嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

コンサルティングにおける抽象的と具体的の違いとは?

よくクライアントや関係先の経営者から「嶋田さんのコンサルティングは具体的ですね」と言われることがあります。私は、それを聞いて、「ありがとうございます。どこが具体的だと思いますか?」と逆質問します。

すると、いろいろな返答が返ってきますが、経営者には「具体的と抽象的の違いの基準」があるようです。では、どういうことが「抽象的」で、どういうことなら「具体的」と評価されるのでしょうか。

1、こんなタイプのコンサルタントは抽象的と言われる

多くの経営者から言われることは、こんなことです。

  1. 抽象的は、大企業の例を直ぐ引っ張り出す社員10名の会社に、大手が使うようなシステムを提案したり、事例で出すことです。 ヒントならいいのですが、この規模ではとても出来そうもないことを平気で言います
  2. 抽象的は、あるべき論の下の戦略論が少ないあるべき論とは、いわゆる総論です。「人材育成のシステムが必要」「選択と集中が不 可欠」「やりがいのある会社づくり」「グローバルな展開」等々 問題はそこから「もう少し突っ込んだ固有戦略」の話がないことです。評論家っぽい言い方をするヒトです。
  3. 抽象的は、分析をしない。分析とは事実の傾向を把握することです。なのに、いろいろなフレームを使った事実分析をせずに、方向性を提案することは危険なことです
  4. 抽象的は、方法論を語らない。あるべき論や目指す方向性は、誰でも知っています。問題はそのゴールに向けた「細かいプロセス」を提案しないことです。方法論や段階的な行動を指導しないから、イメージが沸きません。
  5. 抽象的は、精神論が多くなる。総論の極みが、精神論オンリーです。研修系のコンサルタントに多いタイプです。    ただこの精神論を喜ぶ経営者もいるので、否定されるものではありません。
  6. 抽象的は、組織や人材レベル、人間関係などのテーマに行きたがる。固有戦略の知識や思考能力の乏しいコンサルタントは、組織論、人間関係などの「俗人的なテーマ」に時間を割きます。これは答えがないテーマなので、誰でも入れる訳  です。戦略論は答えが必要なので、それが苦手な人はここに集中します。

 2、具体的コンサルティングのポイント

では、「具体的」と言われるコンサルティングはどういう事がポイントでしょうか。専門業種コンサルタントや特定ノウハウコンサルタントが「具体的」と言われるのは、当たり前です。専門外であれ、なんであれ「具体的」と言われることが重要です。

  1. 具体的は、戦略をメインに考える。戦略とは「何を、どこへ」が基本なので、明確化された方向性で議論されます。当然、固有名詞による議論になります。方向性的な表現は、議論が絞り込まれず、空回りしますが戦略議論は、是々非々がハッキリするので、リアルです。
  2. 具体的は、経営者に行動のイメージが分かる表現にする。プロセスを具体的な表現にすれば、経営者は行動のイメージがつきます。人は行動のイメージと結果がリンクしないと、行動を起こしてくれません。
  3. 具体的は、固有名詞で表現する。固有名詞とは、その名の通り「具体的な名詞」で議論することです。具体的な名詞は、出来る出来ないのイメージが沸きます
  4. 具体的は、結果までのプロセスが分かる表現にする。結果に導くためのプロセスが、段階的で分かりやすく、それが言葉化されていることです。

 3、コンサルタントがあまりに細かい戦術を指導すると、逆効果

専門業種コンサルタントや特定ノウハウコンサルタントに多い傾向が、「ノウハウを知っているが故に、細かく指導するタイプ」です。一見良さそうですが、ノウハウありきで、分析や実状が後回しになる場合があります。大事な事はクライアント自身が行動して、経営改善してもらう事なのに、「箸の上げ下げ」まで指導することは必ずしもいい事ではありません。

  1. コンサルタントは具体的なヒントが大事。コンサルタントに取って「具体的」とは、ヒントや考え方、参考例が「具体的」と言われることです。ヒントはクライアント自身に熟慮を促し、自己決定力を高めます。そのヒント自体が答えの参考になる事も構いません。
  2. コンサルティングの経験則で、具体的な戦術指導まですると、クライアントのレベルが上がらない。コンサルタントが強い過去経験から、細かい戦術指導までする事は、必ずしもクライアントの為にならない場合もあります。
  3. クライアントの経営資源や環境分析をせずに、経験則で指導するとほとんど行動されない。多くのクライアントは、専門性の高いコンサルタントの提案には、自社のレベルを抜きにして、受け入れようとする方が多いです。しかしその結果、思ったほどの成果につながらないとか、行動しないという事が起こります。これは、クライアント自身が深く考え、納得していないからです。そういう意味でも、あまりに細かく戦術指導し、それを鵜呑みにさせる事は、いかがなものかという事ですね。

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