アフターコロナの経営の危機感を持ってもらう「破局のシナリオ」づくり

facebookカスタムネイルアフターコロナで経営者が本気になる破局のシナリオ

 

今はコロナの第2波の動きに一喜一憂していますが、経営者の中で3年後の経営をどれくらいの方がイメージしているでしょうか。

政府保証の緊急融資(無担保無保証)で一息ついても、今の売上では即資金は枯渇するし、その後の政府保証の融資が可能かどうかも分かりません。

政府の補正予算も規模が縮小されているし、日本政策金融公庫も2回目は融資に慎重になるとも言われています。

保証協会も審査を丁寧に見るだろうし、1回目のような「とにかくスピード重視」ではなくなるでしょう。

すると追加融資はそう簡単ではないかも、というのが大方の見方のようです。

そんな融資環境下で、まだ政府の補助をあてにして「自分達の力ではどうにもならない」と諦めている経営者がいます。

ニュースを見れば第2波とGOTOトラベルのドタバタで夏休みのかき入れ時が大きくマイナスの観光業、営業時間自粛と会食自粛でダメージが大きい飲食業などは、解決策を見出すのは難しいでしょう。

しかし、それ以外の業界での自助努力はどうか?

経営者によってはすべてコロナのせいにして、意思決定を遅らせている場合も多いようです。

 1、3年後の経営をイメージし、今から手を打つ「破局のシナリオ」分析

我々はこれまで「経営改善計画書作成」のコンサルティングをする時に、損益ベースの「破局のシナリオ」を作ってきました。

「破局のシナリオ」とは、普通に今の営業努力を続ける事を前提に下記の事を数字に入れ込みます。

⑴3か年加重平均で減少している製品別売上は平均減少率のまま売上ダウンで読む(平均上昇している商材はその状率で読む)

⑵原価(仕入れ・材料等)項目で上がる事が確実なものは大体の上昇率で読む

⑶労務費は時給や労働コストが上がり続けるなら平均上昇率で読む(withコロナでは労務費は維持または減少する可能性がある)

⑷外注費は現状維持またはwithコロナでは若干安くなる可能性がある

⑸人件費は既存社員の給与総額は昇給が難しい場合、現状維持。新たに雇用する可能性がある場合はその分の人件費を読む

⑹業績悪化を受けて、派遣解約、有期社員の解雇、賞与の減額が想定できればその分人件費は減らす(大体に数字でOK)

⑺RPAやIT、設備投資をする場合はその分の減価償却費やリース料を追加。その分人件費の削減を合わせて減額(数字はこれから導入検討なら1年目は6か月程度に反映させる)

⑻売上ダウンに合わせて通常の販促広告費は一定率削減。しかしオンライン系の広告やWebページ制作費などコストで読む

⑼販売管理費は大きな数字の科目以外(消耗品や雑費等)、現状維持で読む

こういう事を3か年計算していきます。

すると、仮に前期収支トントンでも、1年後マイナス500万円、2年後マイナス1000万円、3年後マイナス2000万円になるかもしれません。

それが損益における「破局のシナリオ」です。

特に今回はwithコロナで「売上の激減幅を大きく読む」必要があり、赤字幅は通常ペース以上になるでしょう。

 

2、資金の「破局のシナリオ」は「予想貸借対照表」作成から

損益の「破局のシナリオ」だけでも経営者にとっては十分恐怖ですが、経営者がもっと危機感を持つのは資金状況でのい「破局のシナリオ」を見た時です。

先程の3か年の損益の「破局のシナリオ」を年度ごとの予想貸借対照表に入れていきます。

その場合、「withコロナでの追加融資」が認められた場合と認められない場合の2種類用意し、それぞれ予想貸借対照表を作成します。

そしてこの3年間大きな買い物をしない、顧客の倒産による売掛金の不良債権は発生しないと仮定して入れていきます。

すると、3年後の予想貸借対照表では「現預金」がどれくらいマイナスになるのか?

マイナスのなった場合、追加借入ができない場合、経営者個人が貸し付けるのか、増資をするのかなどの対策をとらない限り、現預金がない状態になります。

経営者にとって手元流動性である現預金がない事が一番の恐怖です。

この予想貸借対照表を見た経営者はどんな心理になるでしょうか?

「資金」という本当の危機感から経営者が行動に出る事を期待していくわけです。

 

3、予想貸借対照表から経営者に提案する事

3年後に現預金がない事が分かれば、今のうちにどこから手を付けるかの議論をします。

大きく分けて、

市場開拓、製品開発、リストラ、業態転換、清算廃業、譲渡売却

の選択肢が出ます。

市場開拓とは新規口座開拓というよりも、新販売チャネル開拓(脱下請け、代理店から直販、Web販売等)などの抜本的なものです。

製品開発は、製品改良ではなく、新たな市場に相応しいダイナミックな挑戦商品です。

リストラは、事業の選択と集中で「止める商品」「止める顧客」と「伸ばす事業や顧客」などを絞り込みます。更にRPAやIT化などのDX(デジタルトランスフォーメーション)を導入して人件費を削減。削減した人員を生産性のある部門へ配転などを決めます。

業態転換とは、多角化です。今の経営資源とのシナジーを考えて新たな事業への挑戦です。

清算廃業は仕入先や社員に迷惑を掛けない段階で思い切る事です。債務状況では経営者自身は破産しても立ちいく計画を立てます。

譲渡売却は、M&Aできる事業があれば行います。また負債部分は経営者が被り、MBOなどの可能性もあります。

 

予想貸借対照表の結果から、こういう「経営戦略」の可否を議論する事が今、早急に必要なのではないでしょうか。

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