こうして看護師は引き抜かれる

それは8月下旬、私があるファミレスで、PC作業をしていた時です。3人の女性が入ってきました。一人は恰幅の良い「姉御っぽい」人。あとの二人は比較的若手(30前後かな) 。テーブルでコーヒーを飲みながら、雑談をしていました。

話の展開からどうも同じ職場にいた看護師のようです。姉御風の恰幅の良い人が、数か月前くらいに退職し、他の病院に就職したみたいです。普通の会話の時は私の耳は何の反応もしませんでした。しかし、ある瞬間から私の耳はダンボ状態に。そのやり取りの記憶を再現します。


姉御A「ねえー、まだあの看護部長は朝から切れてんの?あのヒステリックはたまらないんよね。」

若手B「ええー、相変わらずですよ。この前もAさんが辞めた後、〇〇さんが看護部長に退職願を出したんですよ。そしたら、超不機嫌で・・・」

若手C「Aさん以来、3人は辞めたんじゃないですか」

姉御A「そうなんだ。新しい人は入ってきた?」

若手C「はい、何か以前は外来をしていたというブランクのある正看が入ってきましたけど、何か夜勤の回数を減らしてとか、夜のカンファはダメとか、いろいろ注文出すんですよ。皆あきれています。」

姉御「へえー。年配の人?」

若手C「そうですね、45歳って言ってから。そこまで年配じゃないけど、あれは自己中ですね。」


こんな感じでしばらく、今の病院の実情をいろいろ聞いていた姉御A。そしてある段階で、おもむろにこんな事を言い出した。


姉御A「BさんもCさんも、今の〇病院じゃあ、先がないんじゃいないの?私が辞めた本当の理由は看護部長じゃないんよ。あの病院じゃあ、将来もスキルがつかないし、私のやりたい事がどうしても出来ないから、まだ40歳になる前に、思い切った訳」

若手B「そうなんですか?みんな看護部長との言い合いがきっかけと思ってました。」

姉御A「やっぱり、私は〇〇がどうしてもやりたかった訳。でも病院の体制も看護部長もそんなの後回しで、とにかく現場を回すだけだったから、このままじゃ、自分がダメになると思ったの」

若手C「そうですよね。私も今のままじゃ、自分の将来像が見えないし、充実感がないんですよね」

姉御B「そうよ、あなたたちまだ若いんだから、自分たちの力を発揮する職場を探さないと…」


それから、姉御Aは、今勤めている病院の状況や、自分の気持ちを話していました。 そして徐々に、本題に・・・

姉御A「今のうちの病院は、30歳の正看には額面で30万円出しているし、結構手当も良いし、シフトもしっかり守ってくれるのよ。それに今度改築して増床するので、今正看を集めているの。で、あなたたちどうかなと思って。Bさんの〇の研究も結構進んでいるしね」

若手B「へえー、そんなんですか。研修とかどうなってます?・・・」

徐々に姉御の話に興味を持つ、若手B。若手Cはあまり興味がないような感じでした。でも、こうやって、転職のアプローチがされるのかと、聞き耳をしてました。

この恰幅の良い姉御風の看護師は実にうまく、若手を誘っていました。基本的なスタンスは、「今の病院に勤務し続けても先がない」とか「スキルが活かせない」とか、若手看護師の悩みを上手に聴き、賛同し、若手看護師の立場で終始話しているのです。 恐らく、この恰幅の良い姉御風の看護師は、それなりに仲間から信頼されていたんだろうと思います。

引き抜く側が相手目線で会話し、引き抜かれる側は一方的なマネジメントだと、正直 「勝負あった」と言う感じです。

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