「犬も喰う」家族経営の夫婦喧嘩
中小零細企業では、圧倒的に家族経営は多いものです。アットホームな雰囲気はよいとしても、会社なのか、家なのか分からないようでは、他人社員には、決して居心地のよい会社とは言えない事になります。家族経営の代表的な悪い面と言えば、
- 一族の公私混同があからさまである事
- 仕事のできない一族でも、自分達より、結構高給を取っている事
- 社内で平気で、夫婦喧嘩、親子喧嘩をする事
- 奥さんや一族の誰かが、業務中でも、平気で私的な行事を優先する事
- 会社の業績や利益などを、公開してくれない事
- 社員には、交際費や車両費などの経費ではルールが厳しいのに、一族は例外がある事
- 夫婦喧嘩や親子喧嘩している最中は、社内の指示命令や、コミュニケーションが旨く行かない事
- 重要な会社の意思決定も、一族の役員だけで決めて、社員は蚊帳の外である事
など他にもいろいろあります。
当然、悪い所ばかりでなく、よい所もたくさんあるのも事実です。問題は、そういう家族経営の悪弊が多くでて、他人社員のやる気がでないような、社風になっている事です。一般的に他人社員が長年、家族経営の悪弊に付き合っていると、『うちの会社は、何を言っても、他人の我々に意見は聞いてくれない』とあきらめがちになります。そこで、いろいろ画策してみる事も必要です。何故なら、私利私欲ではなく、本当に会社の為になると腹をくくって、具申するのなら、何も躊躇はいりません。言い方だけ気をつければ済むことです。
かなり以前ですが、ある会社でこんな事がありました。その会社は、事務文具の販売を行う、典型的な家族経営の零細企業です。社長が営業の第一線で皆を引っ張っていて、奥さんが経理や総務を行うと言うよくある夫婦経営です。この会社の問題は、社長と奥さんの仲がよくないという事でした。社長も奥さんも『会社を良くしたい』『儲けたい』『社員に多くの給与を払いたい』と言う思想面は同じなのですが、性格や価値観が合わないのか、良く夫婦喧嘩をするのです。その最中はお互い社内でも、口を利かず、会議や報告連絡、指示命令が旨く機能せず、暗いムードが漂います。営業の社員は、その雰囲気が嫌いで、そんな時は、見積書作成もほどほどに、とにかく社外に出ようとするのです。また、そんな時の奥さんの口調が激しく、ヒステリックな物言いで、会話になりません。そんな事が頻繁にあるものですから、私は ある時、若手の優秀なA社員から、『退職したい』という相談を受けました。その理由は分かってましたが、さすがにこの社員に辞められると、会社は途端に業績悪化が必至で、私としても、退職願を出す前に、何とか食い止めたいと考えました。
そこで あるアドバイスをしました。社長と奥さんに 同じ日に別々に、『「夫婦喧嘩が嫌になったので、退職する」と伝えて御覧なさい』 と。「夫婦喧嘩を止めよ」とは、なかなか社員から言えるものではないので、この機会に、思い切って「社員がいかに迷惑をしているか」を率直に伝えるように言ったのです。
それから数日後、本人から報告がありました。『社長も奥さんも、真剣に聞いてくれました。もし今後も夫婦喧嘩で、仕事がしにくくなるような事があったら、本当に辞めます。と脅かしたら、反省しているようでした』と。その後は、まだ家庭内では夫婦喧嘩をしているようですが、社内では、コミュニケーションのしづらさは減ったようです。社長も奥さんも、社内では意識して、業務上は普通にするよう心がけてきたと言う事でしょう。A社員の会社を思う気持ちが通じたという事例でした。社員といえども、真剣に伝えれば、分かってくれるかも知れません。
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