入職時初期教育をパターン化する

新卒職員が入職しても、新卒教育のパッケージができていないと、現場の責任者任せになってしまいます。新卒を責任をもって段階的に育成する責任者もいれば、OJTもほどほどで、ただ作業者としてこき使うだけの責任者もいます。特に、現場に余裕がない部門では、責任者も作業者として目一杯働いているので、新卒のケアもおざなりになりがち。

すると放置された新卒は、自分勝手な価値観を持ってしまって、悪い先輩の影響を受けたり、未来に展望が開けず早々に退職願いを出してしまいます。そういう組織は、本当にムダな新卒の使い方をして、新卒の人生を軽んじている訳です。新卒採用は社会に出た初めての職場になります。中地採用以上に採用側には責任があります。だから現場のOJT任せにしているということは、「新卒採用の社会的責任」を全うしていないというそしりは免れないのでは。

1、採用後6か月は誰が教育しても同じシステムで共通化

教える先輩上司によって多少の違いはあっても、入職後6か月間は同じプログラムを経験をしてもらうことが大事です。特に基礎教育の期間ですし、社会人として、組織人としてのルールを徹底的に頭に叩き込む期間です。こういう社会人としての基礎教育をしてない若手職員が、その後自分勝手な振る舞いをしたり、悪い先輩のマネをしています。基礎教育は途中から修正が難しいので、新卒時期が一番のチャンスなんです。入職後6カ月間の教育システムとは、経験日数別の行うことを明確化することです。

教育のシステム・実施項目は大きく分けて4つです

  1. 講義・面談
  2. マニュアル読破・動画視聴
  3. 現場経験
  4. 文書作成

この4つを期間別にテーマに沿ってカリキュラム化します。しかも、誰が教育しても大きく変わらないように、パッケージにしておきます。

2、入職後1カ月で実施すべき事

最初の1週間は分からないことだらけです。総務がいかに就業規則を説明しようが、法人の概要を説明しようが、日本語が頭に入りません。だから、質問も出ません。この1週間で一番大事なことは、

  1. 職場で使う専門用語・常識用語を暗記させること
  2. 上司先輩から指示されたときに対応
  3. 上司先輩、同僚、利用者患者に好かれる為の行動原則
  4. 職場で守るルール(報連相、届け出、挨拶、決まり…)

これらを1週間の中でを面談説明し、その感想を発表させることで、「何故、それが重要かを新卒なりに考えさせ、言葉にさせる」訓練に使います。むろん、各現場で実習しつつ、その時間を確保するのです。

3、入職議3か月で実施すべきこと

3か月というには、試用期間が終わり、原則的に正職員になることがほとんどです。正職員になる時、何もなく、なんとなく当たり前のように正職員の辞令を出すことは避けたいところです。

  • 「1カ月目を終えてのレポート」と「現場経験の感想の発表(パワーポイントを使って会議等で発表)
  • 「2か月目を終えてのレポート」と「現場経験の感想の発表」
  • 「3か月を終えてのレポート」と「3カ月間現場で経験した事をそれからの失敗や反省、喜びなどを会議等でパワーポイントに書かせて、発表」

実際的にこの3か月間は、訳も分からず上司の指示通り動いてきただけです。この3か月間に必要なことは、「上司先輩との信頼関係」をがっちり作る期間です。だから、毎日の仕事終了後のフォロー面談が大事です。そのフォロー面談は「教育パッケージのチェック表」に沿って行うのが良いでしょう。

4、個人ごと「教育カルテ」の作成

今、病院介護施設だけでなく、中小中堅企業での「個人ごと教育カルテ」を求める経営者が増えています。これは1冊のノートに「入職時からの様子や学び、疑問が掛かれ、各期間ごとの受けるべき教育指導の結果がチェック」されているものです。具体的には、下記の要素でファイル化されています。(小冊子でもデータでも可)

  1. 履歴書コピー
  2. 入職後期間別の教育項目一覧とチェック欄
  3. テーマ別の講義面談で学んだこと、疑問点レポートと上司の赤ペン指導
  4. テーマ別のマニュアル読破、動画視聴結果の学んだこと、疑問点レポートと上司の赤ペン指導
  5. 現場実習や会議、イベント参加時の感想と疑問点レポートと上司の赤ペン指導
  6. 1カ月目、3か月目、6カ月目の経営管理職との面談の感想文

これらを1冊のファイルに閉じて、本人と上司は双方の提出と赤ペン指導を繰り返します。彼らの新人期間の疑問は、そのまま来年も新人の疑問であり、改善テーマとして取り組むことでよし新卒が育ちやすい環境を作ります。

規模が大きい所は人事部がそういう機能を持ち、各上司に指示があるでしょう。しかしほとんどの中小中堅の病院や社会福祉法人は、現場任せになるので、せめてこういうパッケージを先に作成して、「教育の平準化」を目指すべきですね。

私たちも依頼を受けて、こういうパッケージづくりをコンサルティングしていますが、2,3年もすると、だんだん現場で使える簡易なものに現場自身が変更していきます。それでも継続されることが大事なことだと考えています。

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