①会計事務所の現状
マーケット縮小と品質競争・過当競争で、従来型事務所は淘汰が進む
(1) 法人数の減少加速化
- 1991年前後に中小企業、個人事業所が531万社前後登録されていたが、2006年度では424万社まで減少。
- この20年間毎年2,5~13万社、平均しても5~6万社が減少(開業率も低下、廃業倒産が増加)。
- 開業率より、廃業率が2~3倍上回る状況が続く。
(2) 税理士登録者増加
- 1985年税理士登録 約47000
- 1995年 〃 約65000
- 2005年 〃 約69000
- 2010年 〃 約72000
- 税理士一人当たりの持ち件数が益々減少している。
(3) 本業だけで生計がたたない公認会計士・弁護士の税理士業務参入可能性
- 公認会計士、弁護士の急増。
- 但し参入するには簡単ではない税理士の専門業務。
(4) 顧問料の低価格化で安定
- 都心部を中心に これ以上下げられないレベルまで、下がってしまった(9800円/月の存在)。
- 企業業績の悪化から、付加価値が感じ取れないなら、顧問料値下げ要求は強い。
- 原則、値下げ要求が出れば受けざる得ない(拒否すれば他事務所で乗り換えられる)。
(5) 会計事務所に対するニーズの質的変化
- クラウドでコスト革命が起こっている
- 利益の出ない状況で節税ニーズが減少。
- 相続や事業承継へのニーズ。
- 経営改善やコンプライアンスへの情報提供。
- 経営計画やモニタリング等。
(6) ネット活用の優劣が顧問先獲得のキーワード
- 良い事務所かどうか、ホームページで判断する層の増加。
- ありきたりのホームページから、ケース事例や姿勢、事務所の雰囲気は伝わるものへ。
- Web広告費用の上昇でネット広告の費用対効果も疑問視。
(7) 創業企業、零細企業は価格重視、中小企業以上は付加価値重視
- 内容よりは、とにかく安ければよいという層は、小規模事業所中心に多い。
- 付加価値を求める中小企業では、提案力や支援力がなければ乗り換えが進む。
30数事務所のコンサルから見えた「これから益々苦境に立つ いまどきの職員」
(1) 所長が危機感を煽っても、なかなか動かない従来型職員
(2) 作業に追われ、未来を考えきらない職員
(3) 低収入でも「仕方ない」と諦めている職員
(4) 長年の染みついた経験から抜け出せないベテラン職員
(5) 有償サービスに抵抗感を示す職員
(6) 新たなサービスの重要性より、作業が増える事へ抵抗する職員
(7) 積極的な提案より、聞かれたら答える受け身体質から脱皮できない職員
(8) 顧問先とは世間話はできても、課題解決の為の深堀した質問や聞き込みができない職員
ビジネスホームドクター(掛かりつけの経営相談相手)機能の優劣が評価の分かれ目
(1) 顧問先と一緒に未来を考える「経営計画」支援は最低限の必須機能
(2) 顧問先が具体的に経営改善の行動を支援する「モニタリング」「経営会議」
(3) 顧問先の経営の諸問題に何らかのアクションを取る「ソリューション提案」
(4) 全業種に適応できる「ベーシックコンサルティング」の実践
(5) 「コーチング型」「提案型」職員にする採用基準、教育方法、評価方法の大変革
(6) 監査・決算業務の効率化で付加価値時間を捻出
(7) 事業承継、後継者育成機能
「支援の見える化」の技術を磨く
(1) 指導・支援の「見える化」とは
- 「文書化」してあげること。「文書化」とは、零細企業には言葉はあっても、文字での記録や「見える化」が極端に少ない。
- 言葉だけの指導は時代遅れ。現場での議事録入力スキルが重要
- 以前は『「理屈」や「監査結果の情報提供」だけを話して、帰る』だけの職員もいたが、今はそれでは通用しない。
- 指導現場の「見える化」をしなければ、支援の再現性が難しく、顧問先に何も残らない。
- 「見える化」とは、監査後面談なら、その結果を職員のノートパソコンに入力しながら、会議指導なら、モニターやプロジェクターに投影しながら、議事録や決定事項を職員がその場で入力し、参加者に見せながら会議を進める。
- 分析をしたり、マニュアルや規則等を作る場合、議論しながらその場でフォームや叩き台を入力していく。
- 職員に取っても、その場で業務を終わらせ、作業を事務所や自宅等に持ち込ませない事で、業務効率が大幅にアップする。
- プロジェクターを映す場所がない顧問先では、モニターを持参して机に置いて、相手に見せる事も出来る
- この方法で税務顧問だけでなく、会議指導料を別に取れるようになったケースも多い。
「コーチング」会話の技術を磨く
(1) 監査後に経営者面談を義務化
(2) 監査後面談でのコーチング会話
- 月次の業績結果から、現在の経営課題をテーマにして会話を進める。
- 経営者に質問しながら、経営者が考えている事を聞き出し、それを整理する。
- アドバイスのみではなく、経営者に答えを考えさせる。「質問」の形式で、様々なヒントを経営者に与え、より具体的に、より詳細に行動へ導く
- 「何故」と言う問いかけから、相手が行った事、考えたことの背景を知り、相手により深く考察してもらう。
- 抽象的な会話から、行動に直結する決め事が決まる面談にする。
- 職員の質問が表面的なら、相手も抽象的、表面的な回答しか返ってこない。
(3) 所内の研修システムの仕組み化
- コーチング会話が現場できるように所内研修でロープレを定期化する。
- ロープレ結果は録画し、本人も他の職員にも見せて、客観的に反省させる。
- ロープレの場数とトーク技術の向上は比例する。
経営計画、モニタリング技術の向上
(1) 財務ソフトでできる「数値だけの経営計画書」だけで評価されない
- これから求められる「経営計画」は「数値の根拠がある具体策」が入っていること。
- 具体的な固有名詞、固有戦略、実行までのプロセスが入っていること。
- アクションプラン(行動計画)が詳細であること。
- アクションプランは定期チェックできる仕組みやフォームであること
(2) モニタリング・経営会議支援
- 顧問先の経営会議に参加し、一緒に取り組む(会議のコメンテーターではない)。
- 経営会議の司会や書記もできるようにする。
- 毎回の会議で決定事項を具体的に出す支援を行う。
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