
保険診療報酬の改定や薬価の引き下げ、厳しい行政規制のなかで、独自の売上や利益をどう作っていくか。
多店舗展開する調剤薬局や医療系ビジネスの経営計画策定は、一般的な企業以上に緻密な戦略が求められます。
しかし、中小企業診断士や経営コンサルタント、あるいは顧問先を支援する税理士・会計事務所の現場では、
「各店舗のデータをまとめるだけで膨大な時間が消えていく」
「結局、当たり障りのない数字合わせの計画書になり、現場の店長たちに響かない」
という悩みが尽きません。
昨日、私が経営顧問を務める地方の調剤薬局チェーン(10店舗展開)の本部にて、経営陣とともに「来期の経営計画書作成会議」を実施しました。
そこで生成AIをフル活用したところ、なんとわずか5時間で、全社方針から店舗別の具体的な四半期アクションプランまで一気に完成させることができました。
今回はその実践プロセスとポイントをリアルに公開します。
1:コンサル・会計事務所を悩ませる「多店舗の経営計画あるある」
多店舗展開している中小企業の経営計画を作ろうとすると、支援者側も経営幹部も決まって同じ壁にぶつかります。
いわゆる「データ集計疲れ」と「現場との温度差」です。
店舗ごとに立地も処方箋枚数も、門前クリニックの科目も、スタッフのスキルも異なります。
「前期は何が課題だったのか」
「なぜあの店舗は技術料が伸びなかったのか」
を1店舗ずつ丁寧に掘り下げようとすると、それだけで何日もかかってしまいます。
結果として、支援するコンサルタントや会計事務所側も疲弊し、「全社で売上〇%アップ、各店経費〇%削減」といった、現場の実態を無視した“きれいな数字の羅列”で終わってしまうケースが後を絶ちません。
これでは店長たちも「本部の机上の空論」と受け止め、計画書は引き出しに眠るだけになります。
生成AIは、こうした「個別課題の抽出」と「施策の構造化」という、人間がやると途方もない時間がかかる作業を一瞬で肩代わりしてくれる最強の相棒になります。
ただし、AIに力を発揮させるためには「事前の生データの入れ方」に決定的なコツがあります。
2:【実践現場】5時間で仕上げた「アナログ下準備×AI活用」のステップ
今回の会議では、社長以下役員がモニターを見守る中、私がリアルタイムでExcel入力とAI操作を行いながら議論を進めました。
ポイントは、最初からAIに丸投げするのではなく、基礎データを丁寧に整理した点です。
まず前半は、基礎データの入力と目線合わせを徹底しました。
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前期の反省と経営課題、前期計画の重点方針の結果をヒアリングしながらExcelに記入
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過去3か年の店舗別調剤売上・技術料売上推移を比較用Excelに整理(役員陣と画面で推移を確認するため、あえてひと手間かけました)
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各店の売上・仕入・粗利をまとめ、販管費まで含めた全社損益計画と今期収支予測を作成
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第3四半期まで進んでいる各店舗のKPI進捗データを確認
ここまでの生データが揃った段階で、いよいよセキュアなAIに読み込ませます。
プロンプトは難しく考えず、極めてシンプルに投げます。
「この調剤薬局の実績や反省課題のファイルを分析してください。今期に実行すべき優先度の高い順に、全社共通の経営課題と重点具体策を整理してください」
これだけで、AIから全社課題の構造化データが一瞬で出力されます。
次に各店舗の業績・KPIファイルを読み込ませ、「店舗別の課題と今期実施すべき具体策を表形式で出してください」と指示。
あっという間に10店舗分の個別具体策が一覧化されました。
3:現場が動く!AIを活用した「四半期アクションプラン」への昇華
AIから出力された店舗別の具体策をそのまま鵜呑みにしてはいけません。
ここからがコンサルタントと経営陣の腕の見せ所です。 出力された内容を一度Excelに戻し、役員陣とともに
「この店舗の課題感は現場の実態と合っているか」
「優先順位に齟齬はないか」
をその場でディスカッションしながら微修正を加えました。
修正したExcelデータを再度AIに読み込ませ、次のプロンプトを入力します。
「各店舗別の課題別の行動プロセスの改善が入った、四半期ごとの具体的なアクションプランを表形式で出してください」
すると、第1四半期から第4四半期にかけて「誰が・何を・どう改善するのか」という現場レベルの行動プロセスが、10店舗分きれいに整理されて出力されました。
この完成した店舗別アクションプラン(Excel)を、会議後にエリアマネージャーと各店長へ「現場視点での最終調整」として宿題形式で渡し、社内回収する体制を整えました。
従来であれば、ヒアリングから中間まとめ、役員会議、店舗への落とし込みまで数週間〜1ヶ月以上かかっていたプロセスが、経営陣全員の合意を得ながら、たった5時間で完了したのです。
生成AIを経営計画策定に活かす最大の鍵は、
「現場のリアルな生データの事前整理」と
「段階的なプロンプトによる思考の深掘り」
にあります。 計画書の作成作業そのものに何十時間もかける時代は終わりました。
AIで作成を圧倒的に効率化・高度化し、浮いた時間を「現場での実行と伴走支援」に充てることこそが、これからのコンサルタントや会計事務所に求められる高付加価値な支援スタイルです。
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