病院・介護施設での人事評価と職能評価

昨年末、毎度のことながら、賞与での査定で頭を抱え込む理事長や施設長、事務長が多かったのではないでしょうか?「人事考課を行っても、矛盾だらけで、評価能力のない管理職が行った人事考課の結果のみを鵜呑みにして、賞与や昇給の算定をすると大変な事になってしまう。」という経営陣の声は良く聞かれる所です。人間が人間を評価する。しかも、人によって価値基準の異なる情意評価の多い一般の人事考課は、運用を間違えれば、経営不振やチームワークの崩壊などの逆効果の要素も持っています。

私達も今まで、多くの病院や介護施設で人事制度や賃金制度を指導してきました。正直に告白すれば、10年前までは人事考課主体の評価制度で、矛盾だらけのシステムをコンサルティングしてきたと言えます。今でも、それをあたかも「人事制度の基本」と勘違いして、厚顔無恥の指導している輩も多いようですが・・・・。しかし、この矛盾だらけの人事考課でも、「配点別の考課着眼点や評価すべき行動の具体的表現」で幾分かはカバーできますが、これも限界があります。評価項目に沿って必要行動を決めてしまう事で、それ以外の行動や思想は評価されないという、かなりクローズドな仕組みに偏重してしまうのです。

そこで、生まれた概念がコンピテンシーです。これは良くできる職員の行動特性を文書化し、それを評価の基準にする事です。病院や介護施設では、特に必要技能がある程度確立されているので、このコンピテンシーを評価の基準に置くところも増えてきました。

表題の職能評価は、このコンピテンシーを職種別に、また経験や職位別に具体的な作業技能や、必要行動を文書化してものです。いかに、前向きでやる気があっても、肝心要の技能が劣れば、それは実務としては評価できません。逆に、愛想もなく、仲間との人間関係づくりが下手な職員でも、実務として作業技能が基準に達していれば評価されるのです。

ただ、こう表現すると、「そんな実務だけの評価では、組織がおかしくなってしまう。だから、矛盾があっても人事考課は必要」と言う声が出てきます。実は、その通りなのです。人事考課と職能評価を同時に行うのが、バランスのとれた評価制度であり、矛盾を最小限に抑えたシステムと言えるのです。私達も、この数年は必ず人事考課と職能評価を人事制度のベースに置き、評価制度が意義あるものにすべく指導をしています。

本来の人事評価は、単に給与の増減に使う物ではなく、その評価行為自体が、職員教育にならねばなりません。評価項目が具体的であり、その通りすれば「自分は認められ、給与も上がる」と分かれば、それに近づこうとする人間は少なからずいます。また、評価項目に違反した行為をしている職員を厳しい評価結果にする事で、反省を促し、又は最悪の場合、辞めてもらう事も評価に必要な事です。

 

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