私がSWOT分析をUSPにした経緯
コンサルタントやプロにとって「自分のブランディング」や「USP(独自のウリ)」は大変重要です。これはいわゆる「ポジショニング」と呼ばれる、
「この分野のあなたならではの理由」
「この分野のあなたが他の誰かと違う理由」
これらが明確になれば、後はそれに沿って粛々と、「ブランディング戦略」を立て、継続していくだけです。
但し、「ブランディング」は、今日決めたから明日から認知されるような事ではありません。正しく言えば「決めたUSPを継続的に、多面的に育んでいく」というものです。私の場合、「SWOT分析」と「経営承継可視化」をUSPにしています。今回は「SWOT分析」をUSPにした背景をご紹介しましょう。
1、SWOT分析との出会い
SWOT分析をコンサルティングに使いだして、かれこれ20年近くになります。もともとこんなメソッドはあるという事は知っていましたが、BSC(バランススコアカード)を進める為の最初の「戦略立案ツール」という認識で、3C、4P、5force、PPMなどの他のツールの一つだと思っていました。ある時、クライアントからBSCを導入してみたが、上手くいかず相談されました。
そこで、改めてBSCの勉強を深掘りしてみようと何冊かの本を読み漁りました。すると、戦略マップ、KFS、KPIというフレームの中で一番先にくる「SWOT分析」が適当だったら、後の戦略マップもKFS、KPIも形式倒れになると、実感しました。そしてこのSWOT分析手法は、面白いと感じました。
2、中小企業SWOT分析の参考書がない
ところが、当時のSWOT分析の参考例は、経営学者やコンサルタントが書いた「大企業の後追いSWOT分析事例」が中心でした。「大手A社が今の経営戦略を実施している背景は、こんな機会とこんな強みから生まれた・・・。」自分が知りたいのは、中小企業が経営戦略を導きだす時、どんな「機会」を掘り下げるのか、どんなことが「強み」と言えるのか、その掛け合わせである「積極戦略」って、どう展開するのか、というノウハウです。しかし、残念ながら私が求めるノウハウはあまりありませんでした。
3、最初は失敗ばかりのSWOT分析
SWOT分析メソッドは有効という気持ちはあったので、参考例がない中で、まず実践してみようと、当時の経営顧問企業で練習がてら、協力を貰って経験しました。当然、ノウハウがないから上手くいきません。抽象的な「機会」、よい点ばかり列挙された「強み」掛け合わせの「積極戦略」も概念論ばかり。
経営顧問先の経営者からは、「何かいまいち、しっくりこないやり方ですね」とやんわり否定された事もあります。暗中模索とはこの事で、その後の何件かの「経営SWOT分析」をしました。でもあまりぱっとしない。「この手法は中小企業には不向きかな」と思いだし始めまた。
4、事業部SWOT分析をした時、変化が
経営SWOT分析は、会社全体の経営戦略を決める訳ですが、いろいろな部門や商品、顧客チャネルがあると、曖昧なSWOT分析になりがちです。そこで、ある複数の事業を経営している顧問先企業で、「A事業部だけのSWOT分析」をトライしました。目的は、その事業部のビジョンや戦略の絞り込みが課題だったからです。
すると、その日のSWOT分析はこれまでと全く違っていました。それはA事業部に特化しているので、出てくる文言が固有名詞ばかり。私自身も分からない専門用語がバンバン出てきます。私も分からないまま、それをPCに入力していきます。まだプロジェクター投影がなかったので、先方の社員に模造紙で書かせていました。それで出来上がった「積極戦略」に事業部の責任者も経営者も大変満足して頂きました。
5、SWOT分析は固有表現に絞れば絞るほど、効果的
私の「SWOT分析スキル検定」を受講している方はご存知だと思いますが、相当な固有名詞にまで「機会」「強み」も「積極戦略」も落とし込みます。それがクライアントが納得する理由だからです。検定のロープレでも、ロープレ時に固有名詞への落とし込みで苦労されている受講生がいます。
しかし、心配ご無用。何回もロープレを経験すれば、固有名詞への落とし込みができるようになります。固有名詞はコンサルタントに専門知識なんかなくても結構です。相手が言っている言葉を素直に文字化すればいいだけです。
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