嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

SWOT分析で勝手にストーリーをつくらない

以前、ある検察官が被疑者の行為を勝手にねつ造してストーリーを作ったと言う事件がありました。物的証拠がないから、状況証拠を積みあげる過程で、勝手にストーリーを作ったのです。その事件は無罪が確定し、その検察官はたしか、罷免されたと思います。何故、こんな話をするかと言うと、「SWOT分析検討会でも、似たような間違いをコンサルタントが起こす」可能性があるからです。

特に、アイデアマン的なコンサルタントがついつい、クライアントの意識を聞かず暴走したSWOT分析指導をした結果に起こりやすいです。

1、相手が聞き役だと、コンサルタントがしゃべり過ぎる

SWOT分析検討会で、参加者が大人しく、聞き役のタイプが多いと、指導するコンサルタントがしゃべる時間が長くなります。コンサルタントとしては、「機会」の掘り下げをする段階で、クライアントが「少ししか情報を出さない」場合、それに尾ヒレや背びれをつけて、聴きだす訳です。その時に、コンサルタントのイメージ(ストーリー)が先行してしまいがちです。

2、相手はコンサルタントの熱意についつい引き込まれ・・・

「コンサルタントが言ったストーリーは、少し違う」とクライアントは思っていても、その熱意と論理性から、真っ向から反論しません。だから、コンサルタントも持論が間違っていないと思い、ドンドン勝手なストーリーが展開されます。

 3、相手が乗ってこない時は、そのストーリーは間違い

コンサルタントがいかに筋道立ててアイデアの論理展開をしても、参加者が大きくうなずき、納得感あるような表情ではない時は、そのストーリーは間違いです。参加者が食いついてくるストーリーなら、それは方向性はあっていると言えます。

4、何故、コンサルタントは勝手なストーリーを展開するのか?

それは、一言で言えば、現場と現実を知らないからです。SWOT分析検討会に参加した経営者や幹部は、現実・現場を知っているから、コンサルタントの架空のストーリーに乗れません。しかし、コンサルタントは、相手に対して「新たな戦略が上手くいく為のプロセスやイメージが湧いて、可能性がある」と思ってもらいたいのです。ただ、それが現実とかけ離れていれば、端からダメですが。

5、架空のストーリーは、聴き込み不足と経験値から起こる

結果的に、SWOT分析検討会でのコンサルタントの架空のストーリーは、聴き込み不足から起こっていきます。「機会」や「強み」を聞く時、「Why」と「How」を何回も確認しないと、表面的な意見だけで、勝手なストーリーに入っていきます。また、コンサルタントの経験から、勝手なストーリーが始まります。自身の経験は論理的で、強いイメージができているので、個別企業のリソースに関係なく、提案したくなります。

6、突拍子もない意見は突然出てくる

コンサルタントがあるストーリーに沿って、積極戦略を整理している最中でも、「本当の可能性のある意見」は、突拍子もなく出てきます。そこで、コンサルタントがまとめに入っているから、それをないがしろにすると、参加者の不満も出てくるし、それ以上に、重要な戦略をスルーすることになりかねません。コンサルタントがまとめようとしている事も、勝手にストーリーを確定しようとしていることにつながるかも知れませんね。 

いずれにしても、コンサルタントは思い込みで勝手にストーリーをつくらないように意識した方が良いですね。

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