嶋田利広ブログ

病院・介護施設のコンサルタント

医療介護現場の時短の対策をする前に、やるべき事

働き方改革が巷間で言われるようになって、私たちがコンサルティングしている病院や介護施設でも、この取り組みが本格化しています。しかし、一朝一夕にはいかないのも事実。特に現場では「従来のやり方を変える事に抵抗感がある職員」がいて、その職員が年配の経験者で、チームに隠然たる力を持っている場合、遅々として進みません。また、そういう部署に限って、リーダーが年下だったりする訳です。

1、時短、合理化が進まない理由

時短・合理化が進まない部署や事業所を見ていると、ある共通した特性があります。簡単に言うと「理論的でない」という事です。職員の意識改革とか、リーダーの責任意識とか、総論、抽象論の指示が経営上層部から来て、現場があたふたしているだけ。現場レベルの具体策の指示も支援もない。

特に人材が不足している部署や事業所に対しては、その要請が無理難題と映り、最初から諦めているリーダーもいます。現場の意識だけで解決されない現実に、経営上層部は指示を出すだけです。これでは、時短の前にリーダーが潰れてしまいます。何故なら、リーダーには現場から相当な突き上げが来ているからです。

それこそ「意識を変えられない職員が、リーダーへの抵抗勢力」となっているけど、上からは「時短・合理化」を言われる。この板挟みは結構きついです。

2、まず「ホワイトボード改革」で二度手間、忘れ防止から

仕事の「見える化」は昔から言われている事ですが、知っている事と使いこなしている事には結構なギャップがあります。一番の課題は情報共有です。情報が共有されないから、二度手間や間違い、忘れが発生します。情報共有で良いツールはホワイトボードです。このホワイトボードを、自宅の冷蔵庫のマグネットに挟んだコピー用紙のように使っているところがあります。既に終わったイベントの案内貼っているので、新たな伝言が貼れない。

職員もいる場でホワイトボード活用の勉強会をして、明日から即改革できるものです。「活きたホワイトボードの使い方」をこれを徹底するだけでも、チームの情報共有は大きく前進します。

3、仕事の適正配分を拒否する職員

時短・合理化を進めるには、多能工化が必須です。「あの人しかできない」「あの人しか分からない」「自分はした事ない」こんな状況だと、特定に職員に偏りが発生します。そこでリーダーは仕事の適正配分から、やったことのない仕事でもやって貰うよう職員に依頼します。しかし、それを公然と拒否る職員がいるのです。

特に年配の職員で、リーダーが若手の場合、その拒否る職員に言う事を利かせるのはなかなか難しいです。それがリーダーのストレスとなるのですが。そういう個人的な感情が認められると、他の職員も

「私もしたくありません」

「何故、あの人はしなくていいのに、私はしなければならないのか」

と当然の理屈を出してきます。

4、仕事の幅を拡げる事に文句を言わせないために

誰でも急に仕事を増やすような指示を貰うと、拒否したくなるものです。だから、職務分掌をあらかじめ作っておけば、

「もう2年経ったから、来月からこの〇〇をしてもらうので、よろしく」

と伝えるだけでいいのです。個人的に交渉したり、動機づけしたり、最低限は必要ですが、拒否る職員に大義名分がない状態にしないと、リーダーの指示に他の職員も納得しません。

5、時短を進める為に、可視化と抵抗勢力対策を先に

という事で、時短と合理化を進める為に、いろいろなルールを作る前に可視化と抵抗勢力対策を先にして、リーダーがリーダーシップやマネジメントをしやすい状況を作りましょう。そうしないと現場は動かない訳です。

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