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⑥住宅会社のSWOT分析と戦略展開図の事例

この住宅会社は、年商規模では数億円の中小規模の住宅会社です。 この会社も毎年、経営計画書を作成しており、昨今の不動産不況の中でも堅調に受注しています。 その背景には、SWOT分析をする前から、自社のレベルを客観的に把握しており、『身の丈にあった経営』を推進しているからです。

この会社では、経営会議を使い、延9時間くらいの時間を使って、この住宅会社SWOT分析シートを作成しました。 参加者は、社長以下役員4名とコンサルタントで実施しました。 現在は、このSWOTのクロス分析から中期ビジョンと必要な戦略や具体策について検討中です。

最初に行なったのが、通例通り「脅威と「機会」の外部要因分析からです。 住宅業界の「脅威」といえば、まず不況の影響で同業者倒産が相次いでいることです。 特に分譲を行なう、不動産ストックを持っている中小の住宅会社は厳しい状況にあります。 更に1件の新築情報に多くの住宅会社が群がり、値引きの合戦の消耗戦をしている所も少なからずあります。ただ、この会社での「脅威」の項目は意外に少ないのです。 それは、分譲をしないのと、展示場や広告を出しての販売をしなくても、ほぼ100%紹介で決まっているので、そういう意味では影響を受けにくくなっているからです。

機会分析

「機会」では、瑕疵保証が義務化されたことで、安心感では大手と変わりなくなった点や、住宅の高機能化、省エネ化が更に進む点を上げています。 住宅減税や制度面の追い風もありますが、この会社にとっては、そういう追い風もあまり関係ない施主の層を相手にしているので、テーマに上がっていません。

弱み分析

「弱み」では、「強み」と表裏一体ですが、「施主からの評価がたかい、相手に尽くすサービスが、業務効率悪化の主因」になっていることです。 また、これ位の規模の住宅会社はどこも同じでしょうが、経営者の営業力で受注が決まってきます。 しかし、その経営者が60歳を越えて、徐々に承継を考えている時に、次の世代ではどうなのかと言う大きな課題があります。

強み分析

「強み」での、特徴的な事は、「販促経費を掛けなくても、ほぼ100%が紹介による受注」である事です。 これが可能なのは、「弱み」でもある「お客様にトコトン尽くす姿勢」があるからでしょう。

SWOTクロス分析

次にクロス分析を行ないました。

積極戦略

まず「積極戦略」では、収入が安定している公務員の顧客が多いのは、受注安定上大きなメリットであるので、1人1人のOB施主への接点を増やす為の企画を考えることが上位に来ています。 更に、リフォームのPRをもっと積極的に行なう為のホームページの取り組み、特定地域の不動産会社とのもっと深い付き合いの模索などが上がりました。

致命傷回避戦略

2番目の「致命傷回避戦略」では、「1件1件に時間が掛かり過ぎるのは、基本提案パターンが確立していないからだ」と言う理由で、注文住宅ながら規格住宅ではない、「提案の絞込みができるイメージプランの構築」が上がりました。

改善戦略

3番目の「改善戦略」のゾーンでは、もっとアフターサービスをアピールする方法や、ツールの弱さを補填する為に、簡易ガイドブックの作成等が上がりました。

このSWOT分析のクロス分析から上がった戦略では、既に実行に移されているものも複数あります。 社内の忙しい実情はそう簡単には変わりませんが、この風土を維持し、「自社都合よりお客様都合優先」の思想を貫けば、よほどの事故がない限り、極端な業績悪化はないのではないかと、長年コンサルティングをして感じています。

SWOTクロス分析シート

  • 住宅会社のSWOT分析事例 【PDF

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