意外に多い「話を聞かない」会計事務所職員

SWOT分析、KPI監査、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。

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毎月5事務所のコンサルティングを行い、これまでも50事務所のコンサルティングや職員教育を行ってきました。

今は、認定支援機関向けに「SWOT分析と根拠ある経営改善計画書」や事業承継の「見える化」、KPI監査を指導することが多いです。

そして、新たなにおつきあいする会計事務所ではほとんど、「その前の段階から」という依頼が多いのも特徴です。

 

「その前の段階から」とは何か?

実は、所長や管理者が悩んでいるのが、「話を聞かない」「話ができない」「会話も質問も心もとない」という職員が多いという実態です。

この話を聞いた一般の方は、「会計事務所は企業を指導する人たちだから、まさかそんなレベルの低いことはないだろう」と思われるでしょう。

ふつうの会話は、だれでも問題なくできます。

ただ、経営者との会話、特に経営者の真意を聞き出す能力となると、かなりギャップがある職員は多いようです。

表題の「話しを聞かない」とはどんなことでしょうか?

下記に「経営者から認められない職員の会話力」の事例をご紹介します。

1,自分では分からない質問になると、「分かりません」とそっけない態度で冷たい雰囲気の会話をする職員

仮に分からない質問を経営者がしてきたら、そこには何らかの理由があるはず。

その質問がでた背景を聞くだけでも、コミュニケーションが続くというものです。

 

2,相手の話をあまり聞かずに、自分が話す時間が長く、ピント外れな「答え」を一方的にしゃべる職員

いわゆる「おしゃべり担当者」で、先方からの質問に対して、その真意を聞かず持論を長々と展開するので、相手も嫌気がさします。

 

3,もくもくと仕事はするが、自分の専門外の顧問先が悩んでいるテーマに対しては、見てみぬふりをする職員

自分の領域以外は自信がないから、「触らぬ神に祟りなし」と、経営者からの相談や質問が来ても適当にお茶を濁すタイプです。

 

4,試算表や税務等の話しばかりで、顧問先が今何に、どう取り組もうとしているかを聞こうとしない職員

これは「専門バカあるある」の実態です。PLもBSもCFも経営活動全体の結果です。

業はどこを重点にしているか。製造は何が課題か、ある店舗の悩みは・・・こういう事をしっかり聞き出し、それと試算表のギャップを見るべき。

それをせず、出てきた数値結果だけを見て、経営者の伴走支援とは言えないですね。

 

5,経営者が言っている事を深堀して聞かず、聞き流す職員

経営者は組織の事、業界の事、社会の事、そして趣味やスポーツの事など、様々な話をしたがります。そのすべてが何らかの意味があって発言しています。

その時「これは税務と関係ない」と軽く聞きながす職員がいます。時間がないのか、興味がないのか・・。

ところが、その他愛もない会話から、いろいろな経営情報が聞き出せるのです。

 

6,顧問先の為と一生懸命に情報収集し資料を渡すが、ニーズ把握が浅い為、喜ばれない事が多い職員

経営者から宿題を要求されたり、情報を教えてほしいと言われる事があります。

しかし、1か月後いろいろ準備して提出したら、あまり関心を示さないケースです。

監査担当者は「徒労に終わった」と思うでしょうが、その実は、宿題や情報請求をされた時、その真意を聞いていないから、ピント外れな宿題をしてきただけかもしれません。

 

7,正しい事を言っている割には 会話に柔らさや寛容さがなく、「単刀直入」「全面否定」「つっけんどん」等の基本会話であまり好かれない職員

正しい事を言うのが仕事だと思っていると、人間関係は続きません。

大事なことは親身に聞くこと。どんなに正しいことを言っても、言い方にとげがあったり、ドライ過ぎたり、責め口調だと、相手は話したくないものです。

寛容な会話こそ、コミュニケーションのコツ

 

8,経営者が行なっていることに関心と興味を示さない職員

仮に経営者がゴルフの話をし始めても、職員がゴルフに興味がないとスルーしてしまうような場合です。

興味の有無に関係なく、経営者が話すことは何かのきっかけになるので、あいづちや再質問は必須です。

 

9,経営者との面談では、税務に関して「聞かれたら答える」のが自分の仕事と思っている職員

経営者から税務や試算表、融資関係で、「聞かれたら答える」というスタンスの方がいます。

こういうスタンスだと経営者は「この人は長年うちを担当しているが、興味がないんだろうか。何故いろいろな質問や課題提起をしてくれないんだろう」と思われ、距離を取られるようになります。

 

10、経営者以外の人がいる面前で、経営者を否定するような表現を平気で使う職員

経営者だけでなく、身内や幹部がいる場で、全く忖度なく経営者の発言や意見を否定したり、反論する人がいます。

これは絶対やってはいけません。考えがおかしい場合、認識違いがあるなら個別でいうべき。

経営者を辱めるような言動は一発アウトです。

 

11、経営者が話し終わっていないのに、なんらかのアドバイスをすぐ行なおうとする職員

経営者から何等かの質問があると、すぐ持論をアドバイスする人がいます。

それも一般論をさも得意げに。

もう言いたくて言いたくて仕方ないのでしょう。

経営者が聞きたい事の裏の意味を再質問せず、一般論のアドバイスをしても多くの場合ピンとはずれです。

 

12、経営者の話に丁寧にうなずいたり、あいづちを打ったりせず、ただ石仏のように聞いている職員

逆にあいづちや返事もせず、黙って聞いているだけの「コミュ障」に近い方もいます。

こういう方は、会話が必要なビジネスは無理ですね。

 

13、会社や経営者の問題点ばかり指摘して、改善策を一緒に考えようとしない職員

会社の問題点はどの経営者も分かっています。

試算表や決算数値を見れば、数値から判断できる問題点は明らか。

その問題点を指摘することは大事ですが、毎回毎回問題指摘だけをして、その解決策について質問したり、深堀したり、一緒に問題解決へ取り組む姿勢がないと、やっぱり経営者からすると魅力ない担当者です。

かと言って、即表面的なアドバイスではなく、真意や真因を議論する事で、相手は真剣に考えてもらっていると認識します。

 

14、たとえ話や事例で話す内容が、中小企業にはあまり関係ないおよそ現実とかけ離れた事例を持ち出す職員

グーグルでは・・・、テスラでは・・・、ユニクロでは・・・。

どこかのニュースで聞いた情報をさも得意げにたとえ話する方もいます。本人は「俺ってビジネス情報通ですよ」とアピールしたいのかも。

しかし、そんな大企業の話は中小零細企業の実態とはかけ離れています。参考になりにくいのです。

もっと身近な企業レベルの話で、他の顧問先や他の担当、セミナー等で聞いた中小零細企業事例からの情報を伝える方がベターです。

 

15、経営者が話す抽象的な会話を、抽象的な一般論で返し実のない話に終始する職員

経営者「もっと幹部を育成すべきですね」

職員「そうです。幹部が変わらないと会社は変わりません」

経営者「はい、もっと幹部教育に時間を取って、取り組みます」

職員「それが良いです。」

こんな差しさわりのない抽象的な会話をしても、経営者は何も気づかない。

もしちゃんとした職員なら

「ところで、社長、どの幹部にどんな教育機会や教育手法を使いますか?」

「その教育は誰がしますか?それを行う時時間が取れますか?・・・」

等抽象的な会話から、具体的な会話へ進めていきます。

「実のない抽象論の議論」は慎むべきですね。

 

いかがでしょうか?

この話を多くの会計事務所の勉強会で行うと、みな苦笑いをされます。

それだけ思い当たる節があるということです。

巷間、コーチングがブームですが、コーチング的発想で職員の会話力を鍛えなければ、経営計画書作成などの業務も表面的になっていきます。

会計事務所の今一番の課題は、「話を聞ける職員づくり」かも知れません。

 

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