社長から設備投資の相談を受けたら・・
「先生、今度1000万円のAと言う工作機械を買うかどうか考えているんです。確かにコストは下がるけど、そこまで注文があるかどうか不安ですし・・・」
これまで30年間コンサルティングをしていて、設備投資や人材投資、ソフト投資の相談は何百件と受けてきたでしょう。
経営者からすれば、虎の子の大事なおカネを使う訳ですから、失敗はしたくない。多くの場合コンサルタントは自分の経験やそのクライアントの実情を鑑みて、「こうだと思います」と自分の答えを言うはずです。その答えが経営者の思いと同じなら、経営者も納得するでしょうが、もし違う場合だと、必ず反対意見などが出てきます。
そこで、直ぐに自分の答えを言わず、経営者はどんなアドバイスを期待して相談したのかを考えます。簡単に言えば、「社長はどう思っていますか?設備投資すべきだと思っているんですか?」を話を聞き返すべきですね。経営者がどんな思いで設備投資の話を持ちかけたかによって、その後の会話の流れが変わりますから。
設備投資の判断
ただ、一般論として「設備投資の判断」には定石があるのも事実です。
- 設備投資が時間当たり生産性アップに貢献できる事
- 設備投資が合理化、効率化に確実に寄与できる事
- 老朽設備を維持しした場合のデメリットと費用、新規投資によるメリットと費用を比較して投資が有効である事
- 確実な生産性アップが見込める元請の投資要請がある事
- 設備投資により外注等の原価率が下げられ、コストダウンに貢献する事
- 設備投資により従業員の職場環境が改善され、労働意欲が高まり、人的生産性が上がる事
- 設備投資により、新たな収益源のビジネスが展開できる事
- 代替設備の投資であり、償却負担が変わらない又は、少し下がる事
- 設備投資により、償却費負担以上に固定費削減に効果がある事 etc
基本的に設備投資は『生産性アップでお金を生む』かどうかで判断しなければなりません。しかし、7番にあるように『儲けるかどうかも分からない新収益源』の為の投資も、時に求められます。この投資で一番怖いのは、TOPの思い込みです。精細なリスク分析をあまりせず、思考回路の中に「思い込みのメリット」が多くを占めているのです。ニュービジネスがそんなに簡単に儲けられる訳がありませんよね。
もし儲けられるなら、それを専業としている企業や大手企業が既にビジネス展開しているはずです。よほどの差別化要素がなければ、互角に儲ける事は通常は困難です。それでも、TOPが投資してまでも取り組みたい算段の根拠にどんな明確さがあるかです。
よく中小企業の経営者は『長年の勘ですよ。数字や理論的な事ばかり言っていては、タイミングをなくします。 今までもそれで、会社の変革をしてきたんですよ』と。正直、それも事実です。もし経営が投資判断基準みたいな理論値で判断出来るなら、誰でも会社を成長させる事はできます。しかし、実態の中小企業は、理論値よりもTOPの「こだわり」「夢」「経験」「勘」「度胸」のよる判断がまだまだ多いのも事実です。
そこで私たちがここ数年設備投資について、よく申し上げるのは『投資打ち切り条件』『撤退基準』についてです。ニュービジネスや拡大の為の設備投資やコスト負担が発生したとしても、いつまでも収益が上がらず、また先々への希望もあまり見えないなら、ダラダラ資金の流出は避けたいものです。
そこで、『投資打ち切り条件』『撤退基準』を理論値と数値で条件化します。確かにこれにもいろいろ問題はあります。例えば、投資打ち切り条件に該当したとしても 「これまでに投資した費用が莫大な場合、ここで打ち切る事は、今までのカネと時間をどぶに捨てるだけで、何の意味もなく、真に勿体ない」といわれるケースです。通常そこで、「もう少しで、何とかなる」と意思決定を遅らせるケースが出てきます。しかし余ほど特許性のある商材や、差別化商材で、ニーズもある物以外、やはり無理ち言わざるえません。また仮にニーズもあり、差別化商材でも、その商材が費用面で高ければ、それも昨今の環境から厳しいかも知れません。
付加価値が高いからと言って、売れないのが今の経営環境のようです。企業で、設備投資の判断や縮小撤退の判断は、最後にはTOPの意思決定に委ねられます。その根拠となる理論値やメリット、デメリットを言葉と絵で分かりやすくコンサルタントから提案されると、TOPも「経験、勘、度胸」というKKDの判断だけから、少しは脱皮するかもしれません。
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