嶋田利広ブログ

コラム

税理士を上手に使う

今回のテーマは「税理士の上手な使い方」です。

 税理士事務所といっても、一般の社員には、あまりピンとこないと思いますが、会社の決算や節税・税務に関する専門家で、ほとんどの会社では、顧問契約を結んでいると思われます。この税理士事務所の所長や職員を上手に活用すると、特に中小零細企業では、経営改善が進む事があるのです。税理士事務所の所長や職員と経営者は、会社の事、経営者個人の事について、トップシークレットなことまで さまざまな打ち合わせをしています。

 それは、会社の経営計画、資金繰り、金融機関からの借入、決算や節税、事業承継(後継者問題と相続税関係)など、社員に説明してもなかなか理解して貰えない事が多く、そういう打ち合わせや長年の付き合いを通じて、かなり深い信頼関係を持っている場合が多いのです。

 ここでは、皆さんに税理士さんの仕事を理解して貰おうと言うのではなく、少しだけ興味を持って、相談相手の対象として、税理士さんの存在を理解したらどうか、と言う事なのです。

 一般社員がいきなり、税理士さんにコンタクトを取れば、当然怪訝に思われます。しかし、経理担当者や、幹部クラスなら、もしかしたら、税理士さんと何らかの面識があるかもしれません。最初は、何となく敷居が高いように思われるでしょうが、結構気安く、いろいろ相談に乗ってくれます。ところで、税理士さんに社員の立場で、何を相談するかが、重要です。先ほども言ったように、税理士さんと経営者は強い信頼関係があり、お金や経営計画に関する経営者の本音を知っている立場です。ですから、経営者も信頼して、税理士さんにいろいろ相談し、アドバイスを貰っています。ある意味、信頼されている税理士さんの言う事なら、経営者は受け入れることも多いという事です。確かに全ての経営者が税理士さんの言う事を聞くわけではありませんが、中小零細企業では、税理士さんは、結構な影響力を持っていると言えましょう。

 そこで、ある会社の事例をご紹介します。会社の幹部が税理士さんを上手に活用して、経営者の暴走を留まらせた実例です。その会社は事務サービスや文具・簡易印刷などの『オフィスコンビニエンス』の業態の店舗でした。それなりに収益も上げていたのですが、その会社の社長は、店舗数の拡大を経営方針に掲げ、良い物件を物色中でした。その折、社長の知り合いからある物件が紹介されました。その場所は、どう考えても店舗に相応しくなく、出店すれば大幅な赤字になる事は誰でも予想できました。しかし、社長は半ば強引に、その土地を建て貸しではなく、購入しようとするのです。その物件を紹介してくれた知り合いに恩義があるようで、断れない事情が根っこにあったようです。長年、社長と共に店をやってきた営業部長は猛反対でした。何回も社長に詰め寄りますが、最後には『社長の俺が決める事にイチイチ文句を言うな』と押し切られます。

 当然、この事は大きな借入が伴うので、社長も税理士事務所には相談していたようでした。税理士事務所の職員も反対しましたが、社長が強く言い切れば、それ以上はいえません。その営業部長は何としても、社長に購入は踏みとどまらせたいという一心で、税理士事務所の所長に根回しに行きました。実は、この税理士事務所の所長は、その件を知らなかったのです。

 どうも職員から報告が上がっていないようで、驚いて聞いたようでした。その所長も営業部長の考えに賛成でした。税理士事務所の所長は、その会社の社長と面談して、物件の購入を踏みとどまるよう説得したそうです。その詳細な過程は分かりませんが、結果的には、社長は物件の購入は中止し、知り合いには正式に断ったそうです。本来なら、税理士事務所職員から所長へ適正な報告が早期に上がり、もっと早い段階で軌道修正できたかも知れません。しかし、報告をしなかった職員の是非以上に、営業部長が勇気を持って、税理士事務所の門を叩いた事で、突破口が開けてのだと思います。社員なら、誰でもできる訳ではありませんが、経営者の暴走を少しでも、食い止めたり、考え直させたりする方便としても、税理士さんの活用は、社員に取っても無関係ではないと思います。

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