給与を上げないと、社員が辞める
SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
政府も経団連も大企業も、こぞって給与アップの大合唱です。
大企業では、初任給を3~5万円も上げるところが出ています。
初任給を上げるということは、全員の賃金がベースアップすることです。
そうしないと、今の生活費の高騰で生活ができない社員が、少しでも高給の他社へ流れる可能性が高いからです。
しかも、優秀な社員や今後の期待がある若手ほど、転職をしていきます。
しかし、普通の中小零細企業では「そんな昇給できる体力がない」というのが現状。
すると、2023年のアフターコロナ時代に「社員の大量離職」「離職による倒産廃業」ということも相当数あり得るわけです。
1,付加価値を上げろというけれど、急にはムリとの思い込み
給与を上げるには「付加価値を上げること」、それは理論的には誰でも分かっています。
しかし、その付加価値を上げる事がいかに大変かも、経営者は分かっています。
付加価値額を上げるには、「強みのある商材を更に付加価値を上げて、新価格で販売」することです。
競争力のない商材は、もともと利益率がないばかりか、自社が仮に大幅に値上げすれば、シェアを落とすだけ。
しかし「強み商材」はもともと自社の優位性があるわけで、顧客からも「仕方ない」「しぶしぶ受けるしかない」存在に近いのです。
たしかにインフレ円安で原材料分の値上げは進んでいますが、肝心の付加価値全体額はまだまだです。
だから何はさておき「強み商材に絞って、付加価値を更につけ、値上げをすべき」なのです。
経営者の「値上げなんて簡単にはできない」という思い込みを打破するには「クロスSWOT分析」で、詳細に自社商品とニーズを分析することをおススメします。
2,まず若手、子育て世帯から上げる
守るべき雇用で大事な事は未来を託す若手や小さな子供がいる従業員層です。
これらの層は、労働市場でもニーズがあり転職が容易です。
ベアは若手に厚く、年齢が高い人には薄くなります。
更に子育て世帯には、相応に生活費用が掛かることで、「高額子供手当」を支給する事をおススメします。
これは1人当たり3000円とか5000円ではなく1万円とか1.5万円のレベルで支給することです。
この高額子供手当は負担もありますが、結構メリットが多いのも事実で、これまで7社で導入しましたが、求職者の反応が良いのです。
詳しくは下記に「高額子供手当について」記載
https://re-keiei.com/blog/hospital/518-blog-0343.html
3,原資は賞与配分率を変える
「基本給を上げる原資がない」
この言葉で給与アップの思考回路が停止してしまいます。
多くの中小零細企業では、大なり小なり賞与があるはずです。
その賞与の一部(30%位)を月例給に回します。
賞与率が高いことは業績比例の賃金で、企業にとってはメリットもあるでしょう(以前のような社会保険料率のメリットはない)
しかし、生活者は賞与より月例給、つまり毎月の給与を優先しています。
ここで「見映えの悪い月給」だと、採用も難しいし、月例給が高い企業へ転職していく可能性が高くなります。
そこで、賞与支給率は低めに設定し、月例給を上げます。
募集要項では賞与は「夏冬〇か月」と書かず、年2回とだけ書けばいいのですから。
4,昇給と同時にコスト削減と付加価値づくりを加速化する
昇給をすると当然社員のモチベーションは上がります。
その時に同時進行でコスト削減や付加価値づくりの行動を要求し、それを人事評価制度に入れ込みます。
単に人件費を上げるだけで終わると「昇給によるモチベーション効果は一時的」です。
昇給効果を持続的に「経営のプラス」に反映させる事が大事。だからその時に一気に行うのです。
先ず
⑴コスト削減や商品開発、付加価値アップの為の部門や社員ごとにミッションを決める
⑵経営計画書の中でアクションプランを作成し、モニタリングをする
⑶KPIの目標設定や人事考課、等級別経験年数別の職務範囲、職務コミットメントの拡大を明文化する
⑷成果を賞与に連動させ、減少した賞与を元に戻す為の努力と行動を明示
このようなことを「ベア」と前後して行う事も検討した方が良いでしょう。
2023年になってから、人が辞めだしてからでは遅きに失っします。
2022年末から検討をはじめ、2023年4月の昇給時には、ある程度のルール化をしていくのが肝要です。
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