今年の京都大学経営管理大学院(EMBA)での講義
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
今年も9月9日、10日の両日、京都大学経営管理大学院で「EMBA(上級経営会計専門家)講座」の講師を務めました。
今回は「戦略と会計」というメインテーマの中で、私の担当は「SWOT分析」についてでした。
EMBAの学生は社会人であり、おもに会計事務所の所長税理士が中心です。
彼らに「中小企業SWOT分析のリアルな神髄のノウハウ」と体感研修として「ヒアリングロープレ」を経験してもらったのです。
このロープレ経験は初めての方が多く、インパクトがあったようでした。
1,SWOT分析の出来不出来を決める「ヒアリング技術」
午前中、第1講の日大教授の講義の後、私が一通り「SWOT分析ノウハウ」と事例を解説しました。
その後昼食休憩をはさんで、「実際にSWOT分析をヒアリングしながら、書き込みをやってみよう」というロープレを班別の実施。
先ず、私が模擬ロープレとして、社会人学生や教授、講師陣、事務局が周囲で見守る中、私が聞き役(コンサル役)、相手は独立したばかりの税理士の学生、に対して40分間、リアルなSWOT分析を実施。
彼はまさに独立仕立てで、今後のUSPづくりを考えている時だったので、この模擬SWOTは研修が実益につながっていました。
講義に入る前、学生は私に書籍、YouTube動画、そして講義を見ていたので、そのテンションでヒアリングすると思っていたらしいです。
しかし、公開SWOT分析ヒアリングが始まると、温和な聞き方で深堀質問と適時にヒントアドバイス、そして書き込みする光景を見て、ある社会人学生は
「嶋田先生はもっと怖くて、強い聞き方をすると思っていました。こんなに優しい聞き方なら、相手も話易いですね」
と(笑)
公開SWOT分析ヒアリングが終わると、班別に分かれコンサル役(聞き役)、社長役(話し役)、オブザーバーに分かれて、1セッション30分で3回セッションを行いました。
聞き役と聞かれ役を経験し、日ごろからアドバイスする事に慣れた彼らは「深く聴くことの難しさ」を体感したようでした。
2,ファクトファインディングをしないヒアリングでは深堀質問ができない
実際のSWOT分析ヒアリングロープレが始まると、各班の状況を見ながら巡回しました。
EMBA事務局指導者の方も同じように巡回しました。
その事務局の方は
「ロープレを見ても、皆無駄な質問をしているように思います。嶋田先生の公開SWOTでがムダな質問がなく、どんどん深堀していけてますが、何が違うのでしょうか?」と。
私は即座に「それは、ファクトしか聞いてないからです。ファクトを聞くと次の質問は直ぐ5W2Hになりやすいから」と答えると、非常に納得していました。
確かにロープレを聞いていると、事実の情報に対してそれをもっと聞き出す「かぶせ質問」が少ない事に気づきます。
相手が答えた一つの情報や答えに対して「何故」「誰が」「何を」とどんどん聞いていけばいいのですが、ついつい自分のNEXTクエッションばかり気にして、眼の前のヒトの大事な情報を見過ごしているのです。
だから、ファクトファインディングを徹底すれば、誰でもSWOT分析ヒアリングは上手になります。
3,「強み」を聞き出す難しさ
SWOT分析ロープレでは特に「強み分析」に重点を置き、無理やり「積極戦略」までいかなくても構わないという指示を出しました。
しかし、
強みフレーム、機会フレーム、積極戦略フレームを埋めようという意識が強いのか?
浅いヒアリングのまま記載されていきます。
しかも前述の「ファクトファインディング」でのロジカルクエッションではなく。
「強みを聞き出す」とは、その強みという事実の背景を聞き出すことです。
●何故その強みが生まれたのか?
●その強みを享受している顧客は誰か?
●どんな状況シチュエーションでその強みが発揮されるのか?
●強みと認識される段階で何があったのか?何が影響したのか?
こんなファクトファインディングの質問を繰り返せば、どんどん「強み」の背景が埋まっていきます。
しかし、初めてSWOT分析ロープレを経験した社会人学生には厳しかったようです。
この体験ノウハウは、「顧客現場でこんな聞き方をすれば、もっと本質が聞き出せる」という意識になってもらうことが大事で、このロープレで何回失敗しても良いのです。
むしろどんどん失敗して欲しいものでした。
4,シンプルBSCからのKPI監査
今回のEMBAで講義をされた日大の藤野教授や同じく2日目最後に講義をされた若山税理士と、あるプロジェクトを推進しています。
それが「シンプルBSCとKPI監査」です。
今回の講義でも藤野教授からシンプルBSC(バランススコアカード)の理論や事例の解説がありました。
そのシンプルBSCのコア分析が「クロスSWOT分析」です。
そして、このシンプルBSCのクロスSWOT分析に「行動プロセスが数値で分かるKPI(重要業績指標)」を入れ込み、それをモニタリングするのが「KPI監査」という仕組みです。
収支結果の予実チェックでは、経営者も幹部も行動変革が進みませんが、行動プロセスをモニタリングしその都度修正対策を立てれば少しずつ進みます。
プロセス行動が進めば、その結果として収支改善につながっていくわけです。
このあたりの理論展開を我々で確立し、そのノウハウと実際に導入した中小企業の事例を2024年頭に出版する予定です。
EMBAの学生にも、その理論を展開してもらう為にも、今回ロープレ経験してもらった「中小企業特化のクロスSWOT分析」ノウハウは1丁目1番地なのです。
今年の京都大学経営管理大学院EMBAでの「戦略と会計」では、初めての取り組みをいくつかしました。
また来年もお呼びが掛かれば、よりリアリティーのある「模擬現場体験」のカリキュラムを提案したいと思います。
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