「ベテラン技術者の退職と一緒に技術も退職」 それをいかに防ぐか?

SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。

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私のクライアントには製造業が多いのですが、ここ数年「ベテラン技術者」が定年を迎え、しかも継続雇用も過ぎた事で退職による、現場品質の課題が増えています。

やはりベテランの経験や暗黙知という技能技術は、一朝一夕には若手には伝承できていなという事でしょう。

特に中小中堅企業では、「技能伝承教育」に時間を取る余裕もなく、OJTの中で人材を育成しています。

では、どうしたら喫緊でベテランから若手へ技能伝承ができるか?

そのコンサルティングを今進めているので、そのリアル事例をご紹介します。

1、技能伝承が上手くいかない人材の断層

製造現場、技術設計現場の技術技能伝承が上手く進まない背景には、人材の断層があります。

65歳で定年するなら、そのベテランの後継者が50代にいるとか、50代、40代の中堅経験者が複数いるとか、なら技能伝承もまあまあでしょう。

ところが途中で退職したり、ある時期業績悪化で採用ストップした事などが影響して、中堅不在又は育っていないケースが多いのです。

この断層でベテランの次はいきなり、30代20代の若手になっている部門があるなら、それは品質劣化は起こり得るべくして起こっているという事です。

 

2、教育の「見える化」があまりに少ない現場

中小中堅企業の製造現場、技術現場では、大企業にように「見える化」教育のツールが不足しています。

マニュアルがあっても相当以前に作成したもので、今は誰も見てなかったり。

ほとんどは口頭伝承、経験中心のOJTだから、「形式知」が弱い。

ルーチン業務なら何回も作業をするので覚えるが、特注品や特定の技能者しかできない作業になると、ある特定の人しかできず、それを形式知として残していません。

だから、技能者の定年退職と共に、技術も退職してしまうのです。

そして残された若手はまた一から覚えます

当然、効率や利益を考えるので、楽な汎用品ばかりを設計製造するようになり、価格競争まっしぐらに走っていきます。

ベテランがしていた「高技術製品」は「できないからやらない」という事で、その組織から「高い技術」がいつの間にかなくなっていくのです。

 

3、まずは作業チェックリスト、スキルマップから

何も手を打たなければ、「ベテランの定年退職と共に、技術も退職」します。

そこで私のクライアントでは今、業標準書や作業ごとチェックリスト、スキルマップなどの「技術の見える化」を部課長中心に進めています。

確かにベテランクラスの微妙な判断技術やノウハウはなかなか「見える化」できませんが、新人や若手の教育にはこの作業標準書、業務チェックリストは効果的です。

またスキルマップは個人ごとの技能レベルを「見える化」できるので、ベテランの定年退職前に、特定技能を特定技術者の教育ノルマとして与えることも可能です。

こういう「見えるツール」がないと、技術教育はなかなか前進しません

 

4、動画マニュアルをどう作っているか? 

そして、ベテランの「カンコツツボ」は動画マニュアルで、可能な限り見える化します。

ベテランが作業しているところを見やすい箇所でカメラ(スマホでも可)をブレないようにして撮影します。

実はこの時一番大事なのは、「光の加減」と「zoom」です。

せっかく撮影しても見づらいと意味がありません。

その動画にポイントとなる「カンコツツボ」を後からテロップでしっかり目立つように入れます。

だいたい一作業2~5分程度のものです。

最初のモデル動画はプロの業者を入れて作成してもらいます。

その後撮影方法、テロップの入れ方などを指導してもらってから、各部門で必要な動画マニュアルを数十個単位で作成します。

この動画マニュアルがあると、モデリングという教育にも使えるのでこれからはこれが主流になるでしょう。

 

この動画マニュアルやチェックリスト、手順書、スキルマップなどの支援コンサルティングノウハウは、7月と9月の「RE嶋田塾」で事例や進め方ノウハウを公開します。

6月から「RE嶋田塾」は募集再開しています。

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