嶋田利広ブログ

コラム

経営者が自ら動きだす「論理と感情に問いかける」コンサルティング面談

 

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経営改革は最終的には「経営者が動く」事でしか前進しません。

コンサルタントや会計事務所職員がいくら成果が上がる理論的な具体策を伝えても、経営者が動かない事には幹部も動かず、社員も動きません。

半面、大した提案でもなく、大きな戦略的な理論でもない事でも経営者が陣頭指揮をとって動けば何らかの成果が出てくるものです。

「コンサルタントの王道とは、経営者を変えること」

これは著名なコンサルタントが言った言葉です。

しかし、王道と言われてもなかなか経営者は提案した事を実行してくれないものです。

ではどうすれば、経営者の意識が変わり、自ら行動してくれるのでしょうか?

これまでいろいろな経営者とふれあい、私自身が産業カウンセラーとして学んだ理論と実践の中で感じている事を報告します。

 1、理屈で動く経営者への動機づけ

理屈で動く経営者には、ロジカルツリーを使って理論的に説明すると結構納得してもらえます。

ロジカルツリーは「Whyロジカル」と「Howロジカル」に分かれます。

「Whyロジカル」とは、起こった事象の原因(それは何故、それは何故)を何回も深掘りし、真因を見極める事です。

「Howロジカル」とは、真因が分かった事でそれを解決する為に具体策を「それをする為には」を細かく掘り下げていきます。

実は私もたまにこの手法を使います。

モニターにExcelのロジックツリーをみせて、ヒアリングしながら先方の言葉を分かりやすく記載していきます。

すると経営者は自分自身で言った言葉なのに、徐々に納得していきます。

頭の中のモヤモヤが整理される瞬間です。

        Whyロジカルツリー                  Howロジカルツリー

200813ロジカルツリー_2.jpg

 

2、感情で動く経営者への動機づけ

逆にいくら理論的な理屈を言っても反応しないけど、感情的な言葉や心に問いかけると反応する経営者がいます。

その一番のポイントは「経営者の要望」だと思います。

●不安の解消

●喜びの実現

●安心感の保全

●恐怖の回避

●嫌な思いからの解放

この「経営者の心の要望」に問いかける為に、昔から行われているのが「アジテーション(煽り)」です。

ある経営課題があります。

その課題を放置する事によって、今後どんな問題が起こり、それが「経営者のどんな感情に影響するか」を展開していくわけです。

例えばコロナショックで売上不振で資金不足になったとします。

資金不足の延長線上には破綻という二文字があります。

その前に「他の売上を上げる為の行動」が経営課題だとします。

これまでコンサルタントや会計事務所は「このままではダメだ。早くネット売上でリアル売上の補填をしましょう。その為にはまず…を行動しましょう」と何回も提案してとします。

しかし、経営者はなかなか動かない。

二言目には「まだ何とかなる。また政府系融資や補助金が出る。コロナだから皆仕方ないと思っている」と逃げの言葉ばかり言います。

そこに「アジテーション」を入れます。

●もしこのまま資金不足が続くと、社員の賞与カットの説明をする時、社員はどう困るか

●社員が労基に垂れ込んで会社名がニュースやネットに出たらどうなるか

●社長のご子息が大学に行くときの資金がない場合、子供の負担を掛けるか

●今の生活が維持できない時奥さんはどんな態度や感情がでるか

●今まで格好つけて生活していた水準を落とす事で、世間は社長をどう見るか

こういう「アジテーション」を数回深く掘り下げ、経営者自身に答えて貰います。

答える事で頭の中で「恐怖を回避したい」という感情が生まれ、「確かにこのままではダメだ。じゃあ何からすればいい?」と自発的に聞き返してくる場合があります。

その段階が行動へ移そうと意欲が生まれた瞬間です。

 

3、日常会話にPASONAの法則を意識する

恐怖への回避や喜びの実現、嫌な思いからの解放の感情に少しでも火が付けば、先に提案した理論的な課題解決策を真剣に聞くようになります。

実はセールスプロモーションをする時、DMやランディングページの書き方、TVショッピングの流れがある法則に沿って解説や文書が書かれている事をご存じでしょうか。

それがPASONAの法則です。

P…プロブレム(課題や困りごとを具体的に明らかにする。どんな症状や現象面が露呈しているか事実を書く)

A…アジテーション(その課題、困りごとが影響する事実を列挙、更にそれを解決しないまま放置すると後からどんな災いがあるか具体的に落とし込む)

So…ソリューション(その問題を解決する為の具体策や方法論を提案する。またその方法論で成果が出ている事例を紹介。更にそれをサポートするコンサルタント自身の経験やノウハウを示す)

N…ナローダウン(具体策や進め方、期限などの絞り込み。いつからどのようにアクションすれば課題解決が進むか、誰を巻き込み、どんな企画や準備をすればいいかを取り決めていく)

A…アクション(まず当月中にやるべき事、最初に行う事の日程決め、今後の詳細スケジュール)

経営者の感情を動かし、行動につなげる為には販売心理と同じ「PASONAの法則」を意識すると、堂々巡りの経営会議が新たな展開になるかもしれません。

 

 

どんなに経営者に提案しても、経営者が動かない最大の理由は「具体策より心理面での確認不足」だったかもしれません。

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