破局のシナリオ分析で、中期戦略を議論

10年前に出版した「SWOT分析を使った経営改善計画書作成マニュアル」という著書で、初めて「破局のシナリオ」という言葉を使いました。この意味は、「このまま通常努力を数年して、数年後売上利益がどこまで下がっているか」を数値化したものです。この考え方の基本は「既存商品、既存顧客では、そのうち競合や価格競争等で業績が下がる」という前提です。

その根拠は、最近3~5か年の推移から類推していきます。すると、多くの企業で「将来はお先真っ暗」という状態になります。

1、破局のシナリオを知ることから、危機感を共有

多くの経営者や役員は、漫然とした危機感を持っています。しかし、具体的な数値で「何年後、これだけ売上が下がり、赤字がこれだけになる」と数字を突き付けられると、いきなりリアルな危機感が生まれます。大事なことは、正しい危機感を持ってもらう事です。そうしないと、未来への仕掛けや戦略への取り組みが、浅くいい加減になるからです。本気の危機感なら、「現場の仕事が忙しいから、できなかった」などの程度の低い言い訳をするはずがありません。

こんな言い訳が中小零細企業でまかり通るのは、「危機感が本気レベル」までいってないからです。

2、破局のシナリオは、過去の数値分析を中心に、未来の可能性は低めに

破局のシナリオでの売上分析は、商品別、顧客別、事業別にこの3~5か年の平均推移から見ていきます。多少の凸凹があっても、低下傾向なのか、上昇傾向なのか、ピークアウトなのかを数値から見ていきます。その時、多くの経営者役員は、「今後は、こんな可能性があるから、そんなには下がらない」と反論する方がいます。その「上がる可能性」に明確な根拠と、既に数値に反映されつつある場合は、ベースに読んでも良いですが、まだ海のものとも山のものとも分からない場合は、あまり読んではいけません。

3、中期的に業績予想が悪ければ、差額商材対策をSWOT分析で実施

「破局のシナリオ」がネガティブで、中期的に大きな業績悪化が予想されるなら、新たな戦略立案や商材開発が急務になります。しかも、既存の市場で、競合激しい商材を開発、開拓、導入しても「レッドオーシャン」になるだけで、破局のシナリオはカイゼンされません。そこに「自社ならではの商材」「自社だから意味がある商材」にフォーカスすべきです。特に昨今は、どこでも手に入る似たようなものには、付加価値もなく、売上も期待されません。だから、SWOT分析を徹底して深掘りし、明確なUSPを導くのです。

間違った商材導入は、「他社がやっているから」「顧客から言われたから」と「自社でなければならない理由」とかけ離れたものは、失敗確率が高いという事です。

4、今の業績が良くても、将来不安なら、新戦略が必要

例えば、飲食業などがそうですが、今の業績は決して悪くない、しかし人手集まらず、今後営業継続に支障があったり、働き方改革で労働時間生産性ダウンが予想されること、原料入手が困難などの理由から、将来は収益確保が難しいと予測されることがあります。その場合も「破局のシナリオ」になり、あえて中期的に業態転換や新商材の開発や導入などの分析をする必要があります。

 特にこの2020年は、東京オリンピック特需の終焉、中国経済のブレーキ、アメリカの変調など景気動向がネガティブになる可能性があります。大企業はそれも見越してか、コストダウンに余念がなく、中高年の大リストラをどんどん発表しています。今こそ、「将来に向けた戦略立案をSWOT分析を使って、深掘りする時期」かも知れません。

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