嶋田利広ブログ

中小企業のコンサルティング

一律3万円の夏のボーナス?

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6月になれば早いところでは夏期賞与の支給が始まります。

厚労省の毎月勤労統計から、「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」が予測した「2021年夏のボーナス見通し」でも一人当たり支給が前年比-2.3%、総支給ベースで―4.2%と出ています。

昨年夏も、コロナ禍で経済が停滞したことで大きな賞与ダウンがありましたが、今年はそれ以上に下がるのは、ある程度予測はついていると思います。

先ほどの賞与のマイナス幅は大企業を中心としたデータなので、中小零細企業の夏期賞与はもっと厳しいものになります。

そんななか、飲食業や観光業、イベント業、交通関連業など壊滅的な打撃を受けた中小零細企業は、賞与どころではなく、いかに「倒産させないか」と腐心しています。

では、その他の中小零細企業の2021年夏期賞与は、どういう考え方で支給すべきでしょうか?

 1,支給ゼロを避けるメリット

「この大赤字で賞与支給なんてとんでもない」と考える経営者も多いでしょう。

従業員も「ウチの業界で、この業績なら今年の夏のボーナスは出ない」と諦めているでしょう。

そこに経営者から「寸志」でも、心を込めた夏期賞与が支給されたらどうでしょう。

「出ない」と思っていたボーナスが、仮に1万円でも3万円でも出たら、それはありがたいし、経営者の思いを感じ取る従業員も出てきます。

しかし、「支給ゼロ」では、単に「当たり前な事実」であり、経営者の思いも伝わらず、従業員のモチベーションも上がらないのは事実です。

 

2,少ない賞与だからこそ、「経営者からの一言」を

少ない賞与は、従業員の責任でもなく、ましてや経営者が全責任を追及されるものではありません。

いわゆる「天災」と同じ扱いです。

しかし、現実として生活のある従業員に対して、「少ない賞与」「寸志程度の金額」しか出せないのです。

それでも、その少ない金額でも支給の仕方次第では「従業員のモチベーションアップ」も可能です。

それが「経営者からのコメント」です。

全従業員に対して

●今の経営者の心境

●少ない賞与への詫び

●コロナ禍が過ぎた後、どういう経営戦略で立ち直りを考えているか 等々

をハガキ1枚位の文書で支給明細書と一緒に渡します。

従業員の人数が多ければコピーでも構いません。

こういう経営者の姿勢に対して、「心ある従業員」は「今は会社が厳しいけれど、この社長の元でとにかく頑張ろう」と考える確率が高くなります(全従業員がこういう心境にはならないでしょうが)

会社が厳しい時こそ、経営者の真価が問われるし、従業員のロイヤリティも分かるものです。

 

3,個人を責めるな、戦略を責めよ

賞与評価はどうしても、個人の業績や仕事の姿勢を評価項目にして支給額を決めます。

ただ、こういう状況下では「個人の業績や姿勢を評価」しても、従業員のモチベーションは上がらないどころか、むしり逆効果です。

業績が悪いのは

●コロナ禍に適応した「経営戦略」が十分に効果をだしていない

●経営構造の行き詰まりがコロナ禍で露呈してしまい、打つ手がない

●もともと業績が悪かったが、それに追い打ちを掛けられた

だから、「個人だけの問題」ではないのです。

「経営戦略を責める」とは、「会社の責任を認める」という事です。

 

4,今年は評価せず、一律支給もあり

今回の業績悪化は会社の責任としてとらえると、時間と労力を要して、決してモチベーションの上がらない「人事考課」を行うのが得策とは言えません。

一つの考え方として、一切人事考課をせず、「全員一律〇万円支給」もありです。

人事考課はしないけれど、従業員の目標や課題については当然、面談や指導を行います。

 

以前、某社で急激な業績悪化時、「1人当たり平均支給5万円」しか出せない中小企業がありました。

私も顧問をしていたので、経営者に「今回は評価せず一律支給が良いでしょう」と提案しました。

しかし、ある役員から「それでは、頑張っている社員が報われない。少ない金額でも差をつけるべき」という主張に経営者もなびいてしまいました。

結果は案の定、「こんな少ない賞与に差をつけるなんて、やってられない」という不満が出てきました。

高い評価の社員も「7万円」位ありましたが、喜んではいません。

とにかく、払えない場合は寸志を一律支給の方が、いいと確信しました。

 

 

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