補助金があっても、新規事業が失敗するのは「視点が間違っているから?」①
SWOT分析と事業再構築、経営承継可視化コンサルタントの嶋田です。
せっかく事業再構築補助金のが採択され、公費で新規事業の初期コストのリスクが軽減されても、「新規事業が途中挫折」する理由は、「事業の中身の問題」より、
「視点の問題」「体制の問題」である場合が多いですね。
アクセラレータの支援対象のアントレプレナーであれ、別事業として新規事業を行う事であれ、「体制」と「視点」が重要です。
「体制の問題」とは、一言で言えば「誰が責任者か?」という事です。
「視点」とは、発想の原点、モノの見方・考え方です。
そこで「新規事業が持続するマネジメント」のポイントについて、22ポイントを2回にわたってご紹介します。
1,「小さく生んで、大きく育てる」をベースに、当初計画から大きな投資や多額の固定費が発生しないようにしている
大企業のシェア取りビジネスではない。最初から大きさを狙わないのが賢明である。
今回の事業再構築補助金は、そういうリスクをフォローしてくれる。
2,初期投資の回収期間の計算をシビアに行う
最低でも3年以内に単年度黒字が見えない事業計画なら、しない方が良い。
補助金で初期コスト分の回収期間は5年程度長くなるので、その分余裕をもって取り組める。
3,収益と投資のバランスの基準があり、ズルズル費用を掛けて、本業の足を引っ張る事はない
「これ以上赤字なら凍結又は徹底」が明確なら、最悪の事態は回避できる。
今回も補助金があっても、その後のランニングコストがかさみ、本業を圧迫するなら、どこかで決断しなければならない。
但し返金義務がある補助金申請の場合は、指定期間は努力が求められる。
4,1人複数役、多能工を原則とした1人当り付加価値が高いと予想されるビジネスモデル
1人当り付加価値基準は、3年後には新規事業の人件費の最低2倍の粗利を稼ぐモデルにする必要がある。
その為には、最初から多能工を目指す。
5,とにかく固定費を掛けないよう初期はローコストマネジメントを徹底している
「新品を買わず中古を使う」「必要な物は手作りでも自分達で作成する」「業者に頼まず自分達で行う」等、徹底したローコストオペレーションは成功の共通要素である。
補助金があっても、不要不急な固定経費は抑え、その分マーケティングなどの投資に振り向ける。
6,本業の顧客や仕入先等の経営資源が使えて、比較的短期間に売上を上げる事ができる
新規事業の売上が出るまで時間のかかるモノは、多くのTOPは待てない。今の経営資源の有効活用を念頭に置く。
当然、今回は自社の経営資源「強み」を活用する事が前提条件なので、「使える経営資源」は何でも使う発想が大事。
7,商品開発費用、広告費用、人件費が大きく、投資回収のイメージが湧かないものは取り組まない
経費が大きい場合は、それだけ粗利をあげなければならない。
良く計算してムリなら、そのビジネスはムリである。
そこを補助金がカバーする訳だが、「補助金ありき」ではなく、本当にイメージできるかが大事。
8,「こうなったら撤退する」と言う撤退基準を先につくっている
計数指標や商材指標、市場での指標等、何らかの撤退基準があれば、「これだけ投資したんだから、簡単には止められない」と更に泥沼投資をして、本業は傾く事は防げる。
補助金があろうがなかろうが、この本質は同じ。
9,末端関係者まで、赤字と黒字が明確に分かる仕組みを作り、新規事業チームの危機感と意識づくりを構築している
新規事業は部門損益を明確にして、皆で売上アップ、経費ダウンを考えるチームにする。
零細企業はそうもいかないが、ある程度の規模なら「損益意識」がないと、「補助金があるから大丈夫」という危機意識が欠落していく。
結果そういう事業は長続きしない。
10,新規事業の成否の基準を作成している(例 単年度黒字化、累積黒字化、本業の貢献のみ、小赤字なら売上があればOK等)
「やってみなくちゃ分からない」ではなく、最初から「成功ライン」を決めれば、次の展開や投資もできる。
今回は「事業再構築 事業計画書」で詳細に検討したはずだ。しかも付加価値額が5%上がり、売上の10% になるような計画を。
だから収益が上がる事が今回の補助金の交付の目的になる。
次回残りの12項目を紹介します。
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