「何故」から考える、事務所の課題と対策を整理するロジック
今、会計事務所には様々な戦略的な活動が求められています。「経営改善計画書」「相続・事業承継」「医業経営コンサルタント」「公益法人開拓」「農業指導」等、以前であれば、あまり多角的な活動をしなくても、十分食って行けたかもしれませんが、時代の変化と共に「会計事務所の存在意義」が変わり、それにどう合わせるか、いろいろ苦慮されているのではないでしょうか。
新たな取り組みは必要ですし、それがなければ事務所の将来はないのだろうと思います。しかし、現場に眼をやると、新たな取り組みをしようにも、旧態依然の職員の仕事の仕方、仕組みが効率的になっておらず、負担増ばかりの実情。また、戦略的な事をすべき幹部が一番多くの顧問先を抱え、顧問先を部下に移そうにも、部下も少ない件数で手一杯と言うケースは多いのではないでしょうか。
実は、弊社が指導している会計事務所でも同じような状況のところも結構あります。
特に弊社と戦略的に顧問先向けのコンサルテーションや、経営改善計画書作成等のノウハウづくりをしようとすると、その担当者である幹部クラスが、業務量も多さにアップアップになるだけでなく、品質内容の希薄さが懸念される事態に陥る場合も出てきます。
そんな時、「幹部なのだから、何とかしなくてはならない」と意識だけ先行しても、実はなかなか前進しないのです。その課題解決に具体的なメスを入れ、システムとして解決する手法が【ロジック研修】と言うものです。これは、弊社が一般企業の課題解決の為に行う研修を会計事務所バージョンとして構築したものです。研修のポイントは、「今、起こっている具体的な課題がどんな原因によっているのか【Why】を何回も繰り返していくのです。ありがちな研修や会議では、即解決策を検討する企業や事務所が多いのですが、だから実行もされず、同じ課題を繰り返すのだと、考えています。
【How】で出された具体策は、【Why】で導かれた本当の原因『真因』の裏返しでない限り、現場の人間はなかなか実行しないのです。
【Why】の繰り返しの中で、職員の資質、やる気、顧問先のレベルの問題には触れないようにします。あくまでも物理的な対策がでるようにもっていくのです。
「職員の資質・ヤル気」が原因だというなら、さらに深堀して、「何故ヤル気が起きないのか」「何がやる気を阻害しているのか」を実務名で議論してもらいます。 「顧問先のレベルが低い」が原因なら、「レベルが低い事が実務面ででる箇所は・・・」「できないのか、させてないのか」等、どんどん深堀します。
ロジック展開ですから、1つの問題に対する直接的原因が2~3個、その直接的原因が起こる理由が各2~3個、さらにその理由が2~3個、最低3回以上、様々な事実としての原因を整理していきます。何回も原因展開されると、4回以上はほとんど、「具体的に何をすべきか」になっていきます。そういう議論展開に持っていくのがノウハウです。
例えば、ある事務所では「顧問先が本来行うべき作業を職員が行い、時間を取られるだけでなく、責任も感じ、不安感も感じ、時に数字を間違えて、顧問先経営者から叱責を貰い、さらに経営者への苦手意識がでて、何とか作業の労力で挽回しようとする」
こんな状況でも、何故は2つあります。「何故、顧問先がしてくれないのか」「何故、顧問先に言えないのか」と。「何故、顧問先がしてくれないのか」の原因も2つほど考えます。「仕方を教えてない」「顧問先が自分で行うメリットを知っていない」等。これも、さらに1つずつ掘り下げていきます。そうすると、事務所として何を、当面をしなければならないのか、職員任せにせず、幹部がどういう対応をすべきか等の具体的な決定事項が出てきます。
その決定事項は、現場職員の「できない理由」の解決策ですから、職員も歓迎します。実際には、その決定事項を実施するには、幹部の顧問先には少しだけ、月次監査の頻度低下ややるべきことの延期も必要な場合もあります。
新しい戦略的な事をドンドン始めるのはいいのですが、現場の課題を放置したまま、突っ走っても、品質の劣化と職員の退職、顧問先離れと言う事務所基盤の喪失にもなりかねません。
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