監査はちゃんとした「業績検討会議」をしながらファシリテーションをするべきです。
すると通常の税務顧問としての監査だけでなく、「経営顧問」として別時間と別料金を取り行う方が、先方の経営者も本気になるでしょう。
KPI監査のスキルを持つ専門家を「KPI監査士🄬」(弊社登録商標)と定義づけています。
このKPI監査士検定を2024年11月から全国展開します。
KPI監査士の概要が決まったので、下記をご参照下さい。
https://re-keiei.com/blog/kpi/2041-2024-kpi-2.html
顧問先経営者と本気で業績改善をしたい会計事務所や監査担当者は「KPI監査スキル」が必須の時代が来たようです。