相手が条件を飲みやすい値上げ交渉の仕方

コンサルタントにとって、クライアントの価格戦略は、重要な相談内容です。元々、国内の需要と供給のバランスは、需要よりも供給先が多い、「オーバーストアー」の状態の業種がほとんどです。

従って、値上げを取引先に要請しても、円滑に受け入れてくれる保証はありません。経済全体がインフレなら、値上げ交渉も比較的スムーズに行くでしょうが、まだまだインフレを実感できるレベルの経済状況ではありません。取引先も業績不振の状況で、値上げを受け入れる事は、自社の利益悪化に一層の拍車を掛けることになり、なかなか受け入れがたいところです。

この「値上げ交渉」は周知の通り、立場的に強い取引先や、選ばれる立場の商材を持っている取引先は、強気で値上げ交渉をしてきます。もし「値上げを受け入れなければ、取引はしない」と言うスタンスですから、どうしてもその商材が欲しい企業にとっては、渋々受け入れざるを得ないでしょう。

しかし、どこにでもあるような商材を販売している企業では、取引先から見れば 「別に、御社でなくても構わない」と言う立場になりますから、「値上げ交渉=取引先の消失=売上ダウン」に繋がります。それが怖くて、利益圧迫で厳しい状況なのに、なかなか値上げ交渉に踏み切れない企業もあるわけです。コンサルタントや会計事務所職員が、担当している顧問先にも、「利益捻出には、値上げしかない」企業は多いかと思います。

クライアントの値上げのタイミングでコンサルタントが考える事経営者から、実際に「値上げ交渉の仕方が難しい。どうしたらいいのか?」と質問をうけたら、皆さんはどう答えるでしょうか?現実に、これといった付加価値がない商材を取り扱っている中小零細の顧問先は、社長自ら「泣きを入れる土下座交渉」を行なうケースも多いようです。

これはこれで、ある一定の効果はありますが、長続きはしません。実は、こういう値上げ交渉が必要な時こそ、「自社の付加価値サービス」を見直す時なのです。現実は別としても、理想の姿は「あそこは、少しは高いが、あのサービスや信頼は他社ではできない」と思わせることができればベストです。

値上げ交渉をスムーズにするステップ

そこで、この難しい取り組みをする為に、どういう手順で取り組むかを整理します。これは、ある企業で実際に行なったケースです。

第一に、「値上げの根拠を数値化」する事です。

これは、取引先に「原料値上げと物流費の上昇で、商品当りの利益が、どれ位減少しているか、実際に赤字なのか」を数値で出します。「本当に厳しい数値」だと言う事を先方に理解してもらう為です。取引先によっては「厳しい厳しいというけれど、本当は結構利益がでているんじゃないの?」と誤解しているところも多いからです。

余談ですが、ある企業のTOPが、値上げ交渉に行った時、ドイツの高級車で訪問したら、先方の担当者から「社長のところは、厳しいと言うけれど、まだまだあんな高級車に乗って、営業に来るんだから、余裕があるでしょう」と皮肉を言われた人もいたようです。

続いて、第二に、「値上げを受け入れてもらうには、先方が納得する付加価値の提示」が条件になります。

単に、「原材料や燃料が上がったから、その分値上げしてくれ」では通用しないと言う事です。ここで言う付加価値とは、新たなサービス体制や、人員配置の工夫、情報提供等今までやってこなかった事を少しだけ実現し、先方のプラスになる事を、訴求する事です。

例えば、納期に工夫を出すとか、新商材を導入するとか、業界情報やソフト的な付加価値サービスを提供するとか、こちらもそれ相応の努力が必要です。それを、短期間で実現するような計画を立てて実現する事が肝要です。

第三に、「取引先の泣き所を十分に調査して、3つ位の条件を提案する」事です。

第二の付加価値と関連しますが、値上げ交渉をする場合、「正面突破の値上げ依頼」では芸がありませんし、効果も薄いでしょう。また、何か付加価値を提案して、値上げの論拠にしても、先方がそれに価値観を持っていなければ、玉砕されるだけです。交渉の持ち駒として、3つくらいの奥の手を準備し、相手にYesといわざる得ない状況に追い込みます。これは、営業マンに任せるだけでなく、会社グルミで検討した方が良いでしょう。

実際には、取引先別に交渉の仕方は異なりますから、全てを一括りで、行なう事は出来ませんが、姿勢としては上記3つを、個別に当てはめて、会社の仕組みとすべきでしょう。こういう営業ノウハウについて、コンサルタントや会計事務所の職員に具体的なノウハウ提供を期待している顧問先経営者はそう多くないかも知れないので、むしろ、上手く考えられるようなヒントを言う事に徹するだけで構わないと思います。

一番いけないのが、「社長、何とか値上げをしないと、利益が益々減少しています。値上げ交渉の努力をしてください」と言うだけのコンサルタントや職員です。総論を言われるほど、経営者はフラストレーションが溜まるばかりで、「そんな事は誰でもわかっている。どうしたら良いのか分からないから困っているんだ」と叱られるだけです。

経営支援の専門家としてもう少しだけ、突っ込んだ会話をするよう心がけるべきでしょう。3つの内容について、社長の意向を聞くだけでも、社長自身に何らかの気付きがあれば、それだけで、親身な姿勢であると評価されると思います。

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