高齢者におカネを稼ぐ喜びを

長年、介護施設のコンサルティングをしていて思う事は、何故「施設職員はサービスを提供する側で、利用者・高齢者はサービス受ける側」と言う公式を崩せないのか、という事です。私の両親も入所やデイケアを利用してきました。ある日デイケアに週3で通う年老いた母に聞きました。

私「デイケアは楽しいかい?」

母「そんなに楽しくはない」

私「何でデイケアに行くことに抵抗がなかったのかい?」

母「ぼけたくないからね」

私「それだけ?」

母「家にいるよりまし」

私の妻や子供と両親と同居しているので、日ごろから顔を見ているし、状況変化は分かります。この母の言葉は、どこでも同じなんでしょうが、「消極的行動選択」と感じました。他に選択肢がないから、デイケアにいくのだ と。

高齢者のヤル気とは何か?

一番人間が若々しく、前向きな人生を送られるのは、「自分の存在と必要性が周囲から認められている」状態です。高齢者の場合、自分自身でその存在価値を見つけにくいこともあるのではないでしょうか。だから、施設に行って職員から問いかけられたり、褒められたりするとうれしいし、笑顔になります。本当は、家族もそういう接し方をすべきでしょうが、一緒に生活していたり、いつも顔を合わせる家族には、「褒める事よりもダメ出し」が増える傾向があります。

滅多に会わない親戚が「もう少し○○してあげなさいよ」など、一般論で言われると「だったら、あなたがここで泊まり込んやってください」と言いたくなると思います。まあそれはともかく、自分に存在価値を発見した高齢者は、嬉々として生きていける事に疑いの余地はありません。

高齢者のヤル気、実は金儲け?

高齢者になり何が楽しいかと言えば、実はおカネが貯まる事ではないか、と思うのです。徳島のある山村では、身近にある葉っぱで村おこしをして、高齢者が自分たちで採取した季節の花や葉っぱを出荷し、売上が増える事で活気づいたという話を聞いた事があります。実際に収入が増えて、通帳に残高が増えると、やる気になる訳です。

また、こんな話もあります。

1人暮らしで、古いアパートオーナーのおばあちゃんの楽しみは、毎月振り込まれる家賃を通帳記入する事らしいのです。「生活の為に稼ぐ」と言う働き世代ではなく、額面の多さに関係なく「頑張った分が実入りする」事を喜ぶ高齢者は、そういう場所があれば、やる気になるという事です。

 介護事業者で高齢者が稼ぐ場づくりを提供できないか?

自費事業になるが、高齢者が稼ぐ場づくりを介護サービス業者は今後作る必要があるのではないでしょうか。内職作業でも構わないし、家事サービスでいいし、施設での調理作業・・・

シルバー人材センターの高齢者みたいに体は動かない高齢者にも、何か「カネ稼ぎ」の作業があるように思います。出来高がグラフ化されたり、少額でも労働の対価として金額が振り込まれて、それを通帳記帳して、実感する。また、次もがんばろうと思う事でしょう。

もしかしたら、チームを組んで生産性を上げるなら、高齢者同士が協力したり、議論して作業カイゼンをするかもしれません。認知症の予防の対策にもなるかもしれません。事業者側が、そういう受託業務を見つける為に営業活動し、その生産性の一部が収益として入れば言い訳です。

まあ、こんな事が現実にドンドン増えれば、高齢化対策になるかもしれませんね。

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