嶋田利広ブログ

会計事務所の職員教育

会計事務所の顧問先減少と値下げ対応のその先

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴う非常事態宣言で、経済も社会も機能がマヒ状態です。 会計事務所の顧問先である中小零細企業、特に来店型ビジネスの飲食やサービス業は、売上ゼロも珍しくありません。

今は緊急融資で急場をしのぐにしても、3か月後、6か月後営業再開したところ、この負債を支えるほどの収益が短期間に上がるとは思えません。 当然、中小零細企業は倒産、廃業が増えるので、会計事務所やコンサルタントの顧問先や顧客が大きく減ることになります。  

1、悲鳴を上げる会計事務所の顧問先

ある会計事務所に多くの顧問先から、こんな依頼が増えているそうです。 「顧問料を下げてほしい」 「自動引き落としを中止してほしい」 「月次の指導から年一の決算だけにしてほしい」 当然、会計事務所は何らかの対応を行います。それは事務所の収入が減ることを意味します。

また、先が見えない顧問先から相談を受けても、どう返していいかわからないと困っている職員も多数います。 今、下手な事業展開策や販促策は打てず、さらに仕掛けといっても余裕のない中小零細企業、Webなどのリテラシーのない事業所には、融資、資金繰りや補助金以外何もアドバイスができません。  

2、コンサル業界で解約・値下げにならない顧客の特性

我々コンサルタント業界も、中小零細企業のクライアントは似たようなものです。 ただし、ある一定規模以上のクライアントは延期はあっても、解約・値下げの話にはなっていません。 当社のケースで言えば、売上5億円未満の企業のクライアントは延期や中止が出ていますが、10億円以上に企業クライアントは通常通りです。むしろ、コロナショック後の対策でどうするかの議論をしています。

また、同じく解約・値下げになっていないところは医療介護のクライアントです。 確かに医療介護は今、面会禁止の状態なので訪問はできない状況ですが、感染拡大が収まれば再開していきます。 このように、コロナショックで縮小経済の影響をまともに受けているクライアントは、解約・値下げになりますが、そうでないところは影響が少ないといえます。  

3、コロナショック後狙うマーケット⑴「規模の大きい企業」

今回のコロナショックで中小零細企業が最低でも10%、多ければ25%倒産廃業するといわれています。しかもリストラは縮小をしたうえでの数値です。 しかし、規模がある程度大きい(売上10億円以上)は、金融機関もそうそう簡単には倒産させないでしょう。 こういう規模の企業は既に税理士や公認会計士が深く入り込んでいるので、セカンドオピニオンといってもそう簡単ではありません。 この規模を狙うなら「深い専門性」「特殊性」「独自性」のミニコンサルが必要な武器になります。

非税務のコンサルティング業務から営業をかけない限り、増やすことは難しいでしょう。 私の経験でもこんなことが言えます。 事業承継や相続税対策を支援している顧問税理士がいる企業から、「経営承継の可視化コンサルティング」の依頼を受けるケースが数社ありました。これが税理士の事業承継と我々の経営承継は違うと経営者が認識しているからです。 だから、顧問税理士が入っている企業でも、深い専門性のある提案をするか、非税務業務のコンサルティングを提案するかで開拓の可能性はあります。  

4、コロナショック後狙うマーケット⑵「非民間企業」

今後の経済は当面、一般企業にはとても苦痛な時代になります。 本来の経済活動である売上が上がらない市場環境になるからです。 まだ官需の企業やライフライン、インフラ系、第1次産業、食品製造、物流、商流などは人間生活に不可欠なので、ある一定の収入が見込めます。 しかし、多くの企業で業績悪化は避けられません。

すると、非民間企業で社会生活に必要な業種を強くすることです。 例えば医療介護。 既に既得権者の税理士が入っていますが、「非税務のコンサルティング」から入れば、可能性はあります。 今、多くの税理士事務所が医療経営や人事コンサルを学習して、この分野に入り込もうとしていますが、今回のコロナショックで、もっと違う分野から参入した方がいいように思います。  

5、コロナショック後狙うマーケット⑶「起業・フリーランス」

大量の倒産とリストラで失業率は相当な悪化が予想されます。 倒産、リストラで職を失った人、早期退職で自ら退職した人、しかし再就職はよほどの「スキル」「ノウハウ」がなければ難しいでしょう。

さりとて生活をしていかないといけない。失業手当はそのうち切れますから。 すると小さな可能性だが当面、起業やフリーランスを選択する人が増えます。 そこには新規創業融資や新設法人もあります。 フリーランスでも将来を考えたビジネス展開を求める人もいます。 そこに、いろいろなサービスを添えて、寄り添う支援をパッケージ化することで「少額でも大量の顧客拡大」の可能性があるわけです。  

いずれにしても、通常の税務業務を一生懸命にしていればできることではありません。 少なくとも、監査担当者には「コンサルティングスキル」や「コーチングスキル」「ファシリテーションスキル」そして「見せる事例」が必須です。 こういう付加価値を目指さない監査担当者は、そのうちお払い箱になるということでしょう。

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