やっぱり、全員向けの経営計画発表会は必要
SWOT分析、KPI監査、採用サイト、事業承継「見える化」コンサルタントの嶋田です。
昨日、28年間経営顧問をしているクライアントで25回目の「経営計画発表会」を全社員参加で行いました。
この企業は今期で37期目。
先代の社長からのお付き合いで、今の社長になっても継続しています。
さすがに28年間も顧問をして毎月1回経営会議に参加し、一緒に課題整理や解決策の議論をしていると、身内みたいな感じですが、そこは顧問として線は引いています。
何故、毎年経営計画書の作成とその発表会を25年間も続けているのでしょうか?
またどうしてそこまで長く続くのか?
ケース事例を紹介します。
1、全員参加の会社づくりには情報共有が必須
経営計画書に最終責任を持つのは経営者です。
しかし、社員の協力なくして成果が望めません。
TOPと一部の人間(役員やコンサルタント・税理士)だけが考えた経営方針、経営計画を従業員に「これは皆の目標だから頑張れ」と言っても、恐らく社員はしらけています。
特に部門が分かれ、それぞれ部門責任者がいる企業ならなおさら、TOPの方針や戦略を各部門長は自部門に合わせてかみ砕き、部門メンバーで詳細対策を築き上げるのが肝要です。
この企業は全社員が14名と小規模であり、経営会議のメンバーには各部門責任者である役員が参加しているので、経営方針、経営計画の立案時から情報共有ができていました。
また、経営方針の詳細を知らされていない他の社員にも、こういう経営計画発表会の研修会議を通じて、周知し社員からの疑問にも丁寧に答えるのは経営者としてあるべき姿勢だと言えます。
現在の社長も先代の社長のこういう思想を受け継ぎ、私と一緒に毎年、作成をして経営計画発表の研修会議を実施しているのです。
2、25年間続く経営計画書の内容とは
ではこの企業での経営計画とはどんなものか、ご紹介していきましょう。実際の内容が記載されているのでぼかしの編集が入っています。
表紙は毎年同じ、計画発表会時に全員から計画書同意の捺印を貰う。
先代からの経営理念を毎年掲載。
経基本営方針も毎年同じ、将来の目標についても毎年同じ。
前期の良かった事、反省点を整理。これは決算月の前に確認する。
今期の経営重点具体策で、収支計画やビジョンを実現するための対策。右には担当責任者が記されている。
業種特性もあるが、現在の仕掛案件と見込み案件そして今後の取り組みから商品ごとの売上予定を掲載。
粗利は経費は経営陣で管理。まだ発表会の段階では見せていない。
中小企業の為、部門組織も兼務が多く、その責任者を明示。
全社員の役割と責任を明示。新たな戦略があればそれの職務担当者を毎年追加又は削除している。
新しく入社した社員にも「要求職務」を記載。これがいずれ人事評価での職能評価の参考になる。
3,発表会で個人ごとの昨年の反省と今期の目標を発表
このような経営計画書を毎年作成し発表会の研修会議で説明、質疑応答を繰り返しています。
そして全員には事前に宿題であった「昨年の反省と今期の目標」を提出してもらい、それを全員の前で発表していきます。
これで各自が何をどう考え、反省し、どう目標にしているかが分かりやすくなります。
これも小規模企業だからできる事です。
以前は手書きでのコピーでしたが、最近はWordでの提出がほとんどとなり、保存と共有がしやすくなりました、
4,RE経営からの激励の講義
これも毎年、続けている事です。
研修会議の終わりに私から30~40分の「激励講義」をします。
今回は社長の要望でもあったので「見込み客発掘から育成、刈り取りのインサイドセールス、アフターサービスの展開」について講義しました。
事前にレジメを配布し、従業員がそれを見ながら今後の顧客開拓や必要な組織対策を学習したのです。
この激励講義は毎月の経営会議で気づいた事と社員に是非学習してほしい事を「精神的な事」「実務的な事」「マネジメント的な事」を毎年選択して行います。
このようなカタチで25回目の経営計画書作成とそれの社内発表会をしました。
経営計画書のフレームが昨今、私が推奨しているものと違いますが、この昔からのVerはこの企業にとっては使い勝手が良いのかもしれません。
大事な事は「継続する」ことです。
ではこの企業は私が28年間も顧問をしてどれくらい成長したか、というと、実はこの28年間で売上は1.8倍しかなっていません。
小規模企業特有のヒトの出入りの多さに悩まされ、後継者の課題に右往左往しながらも、経営承継もできました。
そして簡単に言うと「潰れずに財務基盤をしっかりして地域でそれなりの認知度の高い企業」になっています。
経営者は成長や収益、課題解決の為だけに、経営コンサルタントを顧問にしている訳ではありません。
「伴走支援」とはこんなカタチで行うのも一つの姿です。
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