前向き意見が否定される「ネガティブSWOT分析」にさせない進め方
「強み」を引き出すSWOT分析コンサルタントの嶋田です。
できれば大声で、「SWOT分析は独自戦略を導き出す万能のツール」だと叫びたい。
しかし、現実は万能ではない。
場合によっては、全く機能しないSWOT分析もあるわけです。
それが「ネガティブSWOT分析」なってしまうケースです。
1、ネガティブSWOT分析の傾向
ネガティブSWOT分析は、とにかく「否定的な意見や考えがまん延した状態」です。
それがわかるのが「機会分析」と「強み分析」です。
とにかく出てこないだけでなく、「できない理由」「ダメな理由」「やっても無駄な理由」をとことん理路整然と言ってきます。
「脅威」「弱み」を言わせたら、コーディネーターなど必要がないほど、とうとうとまくし立て、
「いかにわが社がダメか」
「いかにこの業界がダメか」
「どんなことをしても、ムダな努力」
等々を言い続けてしまいます。
2、ネガティブSWOT分析では「ニッチ市場」さえ否定される
「機会分析」では「ニッチ」を探して、そこに少しでも使える「強み」を掛け合わせるのが「積極戦略」の定石です。競合激しいレッドオーシャン市場を回避して、ブルーオーシャン戦略を何とか導きたくて「機会分析」はニッチでの可能性をいろいろな観点からヒントを出して、議論します。しかし、
- ニッチといっても、既に競合があり、後発の自社が狙ってNO1にはなれない
- ニッチは市場規模が小さいので、売上貢献があまりに小さい
- 仮に「ニッチ」を見つけても、自社の経営資源「強み」が活かせないから、攻められない
こうやって、「ニッチ」に対する考え方も否定されてしまいます。
3、ネガティブSWOT分析の突破口①・・・「if話法」
せっかく前向きな議論をしようと「SWOT分析」をしているのに、始まって早々から「ネガティブ」がまん延しているSWOT分析現場には、打つべき手がないような感じがします。
「しまった、今回のSWOT分析は失敗だった」と、コンサルタント自身も中盤位から「諦めモード」になることがあります。
そんな時、「ネガティブSWOT分析」を打開する方法はないのでしょうか?
私が実践しているテクニックは、タラレバヒントを使って「ニッチ」や可能性を聞き出す時のトークです。
「このニッチやヒント通りは難しいということは分かりました。
そこで、仮の話です。
「仮に、その〇〇をするとしたら、どうすればそのニッチや戦略が攻められそうですか?今の課題を置いといてで結構です」
これを「if話法」と呼んでいます。
できない前提で議論を進めず、「仮に」「万が一するとしたら」を聴くことで議論の突破口を探す手法です。
4、ネガティブSWOT分析の突破口②・・「メモ書き⇒ペア議論⇒全体討議」
これは5名以上のSWOT分析でネガティブSWOT分析を打破する手法です。
いわゆるファシリテーション技術を使ったものです。
議論が暗礁に乗り上げ、頭の中が真っ白になっている状態では、時間の浪費です。
そこで2つ位のタラレバヒントを選択して、
「皆さん、まず可能性を自分なりに1つ書いてください。5分でお願いします」
と個人で書かせる。
その後
「隣の方と協議してペアとしての意見を決めてください。5分でお願いします」
そして
「では、各ペアの選択した意見を発表してください。」
といって、それを再度、PCのフォームに入力していきます。
当然、モニターやプロジェクター投影しながらですが。
5、ネガティブSWOT分析の突破口③・・「昔の失敗を引き出す」
「昔、そんなことをして上手くいかなかった。そんなのムリだよ」
これも何十回聞いたか分からないネガティブWordです。
そこでひるんではいけません。
以前の失敗には原因があったはずです。
その原因や環境が今は違えば、それは立派な対策になります。
仮に、以前と社内要因(人材資源や資金、顧客層など)が変わってなくても、外部環境は変化している可能性があります。
「昔の失敗」に、今できる対策を添えて「積極戦略」に仕上げていくことです。
昔挑戦しているなら、その対策に関する知見があるわけだから、議論も具体的になります。
「ネガティブSWOT分析」は、私の経験から言えば、零細企業では50%くらいありそうですね。
(もっとあると思っている方も多いでしょうけど)
SWOT分析スキルを上げていくには、こういうネガティブSWOT分析と出くわしても、粛々と推進できるマインドセットを持ちたいものです。
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