50代早期退職者の独立起業戦略⑶「パーソナル積極戦略」
独立起業で一番多いのは、
- 今の会社から独立して、直接請け負った方が、安く提案できるし、売上が直接懐に入る
- 顧客から「独立したら、あなたに直接仕事をお願いする」といわれた
- 同業の知り合いから、同じビジネスで一緒に会社を立ち上げないかと誘われた
こういうケースが多いのが、自分の経験分野からの独立起業です。 しかし、最初は良くても、時間の経過と共に、徐々に「価格競争」のジレンマに陥ります。 なぜなら「あなたでなければならない理由=USP」がないからです。
最初は人間関係で発注してくれたお客様も、「個人でやっているんだから、もっと安くしてよ」と要望するようになるでしょう。 また、過去の会社の金看板が使えないと、創業間もない事業者としての信用度が低いことから、新規開拓しても低価格受注を余儀なくされます。 また、共同経営なんてものの成功確率は極めて低く、そのうち喧嘩別れするのが関の山です。
1、「あなたでなければならない理由」こそ、独立起業成功の条件
先ず、どの分野で独立起業しようが、必ず競合がいるし、複数の競合がいれば価格競争にもなります。 店舗系なら地道に「良いものを少しでも安く、お客様を大事に・・」と当たり前に事(凡事徹底)を徹底していけば、そのうち売上も積尾てくるでしょう。 但し、そこまでになるには、時間もコストも相当掛かります。 一番怖いのは、そこに行く着く前に「資金もモチベーションも息切れ」してしまう事です。 「あなたでなければならない理由」は、パーソナルSWOT分析では、 『強み』×『機会』=『パーソナル積極戦略』で表現されます。 この「パーソナルSWOT分析」では、それぞれの掛け合わせで、 【〇〇地域で、〇〇分野において、〇〇のニーズに一番対応できる〇〇ノウハウやメソッドを使い、〇〇の一番店又は地域TOPを目指す】 見たいな表現になります。
2、パーソナル積極戦略を絵にすると
「パーソナル積極戦略」は、「強み」×「機会」で生まれます。
これを図柄にすると、下記のようになります。
各強みは各機会には、複数あるので、それぞれを掛け合わせた表現が、「積極戦略」です。 だから、「積極戦略」も複数になります。 この「パーソナル積極戦略」が明確なUSPになるには、トコトン固有名詞と小さな市場(ニッチカテゴリー)に拘ってください。 後発の独立起業者が、曖昧なUSPでターゲットも不明確な戦略を立てると、本当に資金回収ができず苦労します。
小さなマーケット(ニッチニーズ・ニッチ市場)を掘り下げると、その中が広がってくるというイメージです。 最初は間口を拡げない事です。
3、パーソナル積極戦略が決まれば、モチベーションも上がり、次々とアイデアが沸く
パーソナル積極戦略でUSPが決まれば、それにそった取扱商品、顧客ターゲット、差別化サービス、販促などのプランもイメージがしやすくなります。 いきなり独立起業ではなく、準備期間を設けるなら、その期間にアイデアの具現化に時間を割きます。
今後決める事は
- 商品戦略(取扱商品、提供サービス等)
- 顧客戦略(見込み客リスト収集、認知される為の販促対策、SNS対策等)
- 価格戦略(各商品やサービスの価格の決定)
- ロードマップ・アクションプラン
- 事業計画・資金計画
等です。 特に顧客戦略の有無が持続可能なビジネスかどうか、に大きく影響します。 その為には
- フロントエンド商品の開発(きっかけ商品、無料又は低価格商品で取引の敷居を下げる商品の開発又は仕入れ)
- 見込み客集めのSNS計画(コンテンツを定期的にアップしたfacebook、YouTubeなどのフォロー収集)
- 販促予算の上限値設定(目的別費用の掛け方プランを決める)
- PI設定(売上利益だけでなく、そのプロセス目標を決めてPDCAを回す)
詳細な対策や計画表は次項で解説
4、建設経営コンサルタントの「パーソナル積極戦略」事例
では、建設経営コンサルタントに独立起業した方の「パーソナル積極戦略」はどんな表現にしたのか? 下記に表を見てみましょう。
「強み」「機会」を具体的に聴きだし、それぞれを掛け合わせて3つの「パーソナル積極戦略」が生まれています。 この中身の表現が大事です。 すべて固有名詞でしかも、数値目標や価格も概論的に入れています。 この表現を見れば、この建設経営コンサルタントは、どこにUSPを置いているかが分かると思います。
5、マンツーマンセッションで作りあげる「独立起業計画」
前述の建設経営コンサルタントの方とは、このパーソナルSWOT分析から、それ以降の事業収支計画、KPI設定、アクションプランまでマンツーマン指導して仕上げました。 最初本人から提出された内容は、どれもフワーとした内容で、USPなども不明。「あなたでなければならない理由」を全く感じませんでした。 そこで、マンツーマンカウンセリングをして、いろいろ質問やヒントを与え、それこ答えて貰いながら、どんどん文字化を図ります。
すると、徐々に具体的、固有名詞的内容が出てきました。 この「パーソナル積極戦略」の結果を見た彼に感想は、 「私自身が潜在的に思っていた事ですが、こういう言葉に具体的に出来なかった。なんか見えてきました」と。 そうなんです。「パーソナルSWOT分析」の結果、被験者の心にある曖昧な思いが具現化できるのが、このメソッドの凄さだと思います。
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