コロナショックで「新規事業・業態転換」を考える経営者が増加
今回のコロナショックでは、本業の売上が激減している所が相当数います。 しかも、一時的な事ですぐ回復するならいいが、「コロナショック」になる前から、徐々に「やばい状況」が続いていてこのコロナショックが決定打になっているケースも多いようです。
今後多少の回復はあっても、それまで持ちこたえられないと判断する経営者は「業態転換」を考えているようです。
しかし、「業態転換」は言うは易く行うは難し です。 冷静な分析をしない限り、「思い付き」「期待先行」「行き当たりばったり」では、より傷口が広がる可能性があります。
では、コロナショックの中、どう業態転換を進めればいいのか?
1、新規事業の失敗は共通している
過去、いろいろな新規事業に携わってきましたが、成功確率がかなり低いと感じています。
しかも新規事業が失敗するのは、だいたい共通した特徴がありました。
それを整理すると、下記の14点になります。
1、 経営陣によるコミットメントの不足(何が何でも成功させると言う迫力不足)
2、 ビジョン・目標・大義・方向性などが不明確(分析不足で思いつきだから続かない)
3、 「社員からアイデアがたくさん提案されればいいな」レベルで終わっている (事業アイデアは経営者の専権事項なのに幹部や社員の意見をあてにしている)
4、 失敗した場合の負担や責任が過大であり、誰も責任を取りたがらない (挑戦意欲をそがないようにする)
5、 提案した企画の事業化時に、会社としての支援環境が希薄 (新規チームのみに任せて全社的な協力体制を敷かない)
6、 新規事業開発のスキルを持たないのに、アイデアに期待し過ぎている (準備や人員の配置、ノウハウの購入や蓄積がないのに過大期待)
7、 リサーチ結果に頼りすぎている (リサーチ会社やシンクタンク等のマーケット調査データばかりを鵜呑みにしている。 足で稼ぐ直接のリサーチ不足)
8、 とりあえずどこかのコンサルティング会社に丸投げして事業計画をつくっている (中堅企業以上に多い傾向)
9、 リソースがないからと初めからあきらめている (データも情報も、ノウハウがない事を理由に最初から行動しない)
10、 短期的な数値目標や実績を強く求められている (新規事業を育てる思想ではなく、早期に刈り込もうとする思想が失敗を招く)
11、 本業や既存事業と同じ物差しで評価している (収益指標や行動パターンを同じ基準で判断しようとする)
12、 過去の新規事業の失敗の経験が足かせになっている (どうせまた失敗すると言うマイナス思考と失敗のトラウマがブレーキになっている)
13、 新規事業責任者や推進担当者は、都落ちというイメージが社内にある (本来ならエース人材を配転すべきだが、エースは本業に使い、本業に影響ない人材を配置)
14、 初めての新規事業なのに、失敗が許されない雰囲気がある (トライ&エラーが原則の新規を最初から失敗できない雰囲気は、やはり失敗し易い)
いかがでしょうか?
思い当たる方も多いのでは。
2、新規事業・業態転換4つの選択肢
新規事業・業態転換といっても、実は4つのパターンに分類されます。
何でもかんでも、「全く未知の新たな業種に、無手勝流で挑戦する」というだけが新規事業・業態転換ではありません。
大きく分けると下記のような内容になります。
1、 事業拡大
(1) 本業をコアとして、事業周辺へ相乗効果が期待できる分野へ拡大する。
(2) 既存客に、販売可能な取扱商品の拡大を図る。
(3) 既存商品の使い方や販売方法を工夫して、今までとは異なるチャネルへ販売する。
2、 事業多角化
(1) 本業との関連は薄くても、関連分野へ挑戦していく。
(2) 自社の経営資源を多角活用・・・店舗、生産設備、調達先、人材、販売先等から新たな関連分野を広げる。
3、 事業集中
(1) 本業の関連分野にコアをシフトして、新たなコアに仕立てる。
(2) 本業の関連分野で成長性や優位性がある事業に、人材も資金もシフトし、今までの事業比率を下げていく。
4、 事業転換
(1) 本業とは関連性のないまったく異なる分野へ進出する。
(2) FC加盟、別会社での事業展開、他社との業務提携による別事業等。
無論最後の4の事業転換が一番難しい訳です。
3、新規事業・業態転換の判断基準18チェックリスト
では、新規事業・業態転換を行う際、どういう基準で判断すべきでしょうか?
弊社が「新規事業の判断のコンサルティング」をする際に使っていたチェックリストの概要を公開します。
実績のあるチェックリストですので、コンサルティング現場でも使えます。
⑴既に現業、本業の関連から「周辺ビジネス」「周辺サービス」であり、まったくの「ど素人」からの挑戦ではない
⑵二番煎じの場合、既にどこかの大手が取り組んでいるモデルと、比較して付加価値やビジネスの方向に絶対優位性が確認できる
⑶まだニーズは顕在化していないが、消費者ニーズの流れや外部環境から大きなマーケットと言える
⑷大きなマーケットの可能性が高いが、競合激化した時に、絶対優位性のプランがある(価格競争やサービス合戦に巻き込まれない武器がある)
⑸ 原則ニッチ市場で(隙間)あり、大手参入は難しい、手間のかかるビジネスである
⑹既存のビジネスモデルではあるが、市場ニーズに合わなくなっている場合、形を変えてニーズにはまり込む可能性が高い
⑺自社の「強み」が活かされるビジネスである
⑻フランチャイズビジネスや代理店ビジネスは、成功モデルを鵜呑みにせずに、しっかり調査と分析をして判断する
⑼「旨い話は原則怪しい」事を念頭に、「旨い話」の裏取りをぬかりなく行う
⑽「皆が賛同するビジネスモデル」「皆が儲かると言うビジネス」は、失敗確率が高い(誰でも気づくと言う事は、既に儲からないモデルになっている)
⑾ Webだけに拘るビジネスモデルだけでなく、リアルでも販売ネットワークづくりが可能である
⑿ 一発必中の狩猟型ビジネスではなく、継続的受注やフォローでの収益が可能なモデルである
⒀ 新規事業の分野は「経営理念」や「行動規範」からも整合性があるビジネスである
⒁ その新規事業を意思決定する前に、いろんな仮説を踏まえて、徹底的に顧客の生の意見を聴いている(アンケートだけでなく、中身のある直接ヒアリングを責任者が数十件以上実施する)
⒂ 法律や外部環境が変化すれば、即影響し、大幅な収益悪化やビジネスモデル自体が消滅するようなビジネスではない
⒃ 新規事業の顧客に説明する時、ビジネスモデルがシンプルで分かり易い(複雑な説明が必要な物は広がらない)
⒄ 新規事業の商材やサービスは、購入者やユーザーから「お金が取れる」ビジネスか良くリサーチして検証している
⒅ 新規事業が上手くいく理由が単なる思い込みでなく、論理的裏付けを検証している(「上手くいかない理由」「他社が参入しない理由」等、ネガティブな要素を検証している)
いかがでしょうか。
いずれこの内容を動画で解説したいと思います。
4、新規事業・業態転換の判断はSWOT分析で
実際に「新規事業コンサルティング」をする際には、SWOT分析を使ってその是非の判断を行います。
「新規事業のSWOT分析」については、下記に記事がありますので参照してください。
5、事業再構築補助金が始動
政府の事業再構築補助金が2021年度から始動します。
この補助金の申請では「SWOT分析」を活用した事業計画やアクションプランを作成することで、新たな収益源を探ること方がスムーズに進みます。
この機会にSWOT分析を徹底して学びましょう。
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クライアントや顧問先から新規事業・業態転換の相談が来たら、拙速に判断せず「まずSWOT分析をしてから判断しましょう」と提案してください。
SWOT分析次第では、その新規事業・業態転換は無謀と分かるかもしれないし、また「ゴーサイン」となるかも知れません。
SWOT分析というメソッドがないと、すべてが感覚的になりがちです。
国内唯一のSWOT分析ノウハウを修得する「SWOT分析スキル検定 オンラインコース」が開講されています。
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