茹でガエルの会計事務所、サバイバルのコンサルタント業界
新型コロナウイルスの感染拡大で、さまざまな業界は激震が走っています。 私たちのコンサルタント業界は、一部の機能(融資や法務)を除いて、有事には「不要不急」になります。 当然、今は集まる事すらできない以上、会議もセミナーも研修も中止延期が頻発し、極端な生産性低下を余儀なくされています。
恐らく、コンサルタント業界はこの「コロナショック」を契機に、大きく変革していくのだろうと思います。 市場規模が縮小するので、優勝劣敗がハッキリします。 USPのないコンサルタントは自身の「出口戦略」を考える機会になりそうです。
コンサルタントのサバイバル戦略を一言で言えば、 「ある程度規模のある健全企業の顧客を増やす」事です。 多くの中小零細企業は倒産廃業が予想されます。 どんな有事でも強い中小企業は存在します。 そういう所とお付き合いできるようなUSPやサービス、付加価値、専門性を構築できるか否かで、「出口戦略」を選ぶコンサルタントと、「サバイバル成功」のコンサルタントに分かれていきます。
反面、会計事務所はどうか? こんな状況下にも関わらず、まだまだ危機感がない職員が大いのに呆れるばかりです。
1、安定した顧問料だから変革の危機感を感じない
これはコンサルタントでもある事です。 経営顧問の売上が大きい場合は、多少の有事でも解約にはなりません。 会計事務所の場合、ほぼ顧問収入なので仕事をいつも通り粛々としていけばいいと思っている職員が多いのでしょう。 確定申告の期限が多少延長されたり、3月決算企業の作業で、この時期の多忙感もあるでしょうから、「コロナだから仕事が激変した」とは感じてないでしょう。
また、仮に感染を心配して訪問せずに監査業務をしても、顧問料はいただけます。 しかし、コンサルタント業界のこれまでの基本は「訪問して、face to faceでの指導」に対してそれなりの対価を払う事を前提にしたケースが多いです。 今は、zoomなどのツールで多少のつなぎのサポートは可能ですが、経営顧問がすべてzoom、研修がすべてzoomとなれば、コンサルタントの価格体系が大きく変わるような気がします。 コンサルタント業界は、今眼の前に安穏としていられない現実がある訳です。 しかし、会計事務所は、今日明日極端な顧問料ゼロはないので、その危機感が少ないのでしょう。
2、コロナショックで顧問先が倒産廃業し、件数激減の恐怖
確かに今回の有事の際でも会計事務所の仕事は安定しているかもしれません。 忙しさの輪をかけるのが、緊急融資対応です。 資金繰りが喫緊の課題である顧問先は、その資料作りや相談を会計事務所にするので、確定申告、決算期の忙しさを更に忙殺されています。 しかし、その後、例えば6か月後に当面の資金を確保した中小零細企業は、極端な不況により、大幅な売上低迷が予想されます。
返済猶予では済まず、倒産廃業がどんどん増えるでしょう。 すると、1人当たり件数が減少します。こんな時期だから新規拡大もほぼ難しい状況です。 そして、危機対応の遅かった会計事務所も売上低迷を余儀なくされます。
3、会計事務所はリストラか付加価値かの選択
会計事務所の固定費のほとんどは人件費です。 普通の企業のリストラのように資産売却やコスト削減の余地があまりありません。 すると、経営戦略として「売上に相応しい適正人員にするリストラ」か「付加価値を上げて売上を維持する積極戦略」かの二択になる訳です。 今の多くの会計事務所の現状では、どちらも厳しい選択です。
該当人材がいて、資金余力があり、ノウハウやスキルアップの投資ができる事務所は「コロナショック後を見据えた付加価値対策」に舵を切るでしょう。 しかし、そういう余力のない事務所は極端に言えば、「税理士だけで再出発」する方が賢明なのです。 問題は無資格者で、生産性の低い職員をどうリストラするか、です。 失業率の急増が予想される中で、再就職が難しい状況です。 職員も生活があるので簡単には「退職勧奨」には応じないかも知れません。 しかし、残る職員には今後厳しい自己変革と目標、給与ダウンの覚悟が求められます。
4、いずれ落ち着くコロナショック後を見据えて準備
今は、パニック状態で新たなこともできないし、行動自体も制限されています。 しかし、いずれどこかで終息します。 すると、今はコロナショック後に一気に活動する為にひそかに「仕掛け」と「仕込み」を徹底して行う時期です。 先ず、会計事務所が行う準備は「付加価値」への取り組みとスキルアップを徹底して、差別化の準備をする事です。 作業の効率化が否応なく、RPAやクラウド、AIにより進められるでしょう。 しかし、付加価値はまだまだ機械ではできません。 当社もついに「SWOT分析スキル検定初級講座」のオンラインコースを設置しました。 また、後日、「経営承継の可視化」の「経営承継戦略アドバイザー検定 オンラインコース」も開発予定です。 更に、zoomを使い、ロープレ研修をリアルに学習して貰ったり、「コロナショック後」の対策をいろいろ考えています。 会計事務所もできる付加価値を真剣に実践に移す段階です。
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