嶋田利広ブログ

SWOT分析コンサルタント

地元飲食店のマーケティング戦略 事例

SWOT分析で「商品開発」コンセプトや商品開発戦略を議論する事は多いですね。つい先日も、長年コンサルティングしている飲食店グループの「社長会」でも次世代の「商品開発戦略」を議論しました。その時、各店舗の「強み」は、だいたい分かっていますが、「機会」をどのように見るかで、開発コンセプトが変わってきます。

当然、今後の市場ニーズや需要の変化をベースに、どういうものが可能かを順序立てて整理します。大事な事は、どんなカテゴリで議論をするかです。下記に、カテゴリーの種類と、どんな議論が出たかをご紹介しましょう。

1、この地域でのボリュームゾーンの顧客は誰か

マーケティング戦略を組むうえで、「誰に」を決める事が、コンセプトづくりのすべてだと思います。この地域はご多分に漏れず、高齢化が甚だしい人口減の地域です。いわゆる過疎化が進んでいる訳です。当然、ボリュームゾーンの顧客は高齢者です。しかも、年金収入中心の「低所得高齢者」が多い地域です。すると、普通だったら「低価格の弁当やメニュー」を創造しますが、そういう捉え方をしません。確かにボリュームゾーンでは、「低所得の高齢者」が圧倒的多数ですが、そういう高齢者の中でも

「たまには美味しいモノを食べたい」という強いニーズはあります。だから、日頃は介護弁当みたいな味の薄い低価格の弁当やメニューだけど、「たまには味もしっかりした、プロの美味しい料理を食べたい」ニーズに応える というゾーンに絞るようにしました。

2、そのボリュームゾーンの顧客は、今後どういう食へのこだわりと価値観があるか

日頃は低価格の弁当やメニューでも、「たまには美味しいモノを食べたい」高齢者層に対して、どんなこだわりがあるか、高齢者の本音の声を聞きました。すると、「血圧や血糖値には良くないかもしれないが、たまには昔食べていた味のしっかりしたものも食べたいよね」という声。

高齢者の方の中には、「本当は食べたいけど、健康の為に我慢している」という実態がある訳です。そして、年金収入も限られているけど、月に数回は、ちょっと高めの「本当に美味しいモノ」を食べたいと思っているのです。ここに「商品開発とキャッチコピー」のポイントがありそうです。そして。この時既存のどの商品への対抗軸として、「新商品」をあてがうかを決めました。そこで生まれたのは「低価格・味薄の宅配介護弁当」を食べている高齢者にターゲットを絞り、その商品の反対を「心の琴線」に触れる表現で、PRしていこうと決めました。「低価格・味薄・栄養バランスの宅配介護弁当」は、論理的に素晴らしい商品です。高齢者の健康管理やお財布事情からも理屈があっています。いや、理屈通りなんです。

すると、高齢者は「健康のため、おカネの為に仕方ない、我慢しないと」とという理屈で、その商品やメニューを選んでいます。そこに、「いやいや、たまには好きなモノを、美味しい料理で、目いっぱい食べませんか。自分ご褒美も大事です」見たいな「感情的な提案」をしていきます。正直、たまにでも構いません。それでもボリュームゾーンが大きいので、売上には貢献する訳です。

3、そのボリュームゾーンの顧客の特定ニーズは、どんな提供条件なら、発注頻度を上げるか

どんなに良いメニューや商品を開発しても、それだけではボリュームゾーンの顧客は、購買頻度を上げません。そこで、「どんな提供条件なら、リピートがあがるか」を議論しました。お年寄りの昼食や夕食はほとんど在宅です。特に冬場の寒い時は、なかなか表に出てきません。そこで、「出前」の強化を打ち出しました。「高齢者が喜ぶ」出前専門メニューも開発。

しかも、昼食弁当を中心に、事前に電話予約を貰うシステムです。というよりは、朝に店から電話を掛けて「今日の弁当は、どこどこ産にの〇〇を甘辛醤油で煮込んだ〇〇がメインの弁当です。ショウガ仕立てだから、体も温まりますよ」と一言、付け加えるだけで、発注量が増えます。また、毎回「日替わりメニュー」では、具材が分からないので、定番弁当メニューを数種類用意し、「選べる弁当」にもしました。これは顧客の声から生まれました。

このように、地域の特性に合わせて「高齢者向けテイクアウト戦略」を明確にすることで、売上増が実現できる訳です。

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