新規事業SWOT分析の「機会」のアプローチ方法
新規事業の参入の可否判断をすれる際に、SWOT分析が用いられるのは、以前にもご紹介しました。しかし、ただ闇雲の「機会」を羅列しても、なかなか議論の整理や、新規事業の絞り込みはできません。ある程度、新規事業の方向性が決まっている場合は、良いですが、そもそも「わが社はどんな新規事業で、将来への布石を打つべきか」、新規事業のネタも決まってない場合、「機会」のアプローチの方法をある程度、フォーカシングしていくべきです。
そこで、当社では、4つの新規事業の機会分析のアプローチを行っています。
4つとは
「経営資源からのアプローチ」
「具体的な顧客ニーズからのアプローチ」
「市場ニーズ、社会ニーズ対応からのアプローチ」
「市場創造からのアプローチ」
です。
1、経営資源からのアプローチ
経営資源とは、一般的に「技術」「販売組織」「顧客」「開発力」「組織力」「資産」「人材力」などを指します。その中で、新規事業の「機会」の代表的なモノが、次の3項目です。
- 技術力・開発力の横展開(活かせる技術を他製品へ)
- 今現在持っている技術力や開発力を、まだ自社でやった事がない製品や開発に使う事です。技術を棚卸し、他の製品開発に横展開可能なものを列挙して、ニッチ市場に使えるか、後発だが安く提供できるかどうかを検討します。
- 組織力の横展開 (不動産、動産、拠点、サービス活用で新戦略)
- 組織力は、販売組織、拠点組織、社内の使える組織機能(特定部門)や不動産等を指します。これらの組織を使う事で、どんなニッチ市場やニッチカテゴリーの「機会」を取りに行けるか議論します。
- 顧客・ネットワークの再活用
- 今の顧客の属性、点在地域、取引形態、顧客と自社の強い関係性(囲い込み戦略等)から、既存商品以外の新たな展開が可能かどうかを検討します。
2、具体的顧客ニーズからのアプローチ
新規事業の「機会」でよくある事は、「顧客からの要望」「顧客のニーズ」から、新規事業参入をする場合です。
- 顧客の差し迫ったニーズを製品化・事業化
- 「顧客が他地域に進出するから、一緒に来て欲しい」「この外注先がなくなったから、新たにやってくれないか」「この分野をお宅がやってくれるなら、アウトソーシングしたい」等々顧客が困っており、差し迫ったニーズがある場合は、新規事業のネタとして「機会」に入ります
- 顧客と共同開発で市場参入
- 前述と同じように、自社には顧客ニーズに対応できる経営資源には乏しいが、顧客との共同開発なら可能な場合、新規事業のネタになります。OEM供給やPBなどもその一種です。
3、市場変化・社会ニーズ対応からのアプローチ
新規事業のネタをマクロの変化で見た場合の主なチェック箇所が以下のポイントです。PEST分析のように、大きな社会構造、政治構造、経済構造、消費構造から見る場合もありますが、一般的な中小企業には、なかなか難しいものです。そこで、中小企業でもある程度想像できる、新規事業のネタとしは、
- 需要の変化
- これは、需要予測で、絶対量の市場規模、購入形態や購入市場がどう変わるか、またはある分野は成長し、ある分野は衰退するかを予想します。今の顧客との取引を見ていれば、ある程度分かります。変化の中で、今後成長の可能性がある「ニッチ市場の機会」を見出します。
- 発注形態・購買ルートの変化
- 顧客が今発注したり、購入しているチャネルや取引がどう変わるかで、新規事業のネタを探します。ネット購買が増えるなら、それに関する新規事業のネタが出てくるし、モジュール化、ユニット化、コンプリート化がニーズなら、それへの適用と新市場も創る事は新規事業のネタになります。
4、市場創造からのアプローチ
今の技術や開発力をベースに新しい市場をつくる事も新規事業のネタにつながる「機会」といえます。
- 今までにない用途開発
- 今の製品やサービスを違う角度から見て、新たな用途開発をすれば、営業する業種やターゲットが変わってきます。単なる新チャネル開拓ではなく、ブランディングまで行えば、十分な新規事業のネタです。
- 今の困り事、これからもっと困る事を製品化
- 自社製品に関係なく、今の顧客の困りごと、もっとこれから困る事を分析し、今の顧客が販売先になる「ニューカテゴリーの新商品」をベースとした開発販売は、新規事業のネタになっていきます。
これらのように「新規事業の機会」を見つける場合、いつも使う「30のタラレバヒント」だけではなく、マクロ分析を議論しながら、進めるとよいでしょう。
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