2026.4.3 「自分のため」のAIから「社長のため」のAIへ。監査担当者が現場で“経営の軍師”に変わる瞬間

「生成AIの研修もやった、ツールも導入した。なのに、なぜ現場の担当者は経営支援に使ってくれないのか?」
多くの会計事務所の所長が抱くこの悩み。
実は、現場の監査担当者もまた、「使い道」の正解が見えずに立ち止まっています。
多くの担当者は、自分の税務調査や事務作業の効率化にはAIを使い始めています。
が、そこから一歩踏み出し、顧問先である中小企業の社長の目の前でAIを駆使して経営課題を解決するまでには至っていません。
しかし、今、社長が求めているのは「正確な試算表」の先にある「即座に示される経営のヒント」です。
今回は、最新の私が支援している会計事務所の「生成AI活用状況調査データ」を踏えた提案をしたいと思います。
監査担当者が自分のためのAI活用を卒業し、社長から「〇〇さんに聞けば何でもすぐに答えが出る」と信頼される“経営の軍師”へ進化するための具体的な方法をお伝えします。
1. なぜ「自分のためのAI」で止まってしまうのか?
現場のリアルな活用状況を見ると、ベテラン・若手を問わず、AIの用途は「自分自身の作業効率化」に集中しています。
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ベテラン担当者は決算報告資料の作成や、顧問先からの質問に対する「裏取り」としての税務調査にAIを利用しています 。
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若手や新人層も、自社株評価のスライド作成や仕訳の調査、PDFの要約といった、事務所内での内勤作業がメインです 。
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多くの担当者が1日5分から30分、長い人で60分程度AIに触れていますが、その多くは「事務所作業」や「自分が調べたいもの」の域を出ていません 。
なぜここで止まってしまうのでしょうか。
それは、会計事務所の職員が持つ「正解を出さなければならない」という強いプロ意識が、逆にハードルとなっているからです。
ハルシネーション(もっともらしい嘘)を嫌い、確実な税務判断には慎重になる。
その結果、答えが一つではない「経営相談」の場でAIを使う勇気が持てず、結局、自分一人で完結できる「調べもの」に限定してしまうのです。
また、繁忙期になれば「新しいことに挑戦する余裕」を失い、慣れた手法に固執してしまうのも、現場に共通する大きな課題です。
2. 社長が求めているのは「正解」ではなく「ヒントのスピード」である
しかし、社長が抱える経営の悩み(人手不足、販路拡大、資金繰り、社内規定の整備など)に、そもそも唯一無二の「正解」はありません。
社長が担当者に期待しているのは、完璧な経営助言ではなく、「今、この場で、考えるためのヒントをくれること」です。
私が支援している会計事務所の現場で、すでに一歩踏み出している担当者は、以下のような「非税務」の領域で大きな成果を上げています。
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即座のサンプル作成: 顧問先から賃貸借契約書の作成を相談された際、その場でAIを使ってサンプルを作成し、非常に喜ばれた事例があります 。
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多言語・多目的対応: 外国人雇用企業において、管理会社へ提出する資料のひな形を現場で一緒に操作しながら作成し、課題を解決したケースも報告されています 。
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補助金の確認: 補助金の要件確認などを、NotebookLMなどを使って画面を一緒に見ながら説明することで、情報の透明性と安心感を提供しています 。
これらの事例に共通するのは、担当者が一人で持ち帰って検討するのではなく、社長の目の前で「一緒にAIを操作している」点です。
社長にとって、目の前で自分の悩みが言語化され、具体的な形になっていくプロセスそのものが、税務顧問料以上の価値として映るのです。
3. 今日からできる「バンバン回答を出す」ための3つのアクション
「AIを使って経営支援を」と難しく考える必要はありません。
大切なのは、AIを自分のPCの中だけに隠さず、社長とのコミュニケーションの「真ん中」に置くことです。
以下の3つのステップを試してみてください。
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ステップ1:PC画面を社長に見せながら対話する 「ちょっとAIに聞いてみましょうか」と一言添えて、ノートPCやタブレットの画面を社長に向けます。GeminiやGPT、NotebookLMなどを使い、社長の抽象的な悩みをその場で入力します。一緒に画面を見ることで、AIが出した回答に対して「ここはうちの業界だとちょっと違うな」「この視点は面白いね」と、対話が自然に深まります。
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ステップ2:「税務以外」こそAIに丸投げする 税務判断は慎重さが求められますが、販促のキャッチコピー、社内イベントの企画、就業規則のたたき台作成などはAIの得意分野です。社長が「最近、人が定着しなくて……」と漏らしたら、即座に「定着率を上げるための施策をAIで5つ出してみますね」と動く。この「スピード感」が、社長の満足度を劇的に高めます。
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ステップ3:繁忙期こそ、AIに「叩き台」を作らせる 忙しい時期ほど、ゼロから文章を作ったり考えたりする時間は惜しいものです。面談の前後にAIを使って要約やフォローメールのドラフトを作成させる習慣をつければ、浮いた時間で社長の顔を見て話す時間を増やすことができます。
4. AIを隣に置いた時、あなたは「税務担当者」を超えて「経営のパートナー」になる
監査担当者がAIを「自分の道具」から「社長への武器」に変えたとき、顧問先との関係性は劇的に変化します。
社長から「〇〇さんは税務だけじゃなく、困ったときにすぐ解決策を提示してくれる軍師のような存在だ」と言われる。
そんな未来は、決して遠いものではありません。
最新のツールを隣に置き、社長の目の前で「バンバン」とアイデアを出す。
その姿勢こそが、AI時代に生き残り、選ばれ続ける会計事務所の新しいスタンダードになるのです。
まずは次の訪問で、「ちょっとAIで調べてみましょうか」と切り出すところから始めてみませんか。
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