社長!その経営判断で大丈夫?間違った決断をしない為の基準

今日は、私がコンサルティングしている現場で常に経営者へ確認している事についてお話しします。それは、「社長の判断基準」についてです。社長と話している時、判断基準の明確にない人は、やはり業績も上がらないし、同じ過ちを繰り返します。

社長が経営判断を間違うと、会社は大変なことになります。

  • 過大な設備投資
  • おカネを生まない本社などコストセンターへの投資
  • 利殖目的の資金使用
  • 無謀な新規事業参入
  • 脈絡のない事業展開
  • 見込のない固定費増
  • ムダな資金使途
  • 信頼してはならない人への妄信
  • 感情的な判断、情実で行った人事
  • リアル感のない組織改編
  • 辞めさせるべき人材を残して、組織がガタガタになる
  • 諫言した優秀な人財を辞めさせた
  • 社会批判を浴びかねない人との付き合い
  • クレーム、トラブルへの甘い認識 などなど。

 その時点での判断ミスが、とりかえしのつかない事になっていきます。多くの経営者は多かれ少なかれ、判断ミスをします。しかし、致命的な判断ミスをしないことが、企業を潰さない絶対条件です。それでも、最近の大手企業でも、致命的な判断ミスをして、社会的に批判を浴び、大幅な業績悪化をするケースが後を絶ちません。

 何故、我々は他山の石のごとく学ばないのでしょうか?

 実は、そこに「経営理念・行動規範」の有無との因果関係があります。経営理念・行動規範が明確で、「やってはならないこと」が創業以来脈々と遺伝子(DNA)に刷り込まれている組織は、大きな間違いをしません。創業100年以上の老舗で現在も手堅く存在している企業には、こういう家訓、商訓みたいなものが必ずあります。それも単なるお題目の経営理念・行動規範ではなく、間違わない経営判断に直結する文言です。

 私は、これまで多くの企業の社外役員機能をはたしてきましたが、その中で、大事な判断基準を学びました。

判断を間違えない基準

  1. その判断や決断は、動機は善で、私心はまったく入り込んでいないか?
    • 判断の基本は、自分の利益を優先した場合に間違いやすい。
    • 後からどんなに理屈をつけても、私心の行動はどこかで見破られる。常に公共の利益、顧客の利益を優先する姿勢は、言動が一貫しやすい。
  2. その判断や決断は、顧客の利便性や都合を優先したものか?
    • 「顧客第一主義」・「顧客優先」と掲げても、その実、自社の都合を優先している企業は多い。
    • 当初は「顧客優先」でも、途中で自社都合の論理に変わる事が多いので、最後まで当初理念をとおさねばならない。
  3. その判断や決断は、拙速に今、すべきなのか?   
    • 「熟慮断行」に必要な情報を集めての判断かどうかが重要である。
    • 「思いつき判断」・「成り行き判断」・「行き当たりばったり判断」は、性格や癖によるものである。
    • 同じミスを繰り返さないよう、自分を律する必要がある。
  4. その判断や決断は、時間をかけたら、良い結果が出るものか?
    • 分かっているのに「問題の放置」・「判断の先送り」が、事態を悪化させることがある。
    • 遅疑逡巡はリーダーの資格がない証拠である。
  5. その判断や決断は、社会通念から見て、賛同を得られるものか?
    • 厳しい決断でも、新奇な発想でも、後から多くの人間に賛同が得られるかが重要である。
    • 相手の事を軽視した、自己中心的な判断は、必ずしっぺ返しがある。
  6. その判断や決断は、脱法・違法などの嫌疑をかけられるものではないか?
    • どんなに戦略的な事でも、違法行為や社会通念からコンプライアンス違反と思われる対策は愚の骨頂である。
    • 刑事事件にならなくても、グレーな部分、法スレスレの行動は厳に慎む。
  7. その判断や決断は、「楽をして儲けよう」と言う意識がどこかにないか?
    • どの商売であれ、仮にITであれ、汗と努力・時間とコストかけずに利益を上げる事はない。
    • 「楽をして儲けよう」と思うこと事態、トラブルの元である。
    • 「即儲かる」と紹介されるビジネスにろくなものはない。
  8. その判断や決断は、冷静さを失った「焦り」や「疲れ」があるときにしていないか?
    • 誰でも、焦っていたり、精神的に疲れた状態では、自分の都合の良いような解釈になりがちである。
    • 客観的な事実を飲み込める状態、苦言も聞き入れる冷静な状態でないと、決断は偏りやすい傾向がある。
  9. その判断や決断は、「言った内容」ではなく、「誰が言ったか」に惑わされてはいないか?
    • 日ごろから信頼し影響力のある人の発言や情報・提案の、すべてが正しいとは限らない。
    • また、日ごろから的外れな言動や、偏った見方をする問題社員が、いつも間違った提案をするとも限らない。
  10. その判断や決断は、実行した場合のデメリットを十分に検証した上での事か?
    • メリットやプラス面ばかりを考えて、物事を判断してはいけない。
    • すべての事象には、デメリットやマイナス面がある。それをトータルで判断する為には、「書き出す」事が有効な方法である。
  11. その判断や決断は、最後には自ら責任を取る覚悟があるものか?
    • 自ら責任を取らざる得ない判断なら、誰でも真剣になる。
    • 「真剣に考えた決断」を日ごろから意識すべきである。
  12. その判断や決断は、企業の差別化・バリューを生むものか?
    • 「ニッチ市場」・「新規事業」・「既存商材の改革」など、事業構造に関わる経営判断は、その結果が、「少し良くなる」程度では価値が少ない。
    • 決断した対策が、「新たなバリューを生む」ものか、「他社との明らかな差別化」に繋がるものかをじっくり検討しなければならない。
  13. その判断や決断は、情に流されて、本来の合理的判断を狂わせていないか?
    • 「人情が厚い」経営者は多い。その人情が災いして、決断が遅れたり、間違った判断をするケースも多い。
    • 合理性のない社内人事や処遇、顧客や協力企業からの要請は、冷静に判断しなければならない
  14. その判断や決断は、途中で状況が変わったにも関わらず、当初の決定に固執してはいないか?
    • 時間の経過とともに、刻一刻と状況が変わる事がある。それにも関わらず、当初の決定を曲げずに、固執し過ぎては、判断を間違える。
    • リーダーの条件には「臨機応変」は重要なファクターである。

以上が判断基準と内容です。経営者との面談で毎回、意識すれば必ず信頼されます。コンサルタントは知識やテクニックだけで行う人より、時代が変っても普遍の理論を知っている人が、長く経営者と関与できます。

それは私自身が証明しています。

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