嶋田利広ブログ

KPI監査

KPI経営KPI監査ノウハウ KGI,KSF,KPI体系図で理解する「KPI設定のコツ」

SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルティングの嶋田です。

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今回もKPI監査士のスキルについて解説します。

KPI(重要業績評価指標)という言葉は知っていても、それがどういう流れで出来上がっているか、しかもそれが中小零細企業の実態に合っているかで、KPI監査士の深堀の仕方は変わってきます。

KPIはもともとBSC(バランスドスコアカード)というマネジメントツールから派生した考え方です。

一般的(大企業で行うような)KPIの内容は、中小企業で言う所のKGI(重要到達目標)のように感じます。

Webや本に書いているKPI経営も「企業規模が大きい会社」をイメージしています。

我々が目指すKPI監査は、もっと中小零細企業です。

KPI監査士の指導は中小零細企業の経営者や幹部が理解できるものでなければなりません。

従って、今回解説する内容をしっかりイメージしてもらいたいです。

1,KGIは売上利益ではない

KGI(Key Goal Indicator)を売上・利益に最終目標だと定義しているサイトや書籍を眼にすることがあります。

これは価値観の問題なのでどれが間違いだとか正解だとかはないと思います。

ただKGI(最終到達目標指標)を売上・利益にしてしまうと、どうしてもKPI(重要業績評価指標)も大きなカテゴリーの数値になってしまいます。

我々が監査したいのは、行動プロセスに直結したKPIです。

だからKGIは売上・利益に直結したもう一ランク下の主要指標に設定すべきです。

 

2,KSFとは

KSF(Key Success factor=重要成功要因)はKGIを到達するための主要行動(KeyAction)を固有表現で整理したものです。

その言葉の通り「このKGIを達成する為に必要な主要な具体策や行動ファクターがKSF」です、

だから、このKSFは概念論ではなく、相当固有の表現に落とし込まねばなりません。

 

3,KPI とは

KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)は上記のKSFを実行する為のプロセスを数値目標化したものです。

流れとしては

●KPIの数値目標の達成率が良くなれば、KSFが実現していく

●KSFの実現が進めば、KGIが良くなる

●KGIが良くなれば、売上利益が改善する

というスキームです。

KPIは非財務的業績評価項目である「定性的KSF」の行動プロセスを定量化した指標として目標設定していくものです。

KPI目標をどこまで詳細に「行動イメージに直結」させるかがポイントになります。

 

4,ダイエットで説明するKGI,KSF,KPI体系図

分かりやすい事例として、ダイエットのケースを「KGI,KSF,KPI体系図」で解説しましょう。

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この方の最終目標は現在75kgの体重を70kgに減量する事です。

これまでもいろいろなダイエットに取り組んでもなかなか成果がでませんでした。それは論理的なバランスが取れてない偏ったダイエットをしていたからだと自省していました。

そこで、明確な数値目標の設定とレコーディング(記録管理)によってダイエットを図ろうと試みました。

KGI(重要到達目標)は3つあります。

「運動量目標」「食事量目標」「基礎代謝量目標」です。

そのKGIに対して、実際にどういう具体的なActionをすれば良いのか、それがKSF(重要成功要因)です。

「運動量目標」では、「食事後の散歩」と「休日サイクリング」の実施。

「食事量目標」ではカロリー管理と1日カロリー上限を設定。

「基礎代謝量目標」では、ジム通いと体幹ストレッチ。

それぞれあげました。

KSF1の「食事後散歩」でのKPIでは「1日5000歩又は州30000歩で350kcal消費」の数値目標を挙げました。

またKSF2の「休日サイクリング」でのKPIは「サイクリングの距離50kmや休日できない時の早朝サイクリングでの距離」設定しました。

3つのKGI、6つのKSF、9つのKPIを実践していけば、たぶん確実にダイエットに成功します。

後はその継続できる仕組みやモチベーション、「見える化」をどう取りこむかです。

 

5,貯金で説明するKGI,KSF,KPI体系図

貯金のケースも見ていきましょう。

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この方は現在500万円の貯金を5年後に1000万円の貯金をしたいということで、どういうロジックで貯金をしていくかを整理しました。

KGIとして「飲み会コスト削減」「総菜弁当・コンビニついで買い廃止」「定期預金実施」の各数値が上がっています。

「飲み会コスト削減」のKSFは「飲み会以外のコミュニケーション」や「飲み会負担や回数の減少」を挙げました。

そしてKPIでは「飲み会ではなくチームランチの回数」や「休憩時間にスイーツタイム回数」に設定。

元々飲み会もコミュニケーション目的だったこともあり、「飲み会以外でのコミュニケーション」を模索した結果、一挙両得になった訳です。

同じように「総菜弁当廃止」でのKSFは「自炊」と「自ら調理をするクッキングパパへの転身」で、そのKPIとして「休日の料理まとめづくり日数分」「インスタアップ回数」などを設定しています。

これもダイエットと同じようにいかに続けるかが大事。

この貯金のKGI,KSF,KPI体系図では、奥さんも大喜びの内容なので、恐らく実践されるでしょう(笑)

 

6,ある住宅企業のKGI,KSF,KPI体系図

ダイエット編、貯金編で「KGI,KSF,KPI体系図」を見たきたように、目標を具体的に落とし込み、その行動プロセスを数値目標化する事で、実践と達成確率が高くなります。

では実際の中小企業ではどんな「KGI,KSF,KPI体系図」になるのか、ある住宅会社のケースを見ていきましょう。

240216_KGIKSF.KPI体系図住宅会社.jpg

上記の住宅会社は「売上3.5億円、経常利益500万円」の実績で、今後3か年で「売上5億円、経常利益3000万円」を目指しています。

その為のKGIは

●普及帯価格の競合ががげしく、利益が取れない事から、坪単価80万円のやや高価格帯注文住宅の受注

●営業の人海戦術だけでなくもっとSNSやWebからの引き合いを増やし年間3棟

●工期が伸びる事で粗利率が悪いので、予定工期率順守で粗利率25%達成

こういう課題になりました。

そしてそれぞれにKSFとKPIを設定しました。

例えば、「住宅単価の高ブランド化で坪80万円の商品化」では、どんなKSFがあるか検討した結果、

●第1点目は『知名度とイメージを上げるUSP(独自のウリ)」の広告』

となりました。

その背景には健康素材の平屋に強み(USP)があり、それを富裕層や老後の余裕資金保持者を対象のしようということです。

そしてそのKPIは、「健康素材の平屋」についてこだわり箇所や施工物件紹介などで月間10本のYouTube動画を上げる事にしました(自社内では編集能力がないのでアウトソーシングで)

また経営者が知り合いのメルセデスベンツ販売店の社長、BMW販売店の社長とコラボした企画を提案し年間50名のリスト収集をKPIにしました。良い家と良いクルマのコンセプトで個人的な人脈を活用したコラボでした。

●第2点目は「大工が買う家」というKSFです。

「歯科医が通う歯医者」「外科医が手術を受けたい外科医」なら、安心して任せられるように、「何十軒も家を建ててきた大工が自分が将来も安心して暮らせる家」を施主に提案するわけです。

しかも普通の住宅会社なら必要なオプションをつければどんどん値上がりするところを「大工の知恵」でコストを抑えている提案です。

KPIでは「社員大工の原価同然で自宅をつくってもらい、それを内覧会で年間数回使用する」という条件です。

済むのは1年先になりますが、会社はその間展示場としていろいろな企画に使えるし、社員大工は普通の家より30%offの価格で持ち家が持てます。

他のKSF、KPIもこんなカタチで具体的に作成しました。

このKSFは事前に行ったクロスSWOT分析から生まれました。

「固有の強み」「攻めるニッチ機会」を明確にして、これらのKSFのアイデアが生まれました。

だからこの具体策は経営者、幹部も自信を持っているので、即行動に転嫁しました。

 

KSFをどうもっていくか、そしてKPI指標をどう設定するか、

このコツこそ「KPI監査士」のスキルです。

そしてそれをKPI監査モニタリングシートでモニタリングをしてきながら、「行動直結型の経営伴走支援」になっていくのです。

これらの「KGI,KSF,KPI体系図」を理解すると、その落とし込みの仕方、数値化の仕方の理解が進みます。

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