経営改善計画書用 フルスペッククロスSWOT分析4「積極戦略」の出し方
SWOT分析、KPI監査、事業承継見える化コンサルタントの嶋田です。
このフルスペッククロスSWOT分析シリーズも本命の「積極戦略」についてポイントを整理したいと思います。
あれ、今度は「弱み」と「脅威」?と思った方、それはそこまで大事ではないので、後日少し述べます。
SWOT分析も「強み」「弱み」「機会」「脅威」を羅列するだけなら、難しくもないし、それほどSWOT分析を殊更いうほどの事もないでしょう。
SWOT分析の効果性が高い最大の魅力は「機会」×「強み」=「積極戦略」を導き出す事です。
この掛け合わせで独自の戦略を導き出すツールとして脚光を浴びているわけです。
ところが世の中に出回っているSWOT分析ではこのクロス分析が少なく、仮にクロス分析で「積極戦略」があっても、なんか表面的な表現が多いのも事実。
その表面的なクロスSWOT分析の「積極戦略」を見て
「こんな内容ならクロスSWOT分析もイマイチだな」
と感想を持たれた方も多いはず。
ハッキリ言います。
そんな似非クロスSWOT分析を見て、それがクロスSWOT分析だと思わないでください。
我々が探求しているクロスSWOT分析の「積極戦略」は本当に固有戦略にこだわっているし、経営改善計画の具体的な根拠になっているものばかりです。
それはさておき
この掛け算である「積極戦略」が浅くなるいくつかの理由があります。
そして、あるコツが分かれば「積極戦略」は企業のUSP(独自のウリ)が見えて、KSF(重要成功要因)にもなるのです。
1,「機会」から誘導しないとダメ
「強みを活かして・・・・」と事業再構築補助金の計画書等多くの経営計画書で言われています。
この「強み分析」が重要な事は言うまでもありません。
問題は「強み優先」だけで判断するとプロダクトアウト(生産者志向)になりがちという懸念があります。
原則は「マーケットイン(顧客志向)」ですから、「機会分析」で徹底したニッチニーズ・ニッチ市場をピックアップする事が大事です。
前回の「機会分析」の章でも述べましたが、重要なのは「機会分析のなぜなぜ分析」です。
●何故、その顧客はそんなニーズを言うのか?
●何故、その顧客が他にも同業者がいるのに、わが社に依頼したのか?
●わが社に依頼したということは、どんな課題がその顧客にはあり、それが解決できずにどんな困りごとがあるのか?
こういう「機会分析のなぜなぜ分析」こそ「積極戦略」の優先順位を決める要素になります。
実際のSWOT分析コンサルティングの現場では
「社長、この複数の機会の中で、一番可能性が高く、取り組みやすそうなものはどれですか?」
と必ず聞きます。
そうすると、経営者はその各種の「機会」中で何が優先か直感的に、イメージするのです。
だからコンサルタントや士業の方は企業経営者、幹部のSWOT分析を指導する場合、このところを忘れずにしてほしいものです。
2,内容の良し悪しは固有の商品戦略と顧客戦略があるかどうか
で「積極戦略」の内容の是非な何で決まるのか?
なんとなく「機会」の何番と「強み」の何番を掛け合わせて、抽象的な「積極戦略」を出しても意味がありません。
先ず「掛け合わせ」の考え方です。
私がRE嶋田塾やSWOT分析スキル検定、オンラインサロンで良くいってるのが、下記の表現です。
「〇〇分野の◇◇ニーズを△△機能(メソッド・メリット)を使って、■■の企画で行動し、◇◇の成果を出す」事
この●●や◇◇、■■を固有名詞で埋めていければ、「積極戦略」の具体的要素につながります。
先ず「〇〇分野」とは、機会分析でた特定の顧客層、狭いニーズ市場を指します。一般的にはセグメントと言われる事です。
「◇◇ニーズ」とは、そのセグメントされた特定顧客層が、具体的に言った固有ニーズであり、「機会分析」の一番右の「何故そんなニーズを言うのか?」に隠れている事です。
「△△機能」とは、自社の使えるリソース、つまり「強み」です。その「強み」から掘り下げてどんな機能アップや横展開をする機能の中身を書きます。
「■■の企画」とは、マーケティング戦略やコラボ、製造方法、キャンペーンなどの具体的な企画行動を決めます。
「◇◇の成果」とは、そういう一連の活動から、どんな成果(KPI、新規開拓、アイテムアップ、ストアカバレッジ、一人当たり購買額の拡大等)を出します。
ここで大事な事はこの「積極戦略」の文字表現が成立するには、固有に商品戦略、固有の顧客戦略が必須だということです。
抽象的な商品や顧客対策、一般論の表現では、この文章は埋まりません。
3,積極戦略で導き出す8つの要素とフレーム
では「積極戦略」ではどんなピースが固有名詞で埋めればいいのか?
下記の積極戦略フレームが最新のものです。
先ず一番左に「商品戦略」「顧客戦略」「価格戦略」につながるヒントが掲載されています。
そして、組み合わせで「機会」の番号、「強み」の番号を掛け合わせます(複数に掛け合わせで可)
「何をどうしたいKSF」とは「この戦略を一言でいえば何か」を書きます。
「ターゲット」は具体的な顧客属性やマーケットチャネルです。
「今後の具体的なニーズ(買いたい理由)」はそのターゲット顧客が、何故その商品や企画さービスが欲しいのか、「機会分析」の一番右の何故何故分析から引用します。
「求める具体的なサービス・付加価値・課題解決」では、商品企画の中身や同業者とどう具体的に差別化しているかを書きます。
「顧客視点KPI」では、顧客につながるどんな行動の数値目標がクリアすべきか、その行動数量が多い事で結果的に売上や粗利につながる事をピックアップします。
下の段では「業務プロセス」で必要項目を記入します。
「マーケティング・販促戦略」では、その企画商品を売るためのマーケティング戦略の具体策や販促策、キャンペーンの中身を記載。
「製造・構築の仕方」では実際に商品化するための製造、委託、設計開発、提携など記載。
「成果を出す社内体制・組織・仕組み」では、社内の役割やチーム構成、予算配分、制度等、確実に実現できる為の内部対策を記載。
「業務プロセス視点KPI」はこれらの一連の活動に行動数量の目標値を書きます。
ここまで「積極戦略」を掘り下げると後々の経営改善計画書が描きやすくなるのは自明の理。
4,「積極戦略」なら大体の業績予測までヒアリングする
この積極戦略フレームの一番右に「業績予測」という枠があります。
各種の戦略を実施すると向こう3か年でどれくらいの売上・粗利の寄与があるのか、そしてそれに付随する投資や経費など読めない数字を読んでいきます。
ここでは「やってみないと分からない」という経営者幹部からの発言を認めず、平均単価や最終年度にどれくらいまで行きたいかなど、バックキャストから数字を決めていきます。
「何故見えない数字をあえて読ませるのか?」
それは、ここで議論した事の数値イメージがその後の行動に影響するし、記憶に残していくためです。
またこの業績予測はSWOT分析をする前に「返済原資をねん出するためにいくらの売上と粗利が必要か」を出しているので、それに合わせます。
更に業績寄与度が少ない商材なら複数の商材捻出が必要です。
もし「そんなにたくさんの商材はできない」というなら、一つの商材の規模を上げる事になります。
しかし、それには相応のマーケティング戦略や投資、差別化が必要なので、そのあたりが丁々発止しながら、モアベタープランの落としどころを探ります。
そして何か商材づくりと販促をかけるなら、必ずそこで発生する原価や経費も具体的に記載する事も忘れずに。
設備投資額も分からないなら、概算でも結構です。その償却費を計上して全体像を見ます。
経営改善計画書で「積極戦略」を具体的に反映させるには、細かいところまで落とし込むよう意識します。
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