病院や介護施設で、部下への権限移譲と任せ方
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病院や介護施設の幹部教育の中で、「仕事を部下に任せられるない幹部」をどう育成するかという研修で使ったレジメです。「任せられない幹部」には、性格とか責任感ではなく、「任せ方技術」を教える必要があると思います。それでは、下記にレジメを紹介しています。
「任せる」と「仕事を振る」の違い
- 「仕事を振る」には、作業を振るという視点で、部下育成が含まれない
- 「任せる」には、部下育成の視点が入っている
- 「仕事を振る」を多用すると、「振られた部下」は仕事の意義や目的を理解しないまま、被害者意識になったり、面倒臭がったりして、ただ流してしまう。結果本人の為にもならない。
上司が部下に任せられない本音の理由
- 自分がやったほうが手っ取り早い
- 部下に振ると「それはできません」と断れる
- 部下に任せると納期や期限に間に合わない
- 任せて業績が落ちるのが怖い
- 部下に任せると抜けが多い(二度手間になるから)
- この仕事を任せると、自分の存在価値が減ってしまう
- 現場の実務が好きだ(マネジメントは嫌いだ)
- 出来の悪い部下ばかりで、任せたくても任せられない
任せられず潰れる上司
- 「任せ下手」に共通しているのは、「自分でなければでき ない」と思い込んでいる。
- 責任を取らねばならないのは管理者である自分だから、 最後まで自分が行うという変な生真面目さ
- 「任せて、チェックして、指導する」と言う人材育成思想が、 結果的に欠落している。
- イチイチ教えたり、細かくチェックする事が苦手だと思っている。
- 部下に仕事を任せ、自分は新たなクリエイティブな仕事を創り出すのが、本来のリーダー業務である。
- 任せ切らないばかりに「実務的な作業の仕事はどんどん増え」「創造的な仕事ができず」「部下も育たない」「自分ばからバタバタして、チームワーク管理ができない」「経営者から、管理能力がないと評価される」と言う悪循環に陥る
- 「資質のない部下ばかり」と思い込んでいる管理者は、結果的にストレスで潰れていく。
「部下にお願いするより、自分がやった方が早い」がリーダーシップ不全の元凶
- 困った部下へ幹部が行う普通のマネジメント
- 褒める・なだめすかす
- 発破を掛ける(気合を入れる)
- 期限を設ける
- アドバイスをする
- 自分がうまくいった方法を教える
- 相談にのる
- 考えさせる
- 何故、「部下にお願いするより、自分がやった方が早い」と諦めるのか
- 部下への説明する時間があれば、自分ならすぐ終わるから(時間がもったいない)
- 迅速な対応が必要だから(いつも緊急になってしまう)
- 事前にいろいろ指示をしたり、準備、根回しが苦手だから
- 過去に何回も言っても、できないから
- 部下ができるようになると、自分のアドバンテージがなくなるから
仕事を振られ過ぎて潰れる部下
- 「潰れる部下」に共通している事は、「依頼された仕事」への疑問 や今の仕事量を明確に言えない。
- 「潰れる部下」に共通している事は、「責任感が強く、何とか期 待に応えよう」と無理をする。
- 上司から任された仕事が、「部下の能力・経験」をかなり上回って いる。
- 指示した上司は放任で、チェックも指導もいい加減にしている。
- 部下の仕事量、処理能力、現在の課題、今後の育成目標を考えずに、作業を振る上司が部下を潰す。
「任せる為」の基本姿勢
- 少しくらい背伸びしている位の業務を承知で任せる
- 何を任せるべきか、力量を見究める(苦手意識の業務の把握しておく)
- 明確に「お前に任せる」と相手に伝える・見せる(一緒に業務整理をする)
- 途中でヤキモキしても、部下にトコトンまで任せた仕事をさせる
- 途中での口出しは緊急以外耐える
- 中間チェック・定期的コミュニケーションを怠らない(思い付きの催促ではなく事前のスケジュール化)
- 仕事の進捗状況の「見える化」「自動報告化」など事前に仕組みを作る
- 「部下は先ず失敗するものだ」と割り切る(最初からパーフェクトを求めるから任せられない
- 自分と同じやり方、方法をコピーした部下を作ろうとしない(部下の個性を尊重する)
「何を任せるか」「何を職務権限移譲するか」を書きだす
- デイリーワーク(毎日)、ウイークリーワーク(毎週)、マンスリーワーク(毎月)、スポットワーク(随時業務)を書き出す
- 実際に貴方は何の「仕事」「作業」をしているのか、「仕事」をしているのかを客観分析する
- 仕事時間=管理時間、創造時間、計画時間が確保されているか
- 部下と同じ業務が多い場合、貴方は「多くのストレス」と「歯がゆい思い」をしているか、又は「汗を流して自己満足」しているかである
- 幹部がしている業務から、任せる業務を抽出
- 「幹部でなければならない業務」と「ぼちぼち移譲しても良い業務」に分ける
- 任せる業務の目的や成果、留意事項を部下に見せながら、説明する
- 言葉で言うより、分担表を見せて、権限移譲、役割変更スケジュールを見せた方が部下は理解する
「言って聞かせて」「して見せて」「やらせてみて」「褒めて」やらねば、人は動かじ(山本五十六司令官の言葉と言われている)
- 先ず、任せる仕事の内容、目的、成果への期待値を説明する。
- 多くの部下にも指示通りできない言い分があることを理解する
- 「気を遣えと言われるけど、どこまでして欲しいか言われてないから分からない」
- 「後から叱るのではなく、先にどこまで、どう行えと詳細な指示が欲しい」
- 経験のない部下には、「まず、見てなさい」とやり方を見せる。
- 見せて育てる時は、「一方的に見せて、後はヤレ」はダメ
- 各業務の失敗しやすいポイントを説明し、復唱させる
- 任せっぱなしにせずに、現場でみながら「やらせてみる」
- 「やらせてみる」時、上手くいかないからとイチイチ感情的に叱らない
- 「何故、上手く行かないのか」「何故、失敗したのか」原因を部下に考えさせて。言わせる
- その結果、上手くいかないのは当然として指導するが、少しでも要領が良かった点、教えた事を忠実に守った点、自ら気づいて対応した点等、小さな事を「褒めて、認める」
「任せ上手の上司」は、部門に情報の公開と共有を行い、チームで権限移譲を行う
- 上司が行おうとしている、誰にどんな仕事を任せようとしている事をメンバーにも情報公開している。
- メンバーは「上司から誰に何の指示があるか」を知る事で、上司が不在の場合でも、多方面からアドバイスが可能となる。
- チームで職務を移譲し、結果を出す為、業務移管計画の「見える化」、中間状況の「見える化」等の仕組みを構築している。
- 上司個人と任せる部下個人とだけに情報共有はしない。メンバーの多くを巻き込んでいる。
部下に任せ放しにせず、上司が自ら責任を持って行う事
- 部下に任せる事で上手くいかない可能性がある場合、大きなリスクになる場合
- 簡単な事だから部下に任せても良いと、高をくくっていたことが、実は結構な交渉が求められる場合
- 難しい顧客への対応(言い訳や自己正当化が目立つ部下、しっかり謝れない部下、直ぐエキサイティングする部下は不適)
- 最終品質チェック(商品、レポート、顧客へ流れる情報等)
- 社外へ出るプリント資料
- 社外へ出る製品
- 社外へ出るFAX、メール内容
- 部下から報告だけで判断せず、自分の眼でトラブルの原因を把握する
- 現場トラブルの事実は、直接自分の眼で確認(3現主義(現場、現実、現品))
- 部下は自己正当化している可能性がある
- 厳しい利用者、家族、クレーム処理と説明責任が必要な場合
- 2次クレームは初動体制の不備から起こる ② 誰が最初に対応するかで、その後が決まる
- 部門間の意見調整や、他部門の管理者と交渉が必要な事
- 部門長同士が常にコミュニケーションを取れて相互に信頼感があるなら問題ない
- 多くの場合、部下は「そういうことは上同士で話を付けてから、こちらに振ってくださいよ」と思っている。
- 部門の方針、戦略、目標に関わる事
- 部門方針、戦略立案は幹部の専権事項である
- 部下に考えさせても、幹部自身の意見が反映させないのは無責任
- 今までやった事がなく、新たな取り組みの場合の責任者
- 原則、部下は新しい事に挑戦したがらない
- 幹部が挑戦して、道筋を見せてこそ、部下がついてくる
- 微妙な経験則が求められる相手への交渉
- 経営者や役員への根回し
- 主要な顧客への交渉
- 新しいルールを導入する時の初期行動のチェックと指導
- 新たなルールや取組は、放置したら根付かない
- 根付くまでチェックし常に関与するのは幹部である
- 経営幹部への事実報告(部下が担当者でも、上司として把握して報告、部下に丸投げはご法度)
- 経営者は、部下の事実を把握していない幹部を評価しない
- 「部下に任せています」と言う報告をすれば、それは「その業務は私の責任外のことなので、知りません」と同義語
幹部向けの訓示や研修で使ってみてください。
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