嶋田利広ブログ

コラム

熟練者の技能を若手に教育する近道=ビデオ

 世代交代の時期を迎えた多くの中小企業では社内の固有技術に伝承は大きなテーマになっているようです。特に製造業では長年培われた技能、特に経験で蓄積されたノウハウは、そうそう伝承できるものでもなく、後数年の定年延長の期間に、何とかしたいと考えている中小企業も多いようです。

 しかし現実は、今の業務に追われ、将来の技能伝承への取り組みが遅々として進まないのが、中小企業でもあります。大手企業の中には、ベテランの技能をビデオで撮影し、それにベテランがナレーションやテロップを加えて、作業現場のディスプレイを設置して、OJTで『ビジュアル技能伝承教育』を取り組むところもありますが、そういう企業は大手企業や中小企業でもごく一部でしょう。  そこで、我々中小企業でもできる技能伝承方法を考えたいと思います。TOPに提案しても、経費や時間が取れないという事で、なかなかOKが出ないケースもあるので、経費を掛けずに現場だけでできるやり方です。

 先ず、製造業や建設関係の技能伝承に効果的なのは、やはり前述のビデオだと思います。特に今はスマホを上手に使いたいですね。伝承したい作業をベテランに行ってもらい、それを誰かのホームビデオやスマホで撮影します。後はどこかの会議か教育場面で、ベテランがビデオを見ながら、その作業の注意点を説明してもらいます。その時、ベテランが話している言葉は、蓄積されたノウハウなので、それを録音し、後で文書マニュアルに起こします。とにかく、何がしかの教育ツールがなければ、言葉だけで技能伝承は難しいと言うことです。特にこういうベテランは、若い頃は、厳しい先輩に『俺に背中を見て育て』とばかりに、経験則で体に染込ませた人が多く、それを分かりやすく文書にせよ とか、順序だてて話せ といっても無理な話です。そこにビデオ、動画が貢献するのです。  次に営業部門での技能伝承です。これは特に交渉力や根回し、応酬話法が中心になります。商品知識はマニュアルやカタログを整理すれば、誰でもある程度分かります。

 しかし、営業現場での顧客からの質問への対応、ライバルと比較された場合に対応、アフターや商品特性の伝え方は、各ベテラン営業が、自分なりに蓄積してきた経験です。これを『観念論』だけの研修で説明しても、なかなか伝わりません。そこで、有効な研修方法は何かと言えば、私たちはロールプレイング研修をお勧めします。仮説の営業場面を設定し、営業マン役、顧客役、その他のオブザーバーに分かれて、顧客役は営業へ否定的な質問や「他社が金額面で優位な条件を出してきた」「アフターはどうか」等の現実的な質問を繰り返します。営業役は、現状をしっかり聞く逆質問を繰り返し、『最適提案』を探っていきます。話法の展開は、基本的にアプローチ、デモンストレーション、テストクロージング、クロージングの各段階を行います。そこで特に重視しているのが、『目で見て分かる説明』です。

 カタログ説明、オリジナル資料、比較表、実物の見せ方などの資料を有効に活用し、相手が興味を引くようなプレゼンテーションをしているかがポイントになります。単なる言葉だけの商談では、相手への訴求力が小さく、そういうツールをいかに上手に活用するかをロールプレイングします。その状況をビデオ撮影し、後から皆に見せながら、改善箇所や他の営業も真似して欲しい箇所を学習します。ベテラン営業の訴求力、説得力、視覚力、クロージング力を議事経験していくわけです。昔から「無くて七癖」と言われるように、商談中の自分自身を営業本人が気づいていないケースも多く、ビデオによる「振り返り」は効果的といえます。実際の技能伝承は、『自分の責任で、いかに多くの失敗経験を積ませるか』が重要なのですが、残念なことに、多くの事業所でそういう余裕が無くなってきているのです。従って、今のベテランがまだ頑張れるうちに、必要な研修やツールを有効活用して、技能の『見える化』を進めることです。

 今回ご紹介したビデオツールや研修は、多くの費用を使う必要もなくできるので、先ず、自部門や現場で実践して、その成果を出した後、TOPに『全社的に取り組んだ方が良い』と提案した方が、受け入れやすいと思います。

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