「何故」が聞けない会計事務所職員

会計事務所職員が経営者から深く聞き出せないのは「何故か」考えてみました。いろいろな会計事務所職員のロープレ研修をしていると、単純ですが、ある傾向を感じ取る事ができます。それは、経営者から聞かれた事には一所懸命、答えようとしたり、アドバイスしようとする姿勢があるという事です。これは職務特性上やむ負えない事かも知れません。  しかし、その習慣が税務関係以外の経営課題においても、狭い知見の中でアドバイスしようとすると、ピンとはずれになる事が多々あります。

もしかしたら、それでも経営者の中には、頷きながら聞いてくれる方も多いので、「自分のアドバイスが役に立っている」と誤解しているのかもしれません。

 そのアドバイスが効果的かどうかは、そのアドバイスに対する経営者の食いつきが強いかどうかで決まります。興味があるアドバイスなら、そのアドバイスに関連する質問や話題の時間が続くし、場合によってはメモ書きするかもしれません。そういうリアクションのないアドバイスはほとんど空回りと言っていいと思います。経営者への質問力を高めるには、下記の事を常日頃から意識する事が重要です。

  • 経営者は唐突に何の根拠もなく、「○○がしたい」とか「○○を止めたい」とか「○○についてどう思うか」などの問いかけはしないと考える。
  • 質問や行動の背景に理由があるので、先に聞き出すのは「どうしてそう思ったんですか」「何か、ありましたか」とその原因を聞き出す事が最重要である。
  • 経営者が経営課題で「○○したいんだけど、どう思う」と直接聞いてくる場合は、自分なりに答えを決めている場合が多い。
  • その答えが職員の価値観と異なった場合「社長、それは止めた方がいいですよ」や「社長、それは逆にやるべきですよ」と直球で否定してはいけない。内容を吟味する前に否定されれば、相手は面白くない。

経営者の発言の真意を聞く事が「質問」のスタートである。そして、質問する時に注意して欲しいのは、相手は答えやすいヒントや可能性を伝えるという事です。そのポイントとして

  • 経営者自身に答えや真意が明確でない場合、「何故」「どうししたい」のかを連呼しても話は進まない。
  • 経営者の問いかけやこちらからの質問への返答しやすくする為には、類似事例のヒントを示す。
  • 「ヒント」は誰もが知っている大企業の事例、自分の顧問先であった事例、人から聞いた事例を使い「某社では、こんな方法をしましたが、社長の会社では、どんな事なら可能性がありますか」と聞く。
  • 「○○すれば可能性はありますか」「こういう方法は全くダメですかね」等と、ヒントや事例から経営者の意見を出るように進める(職員のこういう積極的な態度は、ピンとはずれの質問でない限り、大変好感をもたれる)

とにかく、経営課題への会話では、アドバイスを控え、質問による真意の深堀の注力しましょう。

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