嶋田利広ブログ

会計事務所の職員教育

2026.4.9 中小企業の「AI足踏み」を突破せよ!会計事務所が月次監査で示すべき「背中押し」の具体策

 中小企業のAI足踏み突破せよ.jpg

「AIを使えば業務が効率化する」

「ChatGPTやGemini、Claudeは革命的だ」

そんなニュースが溢れ、中小企業の経営者の多くも「うちもそろそろ、何かやらないといけないな」と口では言います。

しかし、次回の監査担当者が月次監査で訪問した際、実際にAIを触っている経営者がどれほどいるでしょうか。

一部の感度の高い幹部が個人的に試してはいるものの、組織全体としては

「結局、何に使えばいいかわからない」

「今はまだ忙しい」

と、具体的な一歩を踏み出せずにいるのが多くの中小企業のリアルです。

経営者の心の中には、変化への焦りと、得体の知れないツールへの戸惑いがまだまだ同居しています。

今、その停滞した空気を破り、経営者の背中を力強く押せるのは、システム会社でもITコンサルタントでもありません。

毎月、会社の数字を握り、経営者の悩みを一番近くで聞いている会計事務所の皆様です。

今回は、監査業務の延長線上で、いかにして経営者に「AIの凄さ」を体感させ、行動を促すか、その具体的なアプローチを探ります。

 

1,「使ってみたいが動けない」経営者の本音と、会計現場のリアル

会計事務所の職員として顧問先を回っていると、こんな場面に遭遇しませんか?

経営者から「最近よく聞くけど、AIって実際どうなの?」と振られ、良かれと思って「凄く便利ですよ。議事録も作れますし、調べ物も一瞬です」と答える。

しかし、経営者の反応は「へぇ、凄いね」と感心はするものの、そこで会話が止まってしまう。

次月に訪問しても、パソコンの画面には相変わらず以前と同じ古いソフトが並んでいる。

これが、多くの中小企業で起きている「AI活用の壁」です。

経営者が動けない最大の理由は、AIが「自分の商売」にどう直結するかがイメージできていないことにあります。

特にITに馴染みの薄い地方の零細企業などでは、AIは「自分たちとは住む世界が違う高度なもの」という先入観があります。

監査担当者がどんなに言葉を尽くして利便性を説いても、それは経営者にとって「他所の国の話」にしか聞こえていないのです。

また、会計事務所側も「ITのことは守備範囲外だから」と、一歩踏み込んだ提案を躊躇してしまう。

この双方の「心理的な距離感」が、活用が進まない最大の原因となっています。

 

2,「凄さ」をどう見せるか?会計事務所ができる「デモ」の極意

経営者の重い腰を上げさせるには、理屈ではなく「体験」が必要です。

それも、汎用的な事例ではなく、その経営者が「今、まさに悩んでいること」をその場で解決してみせる「ライブ感」が欠かせません。

例えば、月次監査の雑談の中で、経営者が「最近、求人を出しても全然人が来ないんだよね」とこぼしたとします。

その瞬間こそがチャンスです。

「所長、ちょっと面白いものをお見せしますね」と言って、その場で生成AIを立ち上げ、こう打ち込みます。

『地域で一番アットホームな町工場の求人票を、若者がワクワクするようなキャッチコピー付きで、3つのパターンで作成して』

わずか30秒で、自分たちでは思いつかなかったような魅力的な求人原稿が画面に踊り出すのを見たとき、経営者の目は輝きます。

「え、これ、うちのこと言ってるのか?」という驚き。

この「自分の悩み」が「目の前で」「一瞬にして」解消される体験こそが、最大の説得力になります。

他にも、就業規則の分厚い冊子をスマホで撮り、「この第5章を小学生でもわかる言葉で3行で要約して」と指示する。

あるいは、新商品の名前を30個出させる。

こうした「30秒のデモ」を月次訪問のルーチンに組み込むだけで、経営者のAIに対する心理的ハードルは劇的に下がります。

 

3,監査業務の延長でできる、具体的な「背中押し」アクション

では、具体的に監査担当者はどのようなステップで行動すべきでしょうか。

特別なコンサルティング時間を設ける必要はありません。

日々の監査業務の「ついで」に組み込むのが最も自然で効果的です。

まずは、試算表の説明が終わった後の5分間を「AI体験タイム」と決めてしまいます。

「今月の数字を見て気になった課題を、一つだけAIに相談してみませんか?」と持ちかけるのです。

例えば、売上が落ちている理由を仮説立てして、その対策キャンペーンのアイディアをAIに出させる。

あるいは、経費削減のための具体策をリストアップさせる。

ここで大切なのは、担当者が「教える側」に立とうとしないことです。

経営者と一緒に

「これ、凄い回答が出ましたね!」

「これはちょっと的外れかな(笑)」

と、AIを囲んで一緒に遊ぶような感覚で向き合うのです。

また、監査報告書と一緒に、AIで作った「今月の業界動向要約」や「経営への一言アドバイス」を添えて渡すのも有効です。

「これ、実はAIで作ったんです」という一言が、経営者にとって「身近な担当者が使いこなしているなら、自分もやらなきゃ」という強力な同調圧力を生みます。

監査という定期的な接点があるからこそ、一過性のブームで終わらせず、継続的な「背中押し」が可能になるのです。

 

生成AIの活用は、単なるツールの導入ではなく、中小企業が生き残るための「思考のアップデート」です。

しかし、経営者が一人でその山を登るのは容易ではありません。

だからこそ、最も信頼され、定期的に対話ができる会計事務所がガイド役を務めるべきなのです。

立派な提案書はいりません。

次回の訪問時、経営者の悩みを一つだけ、スマホのAIアプリに投げかけてみてください。

その30秒の驚きが、顧問先の未来を変える最初の一歩になるはずです。

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