中小零細企業の究極の人手不足対策1 「賃上げ」の見せ方
SWOT分析、KPI監査、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
2023年はコロナの収束と共に経済活動が動き始めました。
しかし、圧倒的に人手が不足しています。
また昨今のインフレと政府や大企業がどんどんアピールする「賃上げ」もできない所には、より一層求職者が来ない状況です。
弊社のクライアントでも「求職者が来ない」「賃金が理由で退職する」ケースが後を絶ちません。
どこもかしこも人手不足ですから、よりいい条件のところに転職しやすい環境でもあります。
ただ指をくわえて待っていても、状況は改善されるところか、「人手不足倒産」も激増している時代です。
ではどういう手を打つべきか?
数回に分けて、成果のあったコンサル手法を紹介したいと思います。
今回は「賃上げ」です。
1,ナスよりベア
今の若手社員には「ボーナスよりベースアップ」が大事なようです。
だから成果配分として「夏2か月、冬2.5か月支給」というより「夏冬2回支給」とだけ書き、2か月相当を毎月の給与に振り分けた、月例給の方が見映えが良い訳です。
すると月例給も2から3万円増やすことができます。
これは結構大きなアドバンテージです。
更に、各自の高い目標と努力で所定の粗利を確保できるから、賞与を従前の金額にすることも可能。
要は年収に占める賞与配分率を下げて、月例給の金額を大きくすることで、求職者への訴求がしやすくなるということです。
2,将来の保証より今
もう一つ、月例給を上げる原資があります。
それは退職金です。
企業は一定金額を退職金引き当てをしており、それが将来の退職金の原資になります。
最近では401Kなどの確定拠出型年金を制度化し、退職後も運用可能なようにしている企業も増えました。
さてそこで、「若い人は30年後、40年後の退職金をどこまであてにしているか」ということです。
例えば、その金額を月例給に振り分けることで、大幅な月給増も可能。
しかし退職金なし、または自己で管理することを求めます。
全員が一斉に行うより雇用契約の中で選択させることもできます。
先ほどの賞与の月例給配分と退職金の月例給配分で、大きな人件費増をせずとも、大幅な月例給のアップは可能なのです。
3、コミットメントで年俸大幅アップ
弊社のあるクライアントで実証実験をしています。
それは特定の管理職だけで「希望年収アップ額」を個人面談で聞き出し、それを達成する為のKPI(重要業績指標)を個人ごとコミットメントを明文化します。
そして2024年1月段階で達成しており、会社の営業利益も最低基準になっているなら、2024年の月例給に上乗せするというものです。
例えば、ある課長は現在500万円の年俸(源泉徴収票)とします。
彼も希望は取り合えず550万円で50万円の年収アップでした。
2027年の目標年収は700万円です。
2024年の50万円アップのために、個人で結果がわかり、あとから検証可能なKPIを設定します。
そして2024年1月時点で達成しているなら、4月から4万円のベースアップをします。
達成度によって、3万円か2万円か1万円かは結果次第です。
一般的な人事評価だけでなく、個人目標とベアを絡めて具体的な「本人次第KPI」にします。
どういう形であれ、賃上げの取り組みをしないと、人は辞めていき、そして人は入社しない時代です。