金融機関を説得する「減収創益経営」
SWOT分析、事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
「強みを活かした経営」
これは、今後のコロナ不況の本格化で、「金融機関から支援を受けられるかの分水嶺」になると思われます。
しかし、多くの中小零細企業では「強みを認識していても経営資源の集中」にまで舵を切っていないのが現状。
「強み経営」にシフトすると、これまでのある一定の「非強み部分」の売上が大きく減少します。
それを気にして、意思決定をずるずる延ばしているのです。
「減収創益経営」
これは、2001年に拙著「デフレ時代の減収創益経営」という本を出版した時に使った造語です。
「売上を下げて、新たな利益を創り出す」
という意味で、一般的に言われている「減収増益」など、そう簡単に進まない実情を反映したワードでした。
そこで「減収創益経営」をする為には、「粗利率中心経営」へのシフトという事になります。
1、粗利率中心経営の前に「強み分析」の徹底
粗利が悪いという事は、
●商品力・競争力がないのか?
●販売上の価格戦略がないのか?
●原価率が高いのか?
です。
しかし、「売れている商品」「ボリュームのある顧客ゾーン」などの「自社の強み」だけを見れば、そこそこの粗利率を稼いでいるハズです。
ただ「競争力のない商品」や「原価率の高い商品」「手間やコストも掛かり売上の少ない顧客」が粗利率を悪くしている訳です。
合理的に考えれば、そういう商材や顧客がいなければ、売上は下がるけれど、利益率は極端に良くなるはずです。
しかし、それに伴う「痛み」である「売上激減」の劇薬を飲み込めないのです。
単に「強み商品」「強み顧客」を選別するだけなら、この売上激減になるだけですが、「強み分析」をすることで、「強み商品」「強み顧客」を更に強くするマーケティングと販促とのセットで考えます。
このマーケティング戦略を確定しない限り「弱い商品」「儲からない顧客」はリストラできないのです。
2、粗利率中心経営は商材と顧客のリストラ
先ず作業としては「商材・顧客の強み分析」を行います。
ここで大事な事は「何が強いか」と同時に、「何故それを顧客は強みと認識しているのか」という原因分析が重要になります。
売る側が「強み」と思っている事と、顧客側が「強み」と思っている事は多くの場合、方向性は同じでも微妙な表現の違いがあります。
この表現の違いこそ、マーケティングのネタなのです。
強み商材をセレクト、顧客の戦略的ABC分析などを経て、「リストラ対象の商品、顧客」がピックアップされます。
この時、商材も顧客もコストが掛かっていないなら、あえてリストラをする必要はありません。
大事な事は、売る為に商品も顧客もコストが掛かっているのに、成果が少ない。だから粗利率が低いのです。
3、 強み商材・強み顧客に経営資源を集中したマーケティング
さて、重点集中すべき「商材」「顧客」が決まりました。
今度は
●強み商材を更に伸ばし、圧倒的地域NO1にする商品強化策やブランディング
●強み顧客に、クロスセルを行う関連商材、周辺商材の整理と開拓
を6か月くらいの集中期間に行います。
マーケティングでは
●見込み客開拓に使うフロントエンド商品・無料商品のバリエーションアップ
●広告、販促、展示会、SNS投稿の多頻度対策
●既存顧客へのサービス強化
●既存顧客へのアップセル、関連商品販売
など、「強み商材」「強み顧客」に特化したマーケティングを展開します。
これまでこういうマーケティングをしたくてもできなかったのは、「商材の幅が広い」「フォローする顧客が広域」な為、社内の経営資源が分散していたからです。
4、減収創益経営は、3年後に減収増益になるプロセス
実際に商品リストラや顧客リストラ、そして並行して「強み商材」「強み顧客」のマーケティングを展開しても、当初2年間は「売上の減少」「マーケティングを展開の経費の拡大」など、「売上激減 利益も減少」は避けられません。
しかし、絞り込んだ商材と顧客、そしてマーケティング展開により、3年目から増益を狙います。
売上激減の期間は資金繰りもタイトになる為、金融機関からの協力が必要です。
だから、今の内に金融機関に説明して了承をもらう必要があります。
その為には「根拠ある経営改善計画書」が求められます。
これらの具体策が
「論理性があり、実現可能なのか」
「リスク対策もしっかり検討されているのか」
「根拠としての過去データは信頼されるものか」
「経営陣は本気でコミットしているのか」
こういう視点をしっかり、経営改善計画書に記載して説明する必要があります。
そして、3年目以降利益率の改善した企業体として、返済も問題なくできる事を見せるのです。
「強みを深堀し、拡大して根拠ある経営計画書」を作成することが大変重要な時期になっています。
「弱み」をいくら改善しても徒労に終わるだけでなく、「弱みは簡単に変わらない」という本質があるので、ハッキリ言ってその時間と労力がムダです。
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