病院や介護施設で、部下への権限移譲と任せ方

病院や介護施設の幹部教育の中で、「仕事を部下に任せられるない幹部」をどう育成するかという研修で使ったレジメです。「任せられない幹部」には、性格とか責任感ではなく、「任せ方技術」を教える必要があると思います。それでは、下記にレジメを紹介しています。

「任せる」と「仕事を振る」の違い  

  1. 「仕事を振る」には、作業を振るという視点で、部下育成が含まれない
  2. 「任せる」には、部下育成の視点が入っている
  3. 「仕事を振る」を多用すると、「振られた部下」は仕事の意義や目的を理解しないまま、被害者意識になったり、面倒臭がったりして、ただ流してしまう。結果本人の為にもならない。

上司が部下に任せられない本音の理由  

  1. 自分がやったほうが手っ取り早い
  2. 部下に振ると「それはできません」と断れる
  3. 部下に任せると納期や期限に間に合わない
  4. 任せて業績が落ちるのが怖い
  5. 部下に任せると抜けが多い(二度手間になるから)
  6. この仕事を任せると、自分の存在価値が減ってしまう
  7.  現場の実務が好きだ(マネジメントは嫌いだ)
  8. 出来の悪い部下ばかりで、任せたくても任せられない

任せられず潰れる上司  

  1. 「任せ下手」に共通しているのは、「自分でなければでき ない」と思い込んでいる。
  2. 責任を取らねばならないのは管理者である自分だから、 最後まで自分が行うという変な生真面目さ
  3. 「任せて、チェックして、指導する」と言う人材育成思想が、 結果的に欠落している。
  4. イチイチ教えたり、細かくチェックする事が苦手だと思っている。
  5. 部下に仕事を任せ、自分は新たなクリエイティブな仕事を創り出すのが、本来のリーダー業務である。
  6. 任せ切らないばかりに「実務的な作業の仕事はどんどん増え」「創造的な仕事ができず」「部下も育たない」「自分ばからバタバタして、チームワーク管理ができない」「経営者から、管理能力がないと評価される」と言う悪循環に陥る
  7. 「資質のない部下ばかり」と思い込んでいる管理者は、結果的にストレスで潰れていく。

 「部下にお願いするより、自分がやった方が早い」がリーダーシップ不全の元凶  

  1.  困った部下へ幹部が行う普通のマネジメント
    1. 褒める・なだめすかす
    2.  発破を掛ける(気合を入れる)
    3. 期限を設ける
    4. アドバイスをする
    5.  自分がうまくいった方法を教える
    6. 相談にのる
    7. 考えさせる  
  2. 何故、「部下にお願いするより、自分がやった方が早い」と諦めるのか
    1. 部下への説明する時間があれば、自分ならすぐ終わるから(時間がもったいない)
    2. 迅速な対応が必要だから(いつも緊急になってしまう)
    3. 事前にいろいろ指示をしたり、準備、根回しが苦手だから
    4. 過去に何回も言っても、できないから
    5. 部下ができるようになると、自分のアドバンテージがなくなるから 

仕事を振られ過ぎて潰れる部下   

  1. 「潰れる部下」に共通している事は、「依頼された仕事」への疑問 や今の仕事量を明確に言えない。
  2. 「潰れる部下」に共通している事は、「責任感が強く、何とか期 待に応えよう」と無理をする。
  3. 上司から任された仕事が、「部下の能力・経験」をかなり上回って いる。
  4. 指示した上司は放任で、チェックも指導もいい加減にしている。
  5. 部下の仕事量、処理能力、現在の課題、今後の育成目標を考えずに、作業を振る上司が部下を潰す。 

「任せる為」の基本姿勢  

  1.  少しくらい背伸びしている位の業務を承知で任せる
  2. 何を任せるべきか、力量を見究める(苦手意識の業務の把握しておく)
  3. 明確に「お前に任せる」と相手に伝える・見せる(一緒に業務整理をする)
  4. 途中でヤキモキしても、部下にトコトンまで任せた仕事をさせる
  5. 途中での口出しは緊急以外耐える
  6. 中間チェック・定期的コミュニケーションを怠らない(思い付きの催促ではなく事前のスケジュール化)
  7. 仕事の進捗状況の「見える化」「自動報告化」など事前に仕組みを作る
  8. 「部下は先ず失敗するものだ」と割り切る(最初からパーフェクトを求めるから任せられない
  9. 自分と同じやり方、方法をコピーした部下を作ろうとしない(部下の個性を尊重する)

 「何を任せるか」「何を職務権限移譲するか」を書きだす  

  1. デイリーワーク(毎日)、ウイークリーワーク(毎週)、マンスリーワーク(毎月)、スポットワーク(随時業務)を書き出す
    1. 実際に貴方は何の「仕事」「作業」をしているのか、「仕事」をしているのかを客観分析する
    2. 仕事時間=管理時間、創造時間、計画時間が確保されているか
    3. 部下と同じ業務が多い場合、貴方は「多くのストレス」と「歯がゆい思い」をしているか、又は「汗を流して自己満足」しているかである
  2. 幹部がしている業務から、任せる業務を抽出
  3. 「幹部でなければならない業務」と「ぼちぼち移譲しても良い業務」に分ける
  4. 任せる業務の目的や成果、留意事項を部下に見せながら、説明する
  5. 言葉で言うより、分担表を見せて、権限移譲、役割変更スケジュールを見せた方が部下は理解する

 「言って聞かせて」「して見せて」「やらせてみて」「褒めて」やらねば、人は動かじ(山本五十六司令官の言葉と言われている)  

  1. 先ず、任せる仕事の内容、目的、成果への期待値を説明する。
    1. 多くの部下にも指示通りできない言い分があることを理解する
    2. 「気を遣えと言われるけど、どこまでして欲しいか言われてないから分からない」
    3. 「後から叱るのではなく、先にどこまで、どう行えと詳細な指示が欲しい」
  2. 経験のない部下には、「まず、見てなさい」とやり方を見せる。
    1. 見せて育てる時は、「一方的に見せて、後はヤレ」はダメ
    2. 各業務の失敗しやすいポイントを説明し、復唱させる
  3. 任せっぱなしにせずに、現場でみながら「やらせてみる」
    1. 「やらせてみる」時、上手くいかないからとイチイチ感情的に叱らない
    2. 「何故、上手く行かないのか」「何故、失敗したのか」原因を部下に考えさせて。言わせる
  4. その結果、上手くいかないのは当然として指導するが、少しでも要領が良かった点、教えた事を忠実に守った点、自ら気づいて対応した点等、小さな事を「褒めて、認める」

「任せ上手の上司」は、部門に情報の公開と共有を行い、チームで権限移譲を行う  

  1. 上司が行おうとしている、誰にどんな仕事を任せようとしている事をメンバーにも情報公開している。
  2. メンバーは「上司から誰に何の指示があるか」を知る事で、上司が不在の場合でも、多方面からアドバイスが可能となる。
  3. チームで職務を移譲し、結果を出す為、業務移管計画の「見える化」、中間状況の「見える化」等の仕組みを構築している。
  4. 上司個人と任せる部下個人とだけに情報共有はしない。メンバーの多くを巻き込んでいる。

 部下に任せ放しにせず、上司が自ら責任を持って行う事  

  1. 部下に任せる事で上手くいかない可能性がある場合、大きなリスクになる場合
    1. 簡単な事だから部下に任せても良いと、高をくくっていたことが、実は結構な交渉が求められる場合
    2. 難しい顧客への対応(言い訳や自己正当化が目立つ部下、しっかり謝れない部下、直ぐエキサイティングする部下は不適)
  2. 最終品質チェック(商品、レポート、顧客へ流れる情報等)
    1. 社外へ出るプリント資料
    2. 社外へ出る製品
    3. 社外へ出るFAX、メール内容
  3. 部下から報告だけで判断せず、自分の眼でトラブルの原因を把握する
    1. 現場トラブルの事実は、直接自分の眼で確認(3現主義(現場、現実、現品))
    2. 部下は自己正当化している可能性がある
  4. 厳しい利用者、家族、クレーム処理と説明責任が必要な場合
    1. 2次クレームは初動体制の不備から起こる ② 誰が最初に対応するかで、その後が決まる
  5. 部門間の意見調整や、他部門の管理者と交渉が必要な事
    1. 部門長同士が常にコミュニケーションを取れて相互に信頼感があるなら問題ない
    2. 多くの場合、部下は「そういうことは上同士で話を付けてから、こちらに振ってくださいよ」と思っている。
  6. 部門の方針、戦略、目標に関わる事
    1. 部門方針、戦略立案は幹部の専権事項である
    2. 部下に考えさせても、幹部自身の意見が反映させないのは無責任
  7. 今までやった事がなく、新たな取り組みの場合の責任者
    1. 原則、部下は新しい事に挑戦したがらない
    2. 幹部が挑戦して、道筋を見せてこそ、部下がついてくる
  8. 微妙な経験則が求められる相手への交渉
    1. 経営者や役員への根回し
    2. 主要な顧客への交渉
  9. 新しいルールを導入する時の初期行動のチェックと指導
    1. 新たなルールや取組は、放置したら根付かない
    2. 根付くまでチェックし常に関与するのは幹部である
  10. 経営幹部への事実報告(部下が担当者でも、上司として把握して報告、部下に丸投げはご法度)
    1. 経営者は、部下の事実を把握していない幹部を評価しない
    2. 「部下に任せています」と言う報告をすれば、それは「その業務は私の責任外のことなので、知りません」と同義語

 

 

幹部向けの訓示や研修で使ってみてください。

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